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レポート:gaku-GAY-kai 2018

2018年末、毎年恒例の「gaku-GAY-kai」が新宿で開催されました。ゲイの劇団フライングステージとその愉快な仲間たちがゲイテイストなミュージカルやパフォーマンスの数々を披露し、会場を沸かせ、楽しい時間をプレゼントしてくれました。

レポート:gaku-GAY-kai 2018

2018年12月29日・30日、歌舞伎町の「シアター・ミラクル」で開催された「gaku-GAY-kai 2018」をレポートします。ゲイの劇団フライングステージとその愉快な仲間たちがお送りする年末恒例のお楽しみイベント、今回もチケットはソールドアウトとなり、開場時には早い時間からお客さんが行列を作り、会場は熱気に包まれました。第一部「贋作・冬物語」は、シェイクスピアの名作をゲイテイストに翻案した作品で、これまでになくシリアスな場面もありつつ、笑えて泣ける、いいお芝居になっていました。第二部のパフォーマンスと合わせて4時間近くの超盛りだくさんなイベントでしたが、全く飽きさせず、あっという間でした。2018年の年末も、笑顔で、幸せな気持ちで過ごすことができました。(後藤純一)

 

第一部「贋作・冬物語」

 
「贋作・冬物語」は、ここ数年の「二丁目のドラァグクイーン vs 歌舞伎町のホスト」シリーズに連なる作品と言えます。続けて観ている方は、以前からの続きを観ているような感じで楽しめるかもしれません。
 今回のお芝居の元になっている『冬物語』は、シェイクスピアが晩年に描いたロマンス劇(悲劇と喜劇が混在している)で、『真夏の夜の夢』のように神がかり的な魔法が物語のキーになる作品でもあります。



 歌舞伎町の王・レオンティーズは、ひょんなことから、親友である二丁目の王・ポリクシニーズが妻のハーマイオニ(エスムラルダさん)と密通している、ハーマイオニのお腹の中にいる子もポリクシニーズとの間にできた子に違いないと思い込み、レオンティーズは臣下であるカミローに、ポリクシニーズの毒殺を命じます。しかし、ポリクシニーズの無実を知っていたカミローは、彼に危険を伝え、共に歌舞伎町を脱出します。激怒したレオンティーズは、ハーマイオニを牢獄へ入れます。そして、獄中で生まれた息子・パーディタを遠くの地に捨ててくるよう、臣下のアンティゴナスに命じます。アンティゴナスは二丁目へと渡り、不慮の死を遂げるのですが、パーディタは幸い、酒屋の親子に拾われました。
 レオンティーズは、新宿の母の神託によって、ハーマイオニの密通の疑いは誤解であること、そしてパーディタの消息がわからない限り、永遠にレオンティーズは跡継ぎに恵まれないと宣言されます。さらに、王子マミリアスが母の身を心配するあまり死んでしまい、息子の死にショックを受けたハーマイオニも獄中で死んでしまうという悲劇に見舞われ、激しい後悔に苛まれます。パーディタの消息を調べさせるも、アンティゴナスが二丁目で死んでしまっていたため、行方はわからずじまい。レオンティーズは喪に服して暮らすようになります。





 舞台は16年後の二丁目へ移ります。パーディタは二丁目の酒屋の親子のおかげで二丁目一の美しいドラァグクイーン(モイラさん)に成長していました。そんなパーディタと身分違いの恋に落ちた二丁目の王子・フロリゼルは、父ポリクシニーズの反対を避け、二丁目王の臣下となっていたカミローの助言を受け、パーディタと共に歌舞伎町へやって来ます。未だポリクシニーズとの交友を回復できないでいたレオンティーズは、そのきっかけとするために二人を受け入れます。ポリクシニーズが酒屋を伴って歌舞伎町を訪れ、酒屋の証言により、パーディタが実はレオンティーズの娘であったことが明らかになります。晴れてフロリゼルとパーディタは結ばれ、レオンティーズもポリクシニーズとの友情を取り戻します。そして王妃ハーマイオニも奇跡の復活を果たし、大団円を迎えます。

 レオンティーズのアホな思い込みと残虐な行動の不条理さ加減は、ちょっとビックリするくらいシリアスで(尾崎太郎さんの演技力の妙)、gaku-GAY-kaiでこれってアリなの?とか、もしかしてある種の政治家への風刺になってるのかな?とか考えてしまったのですが、後半は一転してのどかな雰囲気になり、歌やダンスで盛り上がり、最後にはうっかり泣けてしまうようなお芝居でした(振り幅スゴい…まるでジェットコースターのよう、と思いました)。役柄もみなさんハマってたと思いますし、途中で挿入される歌やダンスもクオリティが高く、楽しめました(特に、洋楽のカバーであるがゆえにレコ大が取れず残念がられたあの曲は、練習頑張ったんだなぁということがわかる仕上がりで、拍手!でした)。かれこれ20年以上、毎年観ていますが、やはりgaku-GAY-kaiの「贋作」モノは裏切らないな、と思いました。
 


第二部


 第二部では今年も、さまざまな方たちが入れ替わり立ち替わり登場し、多彩なパフォーマンスを繰り広げました。今回もモッチーナさんと宇原さんがMCをつとめ、盛り上げてくれました。以下、出演順にご紹介します(都合により、写真を載せていない方もいらっしゃいますが、ご了承ください)








 
 トップバッターは佐藤達さんの「かみしばい〜僕の話をきいてください〜」。今回も秋田での子供時代のエピソードを紙芝居で見せてくれました。面白かったです。
 そして、朗読「水月モニカの百合物語」、関根信一さんの女優リーディング、ぶー子さんの「ひとりのビッグショー」vol.3、アガペイズの「おっさんずライブ」、西山水木さんの防弾エプロン2018と、恒例の演目が続きました。
 モイラさんの「小夜子なりきりショウ」、今回も美しかったです。
 ジオラママンボガールズさん、今回も昭和歌謡の素晴らしさを余すところなく伝えてくれました。『運の悪いヒポポタマス』とか、選曲が本当にシブいです。
 今回も観れて本当によかったです、「中森夏奈子のスパンコール・チャイナナイト」。まさかの「U.S.A.」を明菜風に歌うという夏奈子さんならではの芸で、お腹がよじれるくらい笑わせてもらいました。
 大トリはもちろん、エスムラルダさん。12月にデビューした八方不美人の『愛なんてジャンク!』を歌ってくれたのですが、以前より格段に歌が上手くなっていて、プロになると違うんだなぁと感心。恒例の「エスムラルダ・デ・マンボ」では、出演者のみなさんがステージに総登場し、華やかなフィナーレとなりました。

 全部で4時間近くの超盛りだくさんなイベントでしたが、全く飽きさせず、あっという間でした。今回は会場にお子さんやらお年寄りやらも見えていて、ゲイという枠を超えたお楽しみイベントになった感がありました。みなさん笑顔で、幸せな気持ちになれたことと思います。
 
☆「gaku-GAY-kai 2018」のフォトアルバムはこちら




※2019年1月24日(木)〜1月27日(日)に、劇団フライングステージの関根信一さんが作・演出を務める『わたしとわたし、ぼくとぼく』という舞台があります。劇団うりんこという児童向け劇団のお芝居ではあるのですが、興味のある方はぜひ(詳細はこちら

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