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夢の終わり…Shangri-La “15th ANNIVERSARY PARTY & the FINAL”レポート

12月16日(土)、Shangri-La “15th ANNIVERSARY PARTY & the FINAL”が開催されました。15年もの間、大勢のオーディエンスに夢を与えてきたShangri-La@ageHaは、その輝かしい歴史に幕を下ろすとともに伝説となり、ひとつの時代が終わりを迎えました。

夢の終わり…Shangri-La “15th ANNIVERSARY PARTY & the FINAL”レポート

2017年12月16日(土)、新木場ageHaでShangri-La “15th ANNIVERSARY PARTY & the FINAL”が開催されました。2002年12月、最新鋭の音響設備と照明(思わず「アゲ!」と叫ぶ人、多数でした)、そしてジョセリン・ブラウンとロレッタ・ハロウェイの夢の競演(ロレッタは「私のいちばんの親友はゲイなの。ゲイ大好きよ!」と言って会場を沸かせました)に酔いしれ、おみやげとして二人が歌う「A BETTER WORLD」のCDもプレゼント…という、本当に素敵な、忘れられない一夜となった伝説のオープニングパーティ(最初は「PARADISE BALL」という名前でした)。あれから15年もの間、のべ24.5万人超のオーディエンスを楽しませてきた「大人の夜のワンダーランド」が、とうとうファイナルを迎える日がやってきてしまったのです。その最後をしっかりと見届けなくては…と、体調を万全にして臨んだShangri-La “15th ANNIVERSARY PARTY & the FINAL”。渾身のレポートをお届けします。(後藤純一)



























 Shangri-Laがとうとう輝かしい15年の歴史に幕を下ろすことになり、イベントが近づくにつれ、いろんな方がTwitter等でShangri-Laへの感謝のコメントをアップしていました。そんなこともあって、このファイナルパーティには、別れを惜しむファンの方、最後にShangri-Laを体験しておこうと駆けつけた方、遠方(沖縄など)からはるばる来られた方など、本当にたくさんの方がいらっしゃいました。ひさしぶりに会う方も多く、ちょっと同窓会的な雰囲気もありました。 
 
 ARENAでは、若手の方も含めてたくさんのDJさんがスピンし(吉田さんの親心を感じました)、大御所の方から若手の方までGOGOさんがなんと50人近くも登場しました(同上)。1回目のGOGOショーで最初に中央ステージに登場したのは、RIOTOさん、MASAHARUさん、大阪のICHIさん、ZENさん(もともと札幌にいて、レインボーマーチを盛り上げていた方)というレジェンドと呼ばれるような方々。Shangri-Laのヒストリーというだけでなく、ゲイシーンそのものへのリスペクトを感じさせる演出に、あやうく泣きそうになりました。その後もたくさんのGOGO BOYSが登場し、今回は恒例のGX3アンダーウェアプレゼントがARENAでも行われたりして、お客さんを喜ばせていました。フロアがとても混雑していたため、階段上から見ていた方も多数、でした。
 
 ISLAND STAGEでは、"RUSHCRUISE R.58STAGE 楽来JAPANTOUR 2017"が開催されました。10周年のこちらのショーや、こちらのショーなど、Shangri-Laの15年の歴史の中でも伝説と呼ぶにふさわしい豪華絢爛絵巻を繰り広げてくれた"RUSHCRUISE"です。ISLAND STAGEには、フロアに入るのが困難なくらいたくさんのお客さんが詰めかけ、錚々たるドラァグクイーンのみなさんのショーにウットリしたり、ゲラゲラ笑ったり、たくさんのGOGO BOYS、ダンサーさんたちのショーを楽しんだりしていました。フィナーレとして、バーカウンターをランウェイに見立てたあまりにもゴージャスなファッションショーが繰り広げられ、夢のような時間をプレゼントしてくれました。
 ISLANDではほかにも、GX3のイケメンモデルさんが目を楽しませたり、ナイモンのプロフィールやGX3のPR映像が大きく映し出されたり、また、二丁目のコミュニティセンターaktaのブースが出展され、アンケート調査が行われていました(1000人超の方がアンケートに協力してくれたそう。素晴らしいですね)
 
 BOX STAGEでは、デブも専ナイトが開催されました。デブも専ナイトがShangri-Laに初登場したのは2011年の"WHITE CHRISTMAS BALL"でしたが、ドラァグクィーンもGOGO BOYも一緒にセミの羽根を背負ってSDN48の「MINMINMIN」を踊るという演出に(いい意味で)衝撃を受け、普通に二丁目で飲んでるような男の子たちをフィーチャーする(秋元康的な)ところも新しく、すっかりファンになりました。そんなデブも専ナイトは、いつものようにボリュームたっぷりなショータイムで楽しませてくれました。肉襦袢ゲブ美さんの伝説のショー(宜保愛子)なども観れて感無量でしたし、GOGO BOYSが普段やらないタオルショーを見せてくれたのも、気合いを感じさせました。

 今回はいつも以上に、これでもかと、あちこちでたくさんのショーが繰り広げられていて、人混みをかきわけながら分刻みで移動、みたいな忙しさでした。おかげでWATER STAGEにはほとんど行けず、DARK ROOMに入るひまもなく、気づけば朝方になっており…ラックルが5時半に終わったあと、ARENAに移動したら、ものすごくたくさんのお客さんが残ってくれていて、ああ、みんなShangri-Laとの別れを惜しんでいるんだなぁ、ラストを見届けようとしてくれてるんだなぁって思って、それだけでジーンときてしまいました。

 フィナーレとして、ARENAの大ステージの幕がパーッと開くと、そこには豪華絢爛なキャストのみなさんが勢ぞろいしていて…それはそれは素晴らしい光景でした。15年間のいろんな思い出が走馬灯のようによみがえりました。CHU*さんが最後にかけた曲は、美しいピアノのイントロから始まる…たぶんChante Mooreの「This time」だったと思いますが、これは2010年にShangri-Laに降臨したフランキー・ナックルズへのオマージュなんじゃないかと思い、また感動が込み上げてきました…。最後に吉田さんがマイクを握り、「こんなにたくさん残ってくれていてうれしいです、15年間本当にありがとうございました」とご挨拶し、会場から大きな拍手と歓声が沸き起こりました(花束も贈られました)。最後にアンコールでもう少し踊りましょう、ということで、CHU*さんが再びDJを始め、金色の紙テープがフロアに降り注ぎ、美しいエンディングを迎えました。最後の最後まで残っていたみなさんも、友達とハグしたり(泣いてる人もいました)、バイバイを言いながら、三々五々帰っていき、そうして、華麗なる夢の時間はジ・エンドとなりました。

 15年もの間、大勢のオーディエンスに夢を与えてきたShangri-La@ageHaは、その輝かしい歴史に幕を下ろすとともに伝説となり、ひとつの時代が終わりました。



 この原稿を書いている今も、Shangri-Laでの楽しかったいろいろを思い出し、たまらなく寂しい気持ちに襲われたりしています。

 思い返せば、みんな笑顔でした。ハッピーでした。ハグしてた。キスしてた。手をつないでた。心通わせてた。愛しあってた。幸せがそこにあった。仕事でストレスを抱えてたり、プライベートでつらいことがあったり、HIVを持っていたり、それぞれにいろいろな事情を抱えていても、Shangri-Laに行けば、友達に会えて、間違いなく楽しい時間を過ごせて、ハッピーになれた。お楽しみもあふれてたし、愛もあふれていたと思います。Shangri-Laはそうやって、たくさんの人たちに極上のエンターテイメントを、最高の一夜を届けてくれました。東京にアジア最大級のパーティを実現させてくれました。
 
 これは海外に行って実際に感じたことですが、ローカルなゲイイベントって、海外から来た人がフラリと入って楽しめるかっていうと、なかなか難しいものがあったりします。でも、Shangri-Laは、どんな国の方でも楽しめるようになっていた、本当の意味での「おもてなし」が実現していたグローバル・クオリティなパーティでした(今回もマンダリンからフレンチまでいろんな言語が飛び交っていました)。だからこそアジア最大級のゲイナイトになったんだろうなぁと思います。

 かれこれ20年+α前、伝説の芝浦「GOLD」でのゲイナイトや「日比谷ラジオシティ」で開催されていたゲイナイト(吉田さん主催)、新宿の「リキッドルーム」でのゲイナイトなどで、クラブってスゴい!楽しい!と思い、触発され、DJになったり、ドラァグクイーンになったり、自分でイベントを主催するようになったりという方がたくさんいたと思います。ゲイなんて完全にアンダーグラウンドだった80年代から、LGBTブームなどと言われる現在まで、時代は随分と変わりましたが(クラブシーン自体が果たした役割も少なくないと思います)、たくさんゲイが集まって、イェイイェイ騒いで、素敵な出会いもあったりして、本当に楽しかった!ゲイでよかった!って思える、そういうことって不変(普遍)だし、世界共通ですよね。Shangri-Laで初めてそういうゲイナイトの魅力を知ったという方も多いのではないでしょうか。

 すべては儚い夢かもしれない。ひとときの快楽かもしれない。でも、みんながちょっとずつ愛を持ち寄って、心も体もオープンにして、同じ空間で音楽やダンスやショーを楽しんで、笑顔で帰って行く、その一夜のかけがえのなさは、永遠です。ああ、あの時本当に楽しかったな、ハッピーだったな、と思えることがたくさんある人生は、きっと、とても素敵だと思うのです。そんなかけがえのない瞬間をたくさんプレゼントしてくれたShangri-Laは、本当に偉大だと思います。感謝しかありません。
 
 もしかしたら、あのageHa@studio coastというゴージャスな会場でゲイナイトが開催されることは、もう二度とないのかもしれません。15年にわたる「大人の夜のワンダーランド」、豪華すぎるクラブ遊園地という夢は、確実にゲイの歴史に刻まれ、伝説として語り継がれていくことでしょう(篤姫が江戸城を明け渡す際、ありったけの豪華な着物を広げて残し、大奥のスゴさを新政府に見せつけたというエピソードを思い出したりもしました)。Shangri-Laを体験できた僕らは、本当に幸せです。そのことに感謝しながら、Shangri-Laから受け取った贈り物をなくさないようにしながら、新しい日々を生きていきましょう。
 

※今回のレポートの画像も、Shangri-Laの吉田さんからご提供いただきました(Photo by EISUKE, UTO)。全画像をこちらからご覧いただけます。

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