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レポート:福岡レインボーパレード

2014年11月16日(日)、九州で初の本格的なレインボーパレードである「福岡レインボーパレード」が開催され、600名超が福岡市の中心部を晴れやかに行進し、大成功を収めました。

レポート:福岡レインボーパレード

11月16日(日)、九州で初の本格的なレインボーパレードである「福岡レインボーパレード」が開催され、600名超が青空の下、福岡市の中心部を晴れやかに行進しました。沿道の人なども合わせると1000名超が参加し、ステージやブースなども充実していて、素晴らしいパレードになりました。レポートをお届けします。(後藤純一)









 



















 








 





 11月16日(日)、午前中は曇り空で肌寒い感じでしたが、大きなテントが並んだ冷泉公園には、続々と参加者の皆さんが集まってきていました。フロートの登録とステージイベントが始まった12時には、すっかり晴れて日も差してきました。

 オープニング・アクトは「鼓舞猿(こぶざる)」のみなさんによる和太鼓。若さあふれるメンバーが汗を飛び散らせながら、一糸乱れぬ太鼓の演舞で、力強くもさわやかなオープニングを飾ってくれました。
 MCをつとめたのは、福岡大学の2人の元気な学生さん(女性)とピン子さん(女装)。ゲイナイトではかなりきわどいパフォーマンスを見せることで人気のピン子さんですが、昼間の公園ということもあり、この日は下ネタは封印し、パレード仕様の面白トークで盛り上げてくれました。
 続いて、福岡で活躍するダンサーたちがパレードのために特別に編成したチーム「BABY STEP」のパフォーマンス。48やハローなどゲイに人気なアイドルの曲で、ぴったり息の合ったダンスを魅せてくれました。「心のプラカード」では、メンバーそれぞれが「クリスマス空いてます」「私がいちばんカワイイ」「デブが踊って何が悪い」といったプラカードを掲げ、笑わせてくれました。
 そして、関パレでもおなじみの元祖ニューハーフ花嫁モデル、麻倉ケイトさん。秋葉原方面でも大人気だそうで(そういえば、いでたちが初音ミク風)、今回はCDにもなっているオリジナル曲を生歌で披露してくれました。
 それから、豊島区議の石川大我氏によるスピーチ。MCの方たちとのやりとりのなかで、「ボクの彼氏はどこにいる?」を発売した頃、福岡の人と遠距離恋愛をしていたというエピソードも語ってくれました。
 いよいよ前半のステージも佳境に入ってきました。福岡のご当地ヒーロー、博神バリスガーの登場です。突如、怪人が現れてMCの方たちを脅しはじめ、バリスガーが怪人を退治、という「お約束」な展開(でも、あとで仲直りしてたのがかわいかったです)。その後、ご当地クイズに正解した方にグッズを配ったり、ほのぼのさせてくれました。
 前半のトリを飾ったのは、福岡が誇るドラァグクイーンによる華麗なショー。東京のナイトにも度々出演しているリリー・チャンさんはゴージャスでクラシカルなパフォーマンスで会場を魅了。Malon Bridgeさんはセクシーなダンスで盛り上げてくれました。それから、ミカゑさん、ガキ江 ロマンティックさん、Mr.恵子さんら、パレードに参加してくれるクイーンの方たちが次々にステージに上がり、会場のみなさんをウットリさせていました。最後に大阪から駆けつけてくれた奥ヒダヴァギナさんも登場し、ピン子さんとのトークで楽しませてくれました。
 
 13時半、整列がスタート。広場の横の芝生エリアで「ウェルカム福岡」「コスチュームパーティ」「ティーンズフロート」「ありのままでいいっちゃん」という4つのフロートごとに並びはじめました。イベントが始まったときよりも俄然、人が増えていて、実行委員会が用意した手作りのレインボーフラッグ400本もすべてはけてしまいました。

 14時過ぎ、ワクワク感あふれる雰囲気のなか、いよいよパレードが出発!
 おまわりさん(さすがは福岡。イケメン、多し)がビシっと交通整理をしてくれて、先導車のあとに歩く人たちがついていくという形で、4フロートが無事に出発しました。トラックに人が乗るようなフロートではないものの、クラブミュージックなどノリのいい曲を流しながら参加者を盛り上げていました。
 各フロートの先頭をドラァグクイーンが飾り、ゲイバーのマスターやお客さん、女性の方、トランスの方、親子連れ、福岡市教育委員会の方、ずっとヨルトゥバル(帽子に長いリボンをつけて回す)しながらパレードしていたコリアンの方など、いろんな方たちが笑顔で行進しました。全国のパレードを盛り上げてきたdonさん&トムさんはレザー姿(この格好で新幹線に乗ってきたそうです)で、大きなフラッグを掲げ、ひときわ目立っていました。
 天神の三越前とか、本当の福岡の中心部を歩いて、たくさんの人たちの注目を集めていました。バスのお客さんが手を振ってくれたり、道行く人たちのあたたかさが印象的でした。
 3.3kmを歩き終えて公園に戻ってくると、おかえりなさいのハイタッチが、どこまでもどこまでも長い列で続いていて(見送りの方や先に帰着した参加者の方たちなどもお出迎えに回ってくれていたのです)、ジーンときました。

 後半のステージが始まるまでの間、いろんなブースを回りました。
「在福岡アメリカ領事館」
 元大阪神戸総領事のリネハンさんやケネディ大使(わざわざ福岡レインボーパレード開催おめでとう!とツイートしてくれました)だけでなく、福岡の領事さんもたいへんフレンドリーな方でした。
「株式会社サニー」
 CASSAROSというレインボーのステーショナリーを発表している株式会社サニーは、関パレや東京の映画祭などにもブースを出してくれれいましたが、今回もスポンサーとして福岡レインボーパレードを応援。本当にありがたいことです。
「リブロ福岡天神店」
 一般書店ながら、LGBTのフェアを企画するなかでパレードの方とやりとりするようになり、参加することになったそう。「放浪息子」など、ブースに置いてあった本もよく売れていたようです。
「Love Act Fukuoka」
 コミュニティセンター「haco」を拠点としてHIV予防啓発活動に携わるLove Act Fukuoka。「AIDS IS NOT OVER 」という文字が背中の毛で浮かび上がるようになっているアート作品が展示されていて、素晴らしかったです。制作したのがノンケさんだそうで、さらにビックリ。
「Rainbow Soup」
 福岡を拠点にLGBTに関するアート作品を発信しているグループ。今回はEMAJAPANとのコラボで、同性婚をテーマにした写真や衣装などを展示していました。
「GomiKontonStore」
 かわいくてユニークなレインボーグッズを販売して人気を博していました。東京レインボープライドにもブース出展していたそうです。
「LGBTの家族と友人をつなぐ会」
 関西を中心に活動しているLGBTの家族と友人をつなぐ会が、福岡でもがんばっていました。代表の尾辻孝子さん(尾辻かな子さんのお母様)もいらしていました。

 15時半頃、後半のステージがスタートしました。
 まず、福岡大学のチアリーディングチーム「STGSTINGERS」のパフォーマンスに圧倒されました。チアリーディングをちゃんと見るのは初めてだったのですが、人があんなに高く上がるなんて…と、思わず「すごーい、すごーい」と(知念里奈のように)叫んでしまいました。
 続いて登場したのは、リコーダー・レインボー・ブリッジの笛田千裕さん。5歳までの命と言われるほどの大病や障がい、いじめ、自殺未遂などを経験したトランスジェンダーの方で、リコーダー演奏や講演、絵本読み、音遊びなどをして回る活動を展開している方。リコーダーの優しい音色が胸に沁みました。 
 そしてわれらがBaby Step。前半のステージだけでも相当大変だったと思いますが、後半も全部違う曲で(練習、本当に大変だったはず)、ずっと笑顔で踊ってる彼らの姿は、本当に胸熱でした。最後は博多が誇るHKTの「恋チュン」。周りで見ていた方たち(クマみたいな兄貴とか)もみんないっしょに踊ってて、最高にハッピーでした。
 よさこいの志免清龍隊は、大会で優勝した実績をもつすごいグループ。子どもたちの真剣な姿や、巨大な旗を振る兄貴たちの雄姿…ぼくらのために全力でパフォーマンスしてくれてると思うと、目頭が熱くなりました。
 トリを飾ったのは、福岡大学の「シンガーソングレスラー」Bigfumiさん。とてものびやかでキモチのいい声で、いい感じにハートフルな時間をプレゼントしてくれました。
 通常、パフォーマンスがすべて終了してフィナーレのバルーンリリースとかをしてパレード終了、ということが多いと思うのですが、福岡レインボーパレードはひと味違っていました。MCのみなさんが最後のご挨拶をしたあと、福岡大学器楽部のみなさんがずっと演奏していて、会場の方たちが帰りはじめても、スタッフの方たちが撤収作業に入っても、音楽が鳴っていたのです。なんて粋な演出!と思いました。そんな彼らの演奏をずっと聴いている方もいました(かく言う自分は、暗くなって急激に冷えてきたこともあり、最後まで見届けずに帰ってしまいました…すみません)


 初開催の福岡レインボーパレードは、初めてで、学生さんで、よくぞここまで…と感嘆するくらい、しっかりオーガナイズされていました(プロのイベント屋さんの仕事みたい、という印象がありました。いい意味で)
 そもそもはGWの東京レインボープライドに参加した福岡大学4年の赤木響亮さん(FT Mトランスジェンダーの方)が、福岡でもパレードを!という思いで友人に声をかけて「福岡でレインボーパレードするっ隊!」を結成し、福岡大の「学生チャレンジプロジェクト」に応募、見事に採用されて助成金を得ることができ、このパレードが実現しました(「福岡でレインボーパレードするっ隊!」の9割はアライの方だったそうです)
 それでも、参加者がいなければパレードは成功しません。福岡でパレードを歩いてくれる人ってそんなに多くないのでは…と、主催者の方たちも思っていたそうですが、ふたを開けてみれば、600名超が歩き、公園で見送ったり沿道をいっしょに歩いて応援する方たちも含めたら1000人以上だったんじゃないか、とのことでした(ピン子さんがMCで「福岡の人は、日本三大都市が東京・大阪・福岡だと思っている」というネタをしゃべっていましたが、パレードに関しては本当にそうなったと言えそうです)
 福岡の人たちは、しゃべり好きだったり、気さくだったり、ちょっと沖縄に近いものがあるのかな?と。とてもあたたかくてフレンドリーな街でした。喫煙所でも知らない人どうし、「(ゲイの人が)ジャニーズっぽくてかわいいね」「自分、FTXなんです」「ノンケの俺にもわかるように説明してくれる?」みたいな感じで自然と交流が生まれていて、いいなあと思いました(東京ではなかなか見られない光景です)。お祭り好きな気質もプラスに作用したのかもしれないですね。
 また、札幌のパレードに関わっていた方が「福岡市と福岡市教育委員会から後援を取りつけたのが本当にスゴイ」とツイートしていましたが、それもまた、実行委員会の方たちの頑張りを物語っていました。 
 ともあれ、本当に素晴らしいパレードでした。「福岡でレインボーパレードするっ隊!」のみなさん、本当におつかれさまでした。拍手!


☆福岡レインボーパレードのフォトアルバムはこちら

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