FEATURES

その他の記事

今こそ観たい、ゲイの監督が生んだ名作映画

連日の悲惨なTV報道や不安な日々に心が疲れてしまっている方も多いはず。週末のイベントも中止が相次いでいます。そこで、宅配可能なDVDの中で、ゲイの監督による心癒される名作映画を5本ピックアップしてみました。

今こそ観たい、ゲイの監督が生んだ名作映画

ここで紹介するのはどれも、ゲイ(またはバイセクシュアル)の監督が作った映画です。また、心臓を刺激するようなシーンがなく、悲劇でもなく、感動したあとに元気が出てくるような名作ばかりです。そして、すべてTSUTAYA DISCAS(DVDの宅配サービス)を利用して、家から出なくても取り寄せることができます。きっと、疲れた心にしみわたり、癒され、前向きな気持ちになれるはず。この週末は、お部屋でDVD鑑賞するのもいいのでは?と思います。(後藤純一)

ショートバス

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が世界に放つ、究極の愛と救済の物語。
 9.11後のニューヨーク…人々が他者と知り合い、交わることを怖れる時代。音楽やお酒、自由な語り、SEXを楽しめるアンダーグラウンドなサロン『ショートバス』がこの街に希望を灯します。そこに集う人々は、それぞれに深い苦悩を抱えていますが、ちゃんと見てくれてる人がいる、助けてくれる人がいる。
 お金を絶対的な価値(勝ち)基準として単一の生き方を押し付けようとする危険な風潮が世界を覆っていたように思いますが、SEXの前には社会的地位も年齢も性別もセクシュアリティも人種も関係ないし、幸せで豊かな人生とはお金ではなく自分を解放すること、愛を知ること、というメッセージでした。
 ゲイの監督らしい、素敵なキャラクターと素敵なな音楽、笑い、愛情がたっぷり盛り込まれていて、まったく退屈することなく楽しんで観ることができます。ものすごく刺激的でヘンタイなシーンの連続なのに、癒されまくります。ラストシーンはきっと大好きになると思います。
ショートバス
2006/アメリカ/監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル/出演:スックイン・リー、ポール・ドーソン、PJ・デボーイ、リンゼイ・ビーミッシュ、ジャスティン・ボンドほか

リトル・ダンサー

 イギリスの貧しい町で、女の子ばかりのバレエ教室にひとり参加する男の子、ビリー。先の見えない暮らしのなかで、どんなに笑われようと殴られようと自分に正直に生き、そして困難にも負けず、力の限り踊るビリーの姿に世界中が勇気づけられます。
 そしてビリーの才能を見いだし、無償でバレエを教える女教師や、初めは罵りながらも最後には息子に未来を託そうと決意する父親の人間らしさに胸を打たれます。それぞれに複雑な思いを抱える大人たちが、奇蹟へとつながる道を用意したのです。
 周りからなんと思われようと、自分の信じた道を真っ直ぐに歩んでいけば、世界は広がる、夢は本当になる、そう思える作品です。
 監督は『めぐりあう時間たち』『愛をよむひと』のスティーブン・ダルドリーです。
リトル・ダンサー
2000/英/監督:スティーブン・ダルドリー/出演:ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ゲアリー・ルイス、ジェイミー・ドラヴェン、アダム・クーパーほか

トーク・トゥ・ハー

『バチ当たり修道院の最期』『神経衰弱ぎりぎりの女たち』『アタメ』『キカ』などで知られるスペインのゲイの映画監督、ペドロ・アルモドバル。その濃くて過剰でキッチュでドタバタなテイストがすっきり削ぎ落とされ、普遍的高みを感じさせるような、魔法のような感動を与えてくれる作品です。
 誰かを想いつづける気持ち、人と人とが心を通わせあうということ、祈りと奇蹟…観終わったあと、わけもなく涙がこぼれてきました。その感動は、とても言葉にできない…自分の意志とは関係なく、体の芯からじわじわと沸き起こってくるようなものでした。
 ピナ・バウシュ、カエターノ・ヴェローゾといったヒスパニック系の一流アーティストによるパフォーマンスがここぞというところで使われていて、作品に深みや豊かさを与えてくれています。
 愛する人といっしょにぜひ、観てみてください。
トーク・トゥ・ハー
2002/スペイン/監督:ペドロ・アルモドバル/出演:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレスほか

愛についてのキンゼイ・レポート

 アルフレッド・キンゼイ博士の地味な伝記映画…かと思いきや、ゲイ史に残るようなとんでもない傑作でした。キンゼイという人の生き様を通じて「偏見を乗り越えること」「多様性を祝福すること」「科学ではわからないこと=愛」の大切さを伝えています。ひとことで言うなら、とてもパレード的な映画だと思います。「ゲイでよかった」と思えるような素晴らしさがあります。
 あの名作『ドリームガールズ』を監督し、『シカゴ』の脚本を書いたビル・コンドンの作品ですから、ゲイが楽しめないはずがありません。ミュージカルではありませんが、レッキとしたエンターテインメント作品だと思います。
愛についてのキンゼイ・レポート
2004/米/監督:ビル・コンドン/出演:リーアム・ニーソン、ローラ・リニー、クリス・オドネル、ティモシー・ハットン、ジョン・リスゴーほか

フローレス

 ドラァグクイーンとゲイ嫌いなオヤジとが、いがみあいながらもだんだん心を許し、友情を育んでいくというストーリーですが、単に心あたたまる「いい話」に終わるのではなく、ドラァグクイーンならではの笑えるシーンもあり、ゲイの世界のものすごく深いところを突いていたり、人生の真実の一面に触れていたり、エンドロールを観ながら泣けてきたり…名作だと思います。
 オヤジにはオヤジのプライドがあり、女装には女装の意地がある…二人が仲よくなれたのは、自らの品性を忘れず、気高く、プライドを貫き通している姿が同じだったからだと思います。二人ともそれなりに悪いこともしていますが、「スジ」は通すのです。情に厚い人間こそ仲間が手を差しのべてくれる、そして、プライドをもって生きる人間こそ、救われるし、幸せになれる、そんなメッセージが伝わってきます。
 監督は『オペラ座の怪人』『バットマン フォーエヴァー』のジョエル・シュマッカーです。
フローレス
1999/米/監督:ジョエル・シュマッカー/出演:ロバート・デ・ニーロ、フィリップ・シーモア・ホフマン、バリー・ミラー、スキップ・サダスほか

その他のオススメ作品

 以下の作品は、いずれも人気を博したエンターテインメント作品ですので、すでにご覧になった方も多いかと思います。が、もしまだ観ていないという方はぜひ、この機会に。すべてゲイの監督が作った、素晴らしい映画ばかりです。
・『ドリームガールズ』監督:ビル・コンドン
・『ヘアスプレー』監督:アダム・シャンクマン
・『8人の女たち』監督:フランソワ・オゾン
・『ハッシュ!』監督:橋口亮輔
・『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』監督:ガス・ヴァン・サント