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特集:クィア・ムービー2017秋

『あしたは最高のはじまり』を皮切りに、この秋も、関西や香川の映画祭だったり、一般上映だったりで、ゲイやレズビアンを描いた映画がいろいろ、たくさん上映されます。まとめてご紹介いたします。

特集:クィア・ムービー2017秋

先週末から上映が始まった『あしたは最高のはじまり』を皮切りに、この秋も、関西や香川の映画祭だったり、一般上映だったりで、ゲイやレズビアン、トランスジェンダーなどを描いたクィア映画作品がいろいろ、たくさん上映されます。芸術の秋と言いますが、お出かけにちょうどいい季節でもあります。気になる作品があれば、ご覧になってみてはいかがでしょうか? 以下、公開順にご紹介いたします。(9/12)
(なお、ピックアップはしませんでしたが、フランソワ・オゾンの新作『婚約者の友人』が10月21日から、トム・フォード待望の第2作『ノクターナル・アニマルズ』が11月3日から、ジョン・キャメロン・ミッチェルの新作『パーティで女の子に話しかけるには』が12月1日から上映されます。いずれの監督もオープンリー・ゲイで、かつ、本当にセンスがよく、まぎれもなくゲイテイストな傑作を世に送り出してきた方です。これらの作品は、特に同性愛が関係してるわけではないようですが、たぶん、どれもすごくイイと思います。チェックしてみてください)



あしたは最高のはじまり
現在公開中

『最強のふたり』のオマール・シーが主演を務め、自由気ままなプレイボーイがゲイの友人とともに子育てに奮闘する姿を描いたフランス製ヒューマンコメディ。全米で異例の大ヒットを記録したメキシコ映画『Instructions Not Included』のリメイク作で、フランスでも大ヒットしました。ゲイのベルニーの役をクマ系俳優のアントワーヌ・ベルトランが演じています。
<あらすじ>
南仏コートダジュールで独身生活を謳歌するサミュエルのもとに、かつて関係を持った女性クリスティンが訪ねてくる。クリスティンはサミュエルの娘だという赤ん坊グロリアを彼のもとに残し、姿を消してしまう。慌てたサミュエルはクリスティンを追ってロンドンへ飛ぶが、言葉すら通じない異国の地で彼女を見つけることができず、途方に暮れる。そんなサミュエルを救ったのは、地下鉄で出会ったゲイのベルニーだった。それから8年後、すっかり家族となった3人の前に、グロリアの母クリスティンが現われる…。




あしたは最高のはじまり
2016年/フランス・イギリス合作/監督:ユーゴ・ジェラン/出演:オマール・シー、クレマンス・ポエジー、アントワーヌ・ベルトランほか/角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、渋谷シネパレスほかで上映中



タンジェリン
〜2017年10月6日(金) 京都

世界はこういう映画を待っていた!と思えるような傑作クィアムービーです。ロサンゼルスの街でたくましく生きるトランスジェンダーの街娼たち(やその客たち)の生き様を痛快に描ききった素晴らしくゲイテイストなコメディです。ドラァグクィーンやSATCや五社英雄作品が好きな方はぜひ!
<あらすじ>
クリスマスイブのLA(ゲイタウン・ウェストハリウッドの辺り)。出所してきたばかりのシンディ(黒人のトランスジェンダー)は、親友のアレクサンドラ(同じく)とドーナツを(お金がないので2人で1個)食べながらおしゃべりしている。シンディが彼氏のチェスターの名前を出すやいなや、間髪入れずにアレクサンドラは「別れるんでしょ? そうよね~あんなことがあったものね」。シンディが「どういうこと?」と聞き返すと、どうやら服役中にチェスターが白人の女と浮気したらしい。怒り心頭に発したシンディは、浮気相手を見つけ出して懲らしめるべく、街へと飛び出す…。



タンジェリン
2015年/アメリカ/監督:ショーン・ベイカー/出演:キタナ・キキ・ロドリゲス、マイヤ・テイラー、カレン・カラグリアン、ミッキー・オヘイガン、アラ・トゥマニアンほか/京都シネマで10月6日(金)まで上映



離れて、離さないで
2017年10月7日(土)〜13日(金) 東京(新宿)

 台湾のイケメン若手俳優たちが共演を果たし、台湾で人気を博したBL(ボーイズラブ)なWebドラマシリーズ「HIStory」の1編。血のつながりのない兄弟として一つ屋根の下で暮らすことになった二人の男の子たちの日々が描かれます。TVドラマ「イタズラなKiss~Miss In Kiss」のデューク・ウーをはじめ、エディソン・ソン、チャオ・マンティンらが出演。
<あらすじ>
ある日、ファンに追いかけられるアイドルのチョン・チンに偶然出会った大学生のフォン・ホー。チョン・チンはフォン・ホーを自分の替え玉にして逃げおおせ、チョン・チンに間違われたフォン・ホーは散々な目にあう。ようやく帰宅したフォン・ホーは、母の再婚相手の息子と対面するが、それは先ほど会ったチャン・チンだった…。



離れて、離さないで
2017年/台湾/監督:ツァイ・ミージエ/出演:デューク・ウー、エディソン・ソン、チャオ・マンティンほか/シネマート新宿にて1週間限定レイトショー



さよなら、ぼくのモンスター
2017年10月7日(土)〜20日(金) 東京(新宿)

 カナダのオープンリー・ゲイの映画監督(グザヴィエ・ドランに匹敵するとも言われている)ステファン・ダンが、26歳の時に撮った半自伝的作品です。思春期の青年の心の葛藤を卓越した映像センスで描き、長編監督デビュー作にしてトロント国際映画祭で最優秀カナダ長編映画部門を受賞しました。TVドラマ『フォーリング・スカイズ』のコナー・ジェサップが主演を務め、イザベラ・ロッセリーニが声で出演しています。新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2017/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」で上映され、動員数1位を記録、大好評につき2週間限定のアンコール上映が決定しました。
<あらすじ>
父子家庭で育ったゲイの青年オスカーは、幼い頃に殺人事件を目撃しており、高校生になった現在もそのトラウマに悩まされていた。特殊メイクアーティストを夢みる彼は、ニューヨークの学校への進学を目指す一方で、バイト先の同僚ワイルダーに惹かれていく…。




さよなら、ぼくのモンスター
2015年/カナダ/監督:ステファン・ダン/出演:コナー・ジェサップ、アーロン・エイブラムス、ジョアンヌ・ケリー、アリオシャ・シュナイダー、ジャック・フルトンほか/新宿シネマカリテにて上映 

 



ハートストーン
2017年10月7日(土)〜20日(金) 東京(阿佐ヶ谷)

 東アイスランドの雄大で美しい自然が広がる漁村を舞台に、思春期を迎えた少年少女たちの危うく儚く繊細な感情を描いた青春映画。俊英グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソンの初長編作で、彼の10代の頃の友人との実際の体験をベースにした自伝的映画だそう。各国の映画祭で既に40以上の賞を獲得しており、ベネチア国際映画祭のクィアライオン賞も受賞しています。YEBISU GARDEN CINEMAでの上映が終了し、ユジク阿佐ヶ谷で上映されることになりました。 ※なお、ユジク阿佐ヶ谷では同時期に、あの号泣必至の名作『リトル・ダンサー』も上映されます。未見の方はこの機会にぜひ!
<あらすじ>
東アイスランドの漁村に暮らすソールとクリスティアン。幼なじみの彼らは、何をするにも一緒という大親友だ。思春期にさしかかり、ソールは大人びた美少女ベータに夢中になる。そんなソールの気持ちを知ったクリスティアンは、ベータとの仲がうまくいくよう後押しするが、内に秘めたソールへの特別な感情に気づき当惑する…。




ハートストーン
2016年/アイスランド・デンマーク合作/監督:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン/出演:バルドル・エイナルソン、ブラーイル・ヒンリクソン、ディルヤゥ・ワルスドッティル、カトラ・ニャルスドッティル、ヨゥニナ・ソールディス・カルスドッティルほか/ユジク阿佐ヶ谷で上映



アンダー・ハー・マウス
2017年10月7日(土)公開

 ユニセックスなトップモデルとして活躍するエリカ・リンダーが映画初主演を務め、自分に正直に生きようとする女性たちの姿を官能的に描いたラブストーリー。主人公のダラスをリンダー、相手役となるジャスミンをナタリー・クリルが演じているほか、監督のエイプリル・マレン、脚本、撮影、プロデューサーなどメインスタッフの多くが女性で占められています。今年のレインボー・リール東京でジャパン・プレミア上映されました。
<あらすじ>
心身ともにたくましく、昼間は大工として働くダラスは、夜ごと違う女性と関係を持つという奔放な日常を送りながら、自身の居場所を探していた。ある週末の夜、ダラスはバーの片隅で、ファッション誌の編集者として成功するキャリアウーマンのジャスミンと出会う。情熱的に絡み合い、お互いの愛を確かめ合った2人の時間は永遠のものと思われた。しかし、ジャスミンには結婚を約束した男性がおり、その男性の存在が、ダラスとジャスミンにはの行く末を遮る大きな障壁となる…。



アンダー・ハー・マウス 
2016年/カナダ/監督:エイプリル・マレン/出演:エリカ・リンダー、ナタリー・クリル、セバスチャン・ピゴットほか/シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー



サウナの夜に  
2017年10月27日(金)、28日(土) 京都


 3月に「ゲイの韓国系アメリカ人青年を描いた映画『SPA NIGHT』がジョン・カサヴェテス賞を受賞」というニュースでお伝えした『SPA NIGHT』が、関西クィア映画祭で日本初上映されます。2016年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、主演のジョー・ソウが審査員特別賞ブレイクスルー・パフォーマンス賞を受賞、また、今年のGLAADメディア賞の長編映画(限定公開)部門にもノミネートされた作品です。
<あらすじ>
在米コリアン2世のデイビッド。両親はコリアン料理店を経営し、移民として苦労しつつも、同胞たちと助け合いながら育ててくれた。ある日両親の店が潰れてしまい、デイビッドは常連として通っていたサウナで働き始める。コリアン同胞たちにとっての憩いと交流の場として、そしてハッテン場として、2つの顔を持つサウナでデイビッドが取る行動とは…。



サウナの夜に 
2016年/アメリカ/監督:アンドリュー・アン/出演:Joe Seo、Haerry Kim、Youn Ho Cho ほか/京大西部講堂で上映(関西クィア映画祭)



女になる
2017年10月28日(土)公開

 男性の体に生まれたが、性別違和に悩み、性同一性障害の診断を受け、性別適合手術を受けることにした大学生・未悠さんの姿を追い、そして未悠さんの家族、友人、大学の教員、医師、そして恋人たちの半年間を軽やかに記録したドキュメンタリー作品です。監督は、セクシャルマイノリティたちの生き方を描いたドキュメンタリー「ITECHO 凍蝶圖鑑」の田中幸夫氏。
<あらすじ>
子どもの頃から女性になることを夢見ていた未悠。高校の時に家族へカミングアウトし、大学に入学し、女性の格好での通学もはじめた未悠は、女性として社会に出るために大学3回生の春休みに念願の性別適合手術を受けることとなった。



女になる 
2017年/日本/監督:田中幸夫/出演:未悠ほか/公開館未定



ゲイビー・ベイビー
2017年10月29日(日) 高松

 同性婚が法制化されていないオーストラリアで、同性カップルを親に持つガス、エボニー、マット、グレアムの4人。それぞれの家庭に密着し、思春期に差しかかろうとしている4人の“ゲイビー”の日常生活を追う。子どもの目線から家族の多様性をとらえた自然体のファミリー・ドキュメンタリーです。レインボー・リール東京2016で上映され、たいへんな評判を呼び(レビューはこちら)、全国各地で上映会も開かれたりするようになっています。今年の香川レインボー映画祭で上映が決定しましたので、四国や岡山の方など、ぜひご覧ください。



ゲイビー・ベイビー 
2015年/オーストラリア/監督:マヤ・ニューウェル/香川レインボー映画祭で上映



Of Love and Law
10/28、11/1 東京(六本木)

大阪の弁護士“夫夫”として知られる南和行さんと吉田昌史さんに3年間密着したドキュメンタリー。ゲイであるお二人が営む法律事務所には、生きづらさを抱える人々がたくさん訪れます。成人無戸籍の人たち、あるいは、漫画家のろくでなし子さんのような性をめぐって社会的注目を浴びる事件も担当します。そんなお二人の姿を通じて、現代日本社会の断面が見えてくる点がこの作品の大きな魅力のひとつです。愛とは?法律とは?と世に問う作品です。一方、お二人も人間ですから、葛藤したり、イライラしたりもして…しかし関西人らしい明るさは、観る方に楽しさを与えてくれます。東京国際映画祭で作品選定にあたる矢田部吉彦さんは彼らのことを「奇跡的な被写体」と呼んでいます。

Of Love and Law
2017年/日本/監督:戸田ひかる/出演:南和行、吉田昌史、南ヤヱほか/東京国際映画祭で上映


アリフ、ザ・プリン(セ)ス
10/26、10/27 東京国際映画祭(六本木)

 アリフは台湾の原住民の族長を父に持ち、村に帰れば後継者となる身。しかし彼の願いは女性になることだった。多様な民族・世代・ジェンダーの間で繰り広げられる新感覚LGBTQ映画。『父の初七日』のワン・ユーリン監督の新境地。
 東京国際映画祭では、この作品や『Of Love and Law』のほかにも『怒り』や『シングルマン』、『トム・アット・ザ・ファーム』も上映されます。

アリフ、ザ・プリン(セ)ス
2017年/台湾/監督:ワン・ユーリン/出演:ウジョンオン・ジャイファリドゥ、チャオ・イーラン、ウー・ポンフォンほか/東京国際映画祭で上映



ジョージ・マイケル:フリーダム
10/28 東京国際映画祭(六本木)

東京国際映画祭で、昨年12月25日に急逝したジョージ・マイケルの遺作ドキュメンタリー映画『ジョージ・マイケル:フリーダム』の緊急上映が決定しました(10/28の「ミッドナイト・フィルム・フェス!」内で上映)。『ジョージ・マイケル:フリーダム』は、ジョージ・マイケルが1990年に発表したヒット作『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1』を制作するまでの期間や、裁判所で争ったレコード会社との確執、恋人であったアンセルモ・フェリッパの死についての心境などに焦点を当てた作品です。ナレーションはジョージ・マイケル本人が担当し、死の直前まで作品制作に携わっていました。ナオミ・キャンベル、クリスティー・ターリングトン、シンディ・クロフォード、タチアナ・パティッツ、リンダ・エヴァンジェリスタ、スティーヴィー・ワンダー、エルトン・ジョン、ナイル・ロジャース、マーク・ロンソン、リアム・ギャラガー、トニー・ベネット、メアリー・J・ブライジ、トレイシー・エミン、ケイト・モス、ジャン=ポール・ゴルチェらが作中に登場しているそうです。

ジョージ・マイケル:フリーダム
2017年/イギリス/監督:デヴィッド・オースティン/出演:ジョージ・マイケルほか/東京国際映画祭「ミッドナイト・フィルム・フェス!」内で上映



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