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レポート:第22回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(3)

第22回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が、今年も観客の心に数々の名シーンを刻みつけながら幕を閉じました。レポート第3弾は、7月13日(土)〜14日(日)の模様をお届けします。

レポート:第22回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(3)

7月5日(金)から表参道の東京ウィメンズプラザで、7月12日(金)からスパイラルホールで開催された東京国際レズビアン&ゲイ映画祭。いちばんの盛り上がりを見せた7月13日(土)~14日(日)の模様をお届けします。(後藤純一)


真崎航さんを偲ぶ写真も
 天気もよく、三連休だったということもあり、7月13日(土)~14日(日)には本当にたくさんの人たちがスパイラルホールに足を運び、満席だったプログラムも多かったようです。もう10年以上も映画祭に通っている茨城県在住のゲイカップルも浴衣で来られていたり、毎年顔なじみの常連さんたちも多かった一方、もしかしたら今年初めてかな?という感じの方、これからアゲハに行くのかな?という雰囲気のオシャレなイケメンさんたち、年配の方、外国人の方など、本当にいろいろな方が来られていました。13日(土)の「ミスター・エンジェル」の回では、FTMトランスジェンダーの友人にもひさしぶりに会うことができました。

 その『ミスター・エンジェル』は、見た目スキンヘッドのいかついマッチョながら、実はヴァギナをもつFTM(女性から男性へトランスした)ポルノスターとして世界的に活躍するバック・エンジェルのドキュメンタリー。これがサラリーマンをしているFTMの方だったら、よくある感じの自分語りモノになっていたと思うのですが、バックがポルノスターであったことで、際立ったインパクトと輝きを放っていたと思います。あまちゃん風に言うなら「かっけぇ~!」って感じです。
 ゴトウが特に惹かれたのは、彼の人柄の魅力です。実に男っぽく、ガハハと笑うようなキャラですが、よくいるノンケ男性とは異なり、女性を蔑視しませんし(そりゃそうですよね)、オンリーワンの自分らしさを生きることのカッコよさを体現しています。過去には、クスリ漬けになり、親にも勘当され、地獄を見たバックが、パートナーのエレイン(ボディ・ピアスの第一人者)と出会い、更生する、そして、感謝の気持ちを忘れず、人として成長していった(魂のステージを上げた)というくだりもジーンときました。両親へのインタビューでは、父親が勘当したことを後悔して泣き出すシーンもあり、思わずもらい泣き…本当にいい映画でした。

 13日(土)の最終プログラムとして上映された『ヨッシ』は、2004年の映画祭で上映された『ヨッシ&ジャガー』の続編です。最愛の恋人の戦死から10年が経ち、34歳となったヨッシは、心臓外科医として病院で働いています。が、いつも悲しげで、まるで抜け殻のようです。上司からもしばらく休暇を取ったらどうだ?と言われます。そんなある日、ヨッシは病院でジャガーの母親の姿を認め、彼女を診察したあと、車で家まで送ります。そして、とうとう、ジャガーとの関係をご両親に打ち明けるのです。それでもヨッシの心の傷が癒えるわけでもなく(両親には丁重に家を追い出され)、ヨッシは、車でシナイへと向かいます。途中のサービスエリアで、バスに乗り遅れた4人組の若い軍人たちを車で送ることに。そして、その中の1人、ジャガーに似たイケメン(彼はゲイであることをオープンにしています)がいて… 
 車でかけた音楽がマーラーの5番だったり、ヨッシの読んでる本が『ヴェニスに死す』だったりというベタな引用も面白かったですが、ほかにも、ネットで知り合った男に「詐欺画像だよね?」とツッコミを入れられたり、同僚が女をあてがおうとして「ほら、心臓外科医に診てもらえ」と言ったり、随所に笑えるシーンがちりばめられていました。
 それから、ヨッシが10年前に比べると別人のように激太りしたことが映画の中ではネタ(さえない中年男性の象徴)として扱われていましたが、たぶん今回の映画祭では唯一のクマ系の主人公だったので、萌えた方も多いはず(ゴトウもその一人)
 映画祭で続編を観ることはなかなかないと思いますが、『ヨッシ&ジャガー』で泣いた方たちにとっては本当にうれしい、救われた気持ちになれる作品でした。

 明けて14日(日)の最終回、『GOGOボーイを追いかけて』。ニューヨークのGOGOボーイ(英語ではGOGO GUYと言うようです)のSEXYな映像が満載ではあったのですが、意外にも(『シェイクスピアと僕の夢』からは想像できない)ドキュメンタリー的というか実験的な手法で撮られた作品で、2005年に一般公開された『ターネーション』を思い出しました。
 GOGOのゴーは、見た目SEXYというだけでなく(ただの筋肉バカではなく)、ハスラー・アキラさんのような、とても魅力的なアーティストでもありました。ゴーはアンディ・ウォーホールをリスペクトしており、ドクは(映画を撮ると言ってるにもかかわらず)ウォーホール映画を知らなかったので、Youtubdeを検索してみるのですが、『Eat』とか『sleep』とか『Kiss』とか、延々食べたり眠ったりキスしたりするというヘンな作品でした。それをパロディにして、この映画では、ゴーが延々と食べたり、眠ったり、(セントラルパークやタイムズスクエアやNYのいろんな所で)二人が延々とキスするシーンが挿入されていました。
 それから、ベッドの中でドクが「本当に平等が達成されたら、ゲイは世の中の人と変わらなくなる(ゲイシーンというものがなくなる)」「ことさら裸になったりしなくても、ゲイが普通にサラリーマンしてるだけで、スゴいことだと思う」と言ったのに対し、ゴーが「ちょっとファシズムっぽい」と言いながら「寝よう」とドクに抱きつき、それから「クィアカルチャーは素敵だよ。守らなくちゃね」と言ったりするのですが、恋人たちの他愛のない会話をしそうな場面に、そういう意味のある議論をもってくるところが素敵だな、と思いました。
 
 上映後には、レイチェル・ダムールさんのMCでトークセッションが行われました。コーリー・J・クルークバーグ監督)、プロデューサーのトム・ガスタフソンさん、そして、ゴー役のマシュー・キャンプさんが登場すると、会場からは黄色い歓声が上がりました。マシューさんは映画のとおり、本当にチャーミングで、司会のレイチェルさんも、彼に見つめられると思わず照れてしまっていました(笑)。トークおよび質疑応答の内容は多岐にわたり、マシューさんがリアルにニューヨークでGOGOをやっていることから、この作品がクラウド・ファンディングという方法で製作されていることまで、いろいろ聞くことができました。
 トーク終了後も、ホワイエでは大写真撮影大会が繰り広げられ、大いに盛り上がっていました。

 最終日、15日(月祝)には、恒例のレインボーリール・コンペティションが行われ、『ザ・レッスン』という作品がグランプリに輝きました。クロージングセレモニーには、ディズニーシーで結婚式を挙げたことで有名な東小雪さん&ひろこさんが登場したそうです。
 
 3年ぶりに7月に戻ってきた映画祭。今年も、映画祭でしか観ることができない貴重なゲイ映画の数々に触れることができ(ゴトウが観た作品はどれも本当によかったです)、大勢の人に会ってお話したり、楽しい時間を過ごすことができました。今年の映画祭の成功も、ひとえにボランティアでがんばってきたスタッフの方たちの尽力の賜物です。心から感謝申し上げます。そして、また来年、素敵な作品に出会えることを楽しみにしたいと思います!