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特集:2017年夏のクィア映画

この7月、昨年の東京国際映画祭で観客賞と最優秀男優賞を受賞した『ダイ・ビューティフル』をはじめ、クィア映画の公開ラッシュが訪れています。海やプール、イベントの合間に、ご覧になってみてはいかがでしょうか?

特集:2017年夏のクィア映画

この7月、昨年の東京国際映画祭で観客賞と最優秀男優賞をW受賞した『ダイ・ビューティフル』をはじめ、何本ものクィアムービーが相次いで公開されています。過去にもなかなかないような公開ラッシュです(もしかして、レインボー・リール東京の開催時期に合わせて、ということなのでしょうか?)。今月は海やプール、イベントなど遊びの予定がたくさんあるかもしれませんが、気になる作品があれば、ご覧になってみてはいかがでしょうか? 以下、公開順にご紹介いたします。(7/20)
(なお、ピックアップはしませんでしたが、現在公開中の『パワーレンジャー』も5人の主人公のうちの1人がレズビアンで、多様性が意識された人間ドラマになっているそうです。詳しくはこちら



お江戸のキャンディー2 ロワゾー・ドゥ・パラディ(天国の鳥)篇
現在公開中

 女優の広田レオナさんが監督し、完全MEN ONLYにして耽美的な「EDOワンダーランド」という虚構の世界で繰り広げられる男どうしの恋物語として話題を呼んだ『お江戸のキャンディー』の第2弾が製作されました。今回は栗原類さんら新たなキャストを加え、男たちの時空を超えた運命の恋が描かれます。 
<あらすじ>
年に一度の下北沢の祭りの日、北沢白は白鳥太夫の幽霊に導かれるように姿を消し、白を探していた親友の猛、ボーイズバーのボーイ・桔梗を追いかける猛の兄・龍、ボーイズバーのオーナー・六条も姿を消す。100年後のEDO時代。男だけが暮らすその世界で、白は白鳥楼の白鳥太夫、龍は女衒として、六条は大黒楼楼主、桔梗は桔梗太夫として、それぞれ生まれた時からEDOの住民として生活していた。そんな中、下北沢での記憶しかない猛は、口がきけず白たちに思いを伝えられずにいた…。



お江戸のキャンディー2 ロワゾー・ドゥ・パラディ(天国の鳥)篇
2017年/日本/監督・脚本:広田レオナ/出演:栗原類、荒牧慶彦、藤田富、赤澤燈、神谷リク、佐野史郎、吹越満、竹中直人、染谷俊之ほか/下北沢トリウッドにて上映中、7/22より大阪シネ・ヌーヴォ、8/12より名古屋シネマスコーレで上映


ハートストーン
現在公開中

 東アイスランドの雄大で美しい自然が広がる漁村を舞台に、思春期を迎えた少年少女たちの危うく儚く繊細な感情を描いた青春映画。俊英グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソンの初長編作で、彼の10代の頃の友人との実際の体験をベースにした自伝的映画だそう。各国の映画祭で既に40以上の賞を獲得しており、ベネチア国際映画祭のクィアライオン賞も受賞しています。
<あらすじ>
東アイスランドの漁村に暮らすソールとクリスティアン。幼なじみの彼らは、何をするにも一緒という大親友だ。思春期にさしかかり、ソールは大人びた美少女ベータに夢中になる。そんなソールの気持ちを知ったクリスティアンは、ベータとの仲がうまくいくよう後押しするが、内に秘めたソールへの特別な感情に気づき当惑する…。



ハートストーン
2016年/アイスランド・デンマーク合作/監督:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン/出演:バルドル・エイナルソン、ブラーイル・ヒンリクソン、ディルヤゥ・ワルスドッティル、カトラ・ニャルスドッティル、ヨゥニナ・ソールディス・カルスドッティルほか/YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開


ダイ・ビューティフル
2017年7月22日公開

 フィリピンの「ミスコンの女王」として名を馳せたトランス女性・トリシャの突然の死とあまりにも美しく感動的な葬儀、そして彼女の人生を笑いと涙を交えて描いた作品。2016年・第29回東京国際映画祭のコンペティション部門で最優秀男優賞および観客賞を受賞した名作です。主演男優パオロ・バレステロスのメイクの美しさに息を呑みながら、ぜひ映画館で楽しんでください(こちらにレビューを掲載しています)
<あらすじ>
ある日、美女コンテストで優勝したトランスジェンダーのトリシャが突然死してしまう。トリシャの遺言は、7日間のお通夜で、毎回異なるセレブのメイクをしてほしいということだった。残された友人たちは、トリシャの願いをかなえるために奔走する中で、常に自分らしく、美しくあり続けたトリシャの、色鮮やかで少し変わった人生を思い起こす…。



ダイ・ビューティフル
2016年/フィリピン/監督:ジュン・ロブレス・ラナ/出演:パオロ・バレステロス、ジョエル・トーレ、グラディス・レイエス、アルビー・カシノ、ルイス・アランディほか/新宿シネマカリテほか全国でロードショー


さよなら、ぼくのモンスター
2017年8月6日公開

 カナダのオープンリー・ゲイの映画監督(グザヴィエ・ドランに匹敵するとも言われている)ステファン・ダンが、26歳の時に撮った半自伝的作品です。思春期の青年の心の葛藤を卓越した映像センスで描き、長編監督デビュー作にしてトロント国際映画祭で最優秀カナダ長編映画部門を受賞しました。TVドラマ『フォーリング・スカイズ』のコナー・ジェサップが主演を務め、イザベラ・ロッセリーニが声で出演しています。新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2017/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」上映作品。
<あらすじ>
父子家庭で育ったゲイの青年オスカーは、幼い頃に殺人事件を目撃しており、高校生になった現在もそのトラウマに悩まされていた。特殊メイクアーティストを夢みる彼は、ニューヨークの学校への進学を目指す一方で、バイト先の同僚ワイルダーに惹かれていく…。



さよなら、ぼくのモンスター
2015年/カナダ/監督:ステファン・ダン/出演:コナー・ジェサップ、アーロン・エイブラムス、ジョアンヌ・ケリー、アリオシャ・シュナイダー、ジャック・フルトンほか/新宿シネマカリテにて8/6(日)12:30ほか8/14(金)まで6回上映 


ワンダーウーマン
2017年8月25日公開

 DCコミックスが生んだ女性ヒーローとしてアメリカで絶大な人気を博するワンダーウーマンがついに実写映画化。女性だけが住む島の王女・ダイアナが最強の女戦士=ワンダーウーマンになっていく過程と、彼女の第一次世界大戦での活躍が描かれます。女だらけの島のアマゾネス(女戦士)の王女がワンダーウーマンとして男たちをバッサバッサとなぎ倒していくシーンだけでも興奮モノですが、このメジャーなアクション超大作をなぜこの特集で取り上げるのかというと、作者のグレッグ・ルカが「ワンダーウーマンはクィアだ」と語っているからです。「彼女は明らかに、島の中で他の女性と愛し合い、パートナーシップを築いている」「彼女がクィアだということは、物語にとって重要なんだ。なぜならセミスキラ島はその多様性ゆえにパラダイスとして描かれているからね」。そういった部分が映画でどこまで描かれているのか、気になりますよね。ぜひ、映画館で観てみましょう。監督は、女性どうしの恋と逃避行を描いた映画『モンスター』のパティ・ジェンキンスです。
<あらすじ>
女性しかいない島セミスキラのアマゾネスの王女として母親に大切に育てられてきたダイアナ。一族最強の者しか持てないと言われる剣に憧れ、強くなるための修行に励む彼女は、その中で自身の秘められた能力に気づく。そんなある日、島に不時着したパイロットのスティーブとの出会いで、初めて男という存在を目にしたダイアナの運命は一転。世界を救うため、スティーブとともに島を出てロンドンへと旅立つ。



ワンダーウーマン 
2017年/アメリカ/監督:パティ・ジェンキンス/出演:ガル・ギャドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、ダニー・ヒューストン、デビッド・シューリスほか/8月25日より全国でロードショー公開


あしたは最高のはじまり
2017年9月9日公開

『最強のふたり』のオマール・シーが主演を務め、自由気ままなプレイボーイがゲイの友人とともに子育てに奮闘する姿を描いたフランス製ヒューマンコメディ。全米で異例の大ヒットを記録したメキシコ映画『Instructions Not Included』のリメイク作で、フランスでも大ヒットしました。ゲイのベルニーの役をクマ系俳優のアントワーヌ・ベルトランが演じています。
<あらすじ>
南仏コートダジュールで独身生活を謳歌するサミュエルのもとに、かつて関係を持った女性クリスティンが訪ねてくる。クリスティンはサミュエルの娘だという赤ん坊グロリアを彼のもとに残し、姿を消してしまう。慌てたサミュエルはクリスティンを追ってロンドンへ飛ぶが、言葉すら通じない異国の地で彼女を見つけることができず、途方に暮れる。そんなサミュエルを救ったのは、地下鉄で出会ったゲイのベルニーだった。それから8年後、すっかり家族となった3人の前に、グロリアの母クリスティンが現われる…。



あしたは最高のはじまり
2016年/フランス・イギリス合作/監督:ユーゴ・ジェラン/出演:オマール・シー、クレマンス・ポエジー、アントワーヌ・ベルトランほか


The Freedom to Marry
9月13日(水)18:30~上映

 2015年6月26日、アメリカの連邦最高裁判所はすべての州で同性婚を認める判断を示しました。アメリカ全土で結婚の平等が達成されるまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。この映画『The Freedom to Marry』は、同性婚が認められていなかった州の同性カップルたちが立ち上がり、同性婚実現を目指す姿を追ったドキュメンタリーです。憲法で保障されている結婚の平等の権利を得るための闘いが描かれます。
ノースカロライナ・ゲイ&レズビアン映画祭観客賞(ベストドキュメンタリー)など、アメリカのいくつもの映画祭で観客賞やグランプリに輝いています。
なお、この映画は日本での一般公開は決まっておらず(従って邦題もありません)、今回「ソニー・ダイバーシティ・シアター 2017」というイベントで特別上映されるものです(上映時間51分、日本語字幕付)。上映後には、LGBTの方たちが登壇し、企業におけるダイバーシティ&インクルージョン施策、LGBTが働きやすく、活躍できる職場づくりについて話し合うパネルトークも行われます。

The Freedom to Marry
2016年/アメリカ/監督:Eddie Rosenstein/出演:Evan Wolfson, Mary Bonauto, April DeBoer and more/「ソニー・ダイバーシティ・シアター 2017」で上映

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