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レポート:gaku-GAY-kai 2010

「これを見なきゃ年が越せない」と言う方も多い、年末恒例のコミュニティ・イベント「gaku-GAY-kai」。クラブイベントとは異なり、演劇やダンスなどの「出し物」を客席で鑑賞するタイプのお楽しみイベントです。今年で14回目を迎える長寿イベントの模様をレポートいたします。

レポート:gaku-GAY-kai 2010

 東京では約15年前、自らのセクシュアリティを肯定し、前向きなゲイライフを選択し、固有のゲイカルチャーを楽しみ、パレードにも参加するようなコミュニティが築かれはじめていました。そういう人たちが集まり、年に一度の忘年会で「出し物」を楽しむようなコミュニティ・イベントとして「gaku-GAY-kai」がスタートしました。今年で14回目を迎え、すっかりゲイシーンの長寿イベントとなっています。
 渋谷のスペース「edge」でスタートし、新宿文化センター小ホール→二丁目の「ArcH」→新宿「シアター・ミラクル」と会場を移してきました。以前は1夜限りのイベントでしたが、昨年から数回の公演が行われる形となりました。

 さて、「gaku-GAY-kai 2010」12月30日昼の部の模様をお伝えしましょう。
 寒波の影響でかなり寒い日となった12月30日(晦日)、開場時間にはすでに大勢のお客さんが詰めかけており、満員御礼となっていました。
 休憩も含めて全部で3時間超というロングな公演でしたが、「楽しい時間はあっという間」で、たくさんの「出し物」を堪能できました。


第一部「贋作・Wの悲劇」

 劇団フライングステージのメンバーやゲイシーンの人気パフォーマーなどによって演じられる恒例のパロディ演劇。「贋作・大奥」「贋作・犬神家の一族」などのゲイに人気な題材が選ばれてきましたが、今年はゲイのバイブルとの呼び声高い映画「Wの悲劇」をパロディにした「贋作・Wの悲劇」の再演でした(きっと今年8月に亡くなった南美江さんへのオマージュでもあったのでしょう)
 5年前に観たという方も、キャストが交代したことでまた違った味わいを楽しめたと思いますし、初めての方も、あのシチュエーション、あの名セリフのオンパレードに爆笑したハズ。映画も全く知らない…という方も「うちの劇団の主演クラスの女優は全員女装なのよ」みたいなところでウケたのでは?と思います。やっぱり「Wの悲劇」(一部「時をかける少女」が入ってますが)はゲイのバイブルだなあと思いました。
 この恒例の第一部のお芝居の主演女優は常にアルピーナさんと決まっていて、今回も安心してキレイどころのヒロイン・三田静香を楽しめたのですが、もう1人、今回は羽鳥翔(三田佳子)役の岸本啓孝さんにも主演女優賞をあげたいキモチです。初めは男役で、そのうちゲイバーのママ役ではじけ、今回は満を持しての大女装。大柄でトゥーマッチで迫力あるドラァグクイーン的キャラ、よく通る声と演技力で、芝居をグイグイ引っ張っていってくれたと思います(第二部でも司会を務め、楽しませてくれました)。もちろん、時をかける人形・知世ちゃん役のエスムラルダさん、高木美保役のマヤ吉さん、南美江役のモイラさんなども、カンペキにキャラを演じきっていましたし、素朴な魅力の永山雄樹さん(昭夫役)、安心感No.1な水月アキラさん(腹上死する堂原良造役)、より美しさに磨きがかかってきた石関準さん(妊娠する小谷光江役)といった以前からのキャストも、みんながそれぞれいい味を出していました。

第二部

「カリカチュア」
 門戸大輔さん作で、以前フライングステージの団員だった吉岡さん、エスムラルダさんのショーのバックダンサーを務めていた森さんの3人による、ゲイの世界のある一面をテーマにしたお芝居でした。
 おたがいの本名も知らず、ヤルだけの関係になりがちなゲイの人間関係…それが大きな悲劇につながることも…死してなお、茶化されるゲイの悲哀。とてもせつなく、シニカルな舞台でした。

「レズビアンエロチカコラボ官能小説朗読 西域女怪奇譚」
 一人芝居をやることが多かったgaku-GAY-kai」の常連、水月モニカさんは、ツヅラカヅサさん作の「西域女怪奇譚」という作品を朗読しました。派手な格好も面白ければ、読まれたテキストも面白かったです。
 西遊記の三蔵法師一行が訪れそうな怪物の棲み家で、2人の女性?が濃厚なカラミを…というストーリーで、思わず体がムズムズするような、エロティックな朗読でした。

「女優リーディング「真珠」」
 フライングステージの座長・関根信一さんが三島由紀夫の短編「真珠」をイッセイ・プリーツのドレスで女優のように朗読。テンポよく、抑揚が効いた、半分演技しながらの朗読は、さすが!の一言でした。
 お金持ちなご夫人方がお茶会で無くなった真珠をめぐり、ああでもないこうでもないと策をめぐらし、事態はとんでもない方向へ…というお話。社交界セレブへの皮肉がたっぷり詰まった、三島らしい、ちょっとキャンプな作品を楽しめました。

「リヴァイタル」
 ドラァグクイーン・モイラさんが、伝説のモデル・山口小夜子に扮し、80年代の資生堂「リヴァイタル」のCMの世界を再現。
 指先から後ろ姿まで全身に神経が張りめぐらされ、モイラさんの美意識が発揮されたパフォーマンス。それでいて小夜子らしさが十二分に表現されていて、ゲイ心をくすぐるところもあり、本当に美しく、素敵でした。拍手!

「天辺歌劇場 2」
 歌手、俳優、ダンサーとして活躍する松之木天辺さんは、今年も素晴らしく面白いコメディを披露してくれました。男からデートの誘いを受ける妄想にふけっている仕事中のOLという設定の寸劇は爆笑もので、突然、歌謡曲に合わせてリップシンクショーも始まり(ダンスのテクもふんだんに盛り込まれ)、最後には「10m以内に17人もいる」とGrindrネタも盛り込まれ。大笑いさせていただきました。拍手!

「時をかけるジオマン 昭和へGO!」
 宝塚で言う「大階段」のショー(お約束&お楽しみ)のように「gaku-GAY-kai」の大トリを飾ってきたジオラマ・マンボ・ガールズ。さすがに10年以上もやり続けているので、ここに来てリニューアルが図られ、衣装やヅラ(高島田)もお正月風にアレンジされ、工夫が凝らされたパフォーマンスで、よりパワーアップしていました。

 最後は出演者全員がステージに登場し、関根さんが「今年もお世話になりました。また来年、お会いしましょう!」とご挨拶して、楽しい時間も終わりを迎えました。(後藤純一)

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