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レポート:アジアンクィア映画祭

7月8日(金)、アジアンクィア映画祭(AQFF)が初日を迎えました。シネマート六本木のゆったりした座席で快適にゲイ映画を楽しむことができ、大満足!でした。

レポート:アジアンクィア映画祭

梅雨明けを目前に控えた7月8日(金)、シネマート六本木で第3回アジアンクィア映画祭(AQFF)がスタートしました。今年は東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(TILGFF)が10月開催となり、このAQFFが7月の映画祭として開催されています。たぶんAQFFにはまだ行ったことがないという方もいらっしゃるかと思いますので、どんな感じなのか、速報的にレポートをお届けしたいと思います。(後藤純一)

 シネマート六本木は、地下鉄六本木駅から歩いてすぐの場所にある映画館で、たぶん新しめの建物だと思うのですが、座席がとてもゆったり作られているため(飲み物を入れるホルダーだけでなく、傘立てやカバンかけが各座席についているのがスゴイ!と思いました)、お尻が痛くなったりせず、快適に映画を楽しむことができました。中で飲食もでき、入口の横に喫煙所があり、すぐ近くにコンビニもあって、3本立て続けに観ても疲れを感じませんでした。本当にいい会場だと思います。
 これまでのTILGFFの会場・新宿バルト9と同様、一般の映画も上映されていますが(ちなみに現在、『イヴ・サンローラン』も上映中)、AQFFはシネマート六本木の3Fを独占するかたちになっていて、特にブースなどは無いのですが、3FはすべてAQFF関係者という感じで、一般のお客さんを気にしたりすることもなく、カップルや友達どうしで来てものびのびとゲイゲイしく過ごせる感じです。

 14時40分、主催者の方からオープニングのあいさつがあり、『海南、潮州と白いブラ』の上映がスタートしました。
 芸能人のスタイリストをしているMTFの潮洲が、空から降ってきたブラをきっかけにFTMの海南(超野郎系。たぶんイケる!という方もいるハズ)ともめて…というドタバタなラブコメディでした。とんでもなくヘンテコな潮洲の同居人、ちょっとサバけた海南のモトカノ、海南のお母さんなど、いい味出してるキャラがわんさか出てきて、とってもクィアで面白い展開な中に幸せが描かれていて、ちょっとホロリとさせられます。
 上映後には、プロダクションアシスタントを務めたMINDYさんと”Sintok”シンガポール映画祭実行委員の松下由美さんが登場し(いちばん上の写真)、映画にまつわるトークを披露。この映画、こんなにクィアな内容なのに、シンガポール政府から助成金をもらえたんだそうです。いい話!でした。

 16時50分からは短編集Aを鑑賞。
 1本目の『ランドリー・クィーン』は、とてもわかりやすくてキラキラなゲイコメディでした。
 4本目の『セイント』は、ちょっとショッキングな内容ながら、未だかつてゲイ映画祭では観たことがないような、心を揺さぶられるような作品でした。『セイント』というタイトル、本当にその通りだと思います。これぞアジア!と言えるかもしれません。
 でもなんといっても5本目の『アジュンマ!正気なの???』にゲラゲラ笑わせていただきました。ハワイでモムチャンな韓流スターを追いかけるオバサン(アジュンマ)軍団が、ギャル軍団としのぎを削りながら、追っかけをどんどんエスカレートさせていくという爆笑コメディ。なぜゲイに関係あるのか?は観てのお楽しみです。
 上映後、『アジュンマ!正気なの???』でアソシエイトプロデューサーを務めたTina Nakakukiさんが登場し(上から3番目の写真)、映画製作の裏話やハワイのゲイ事情なども教えてくれました。ちなみにこの映画を観ると、イケメン韓流スターを演じていた男の子が誰なのか、きっと気になると思いますが、モデルとして活躍している Michael Hsiaという方で、日本でもTVCMに出たことがあるそうです(ネット上にはあまり情報が無いのですが…検索してみてください)
 
 18時50分からは『チョンノの奇跡』を観ました。
 鍾路(チョンノ)はソウルの二丁目。彼氏どころか誰ひとりゲイの友達がいなかったというような人も、ここでかけがえのない恋人や友達を見つけ、生き生きと輝けるのです。
 そんなチョンノに生きる4人のゲイの姿を追ったドキュメンタリーです。たとえば軍隊に入るときに同性との経験があると告げたために強制的に1年間精神病院に入れられたり、HIVの治療薬がすべて効かなくなり、命を賭けて国や製薬会社に抗議したり(政府は黙殺だそうです)…目の前が真っ暗になるような現実があることに驚かされます。しかし、誰ひとり、そうした状況を呪ったり、自暴自棄になったりせず、みんな本当に屈託なく、冗談を言ったり、撮影してる人を気遣って食べ物をあげたり…その素直な明るさ、前向きな力強さに深い感銘を受けました。また、ゲイの合唱団(たぶん全員がサラリーマンだと思います)の方たちの大半が顔出しで登場していることにも感動しました。
 ちなみに1人目のソ・ジュンムンさんは、2年前のAQFFで大きな感動を呼んだ『蛍の光』の監督さんでした。『蛍の光』は(『チョンノの奇跡』もそうですが)国内で評判を呼んだそうで、世間の人たちがゲイのリアリティを理解するという意味でものすごい貢献をしただろうと想像します。
 意外に知られていない韓国のゲイ事情がよくわかる、涙あり、笑いあり、さまざまな驚きありの、本当にいい映画でした。

 平日ということもあり、昼間はそれほどでもありませんでしたが、夜の回はお客さんもけっこう多く、土日はもっと混むだろうな…という感じでした。でも、決してチケットが売り切れたりはしていませんので、ふらりと行ってみても全然OKだと思います。
 暑い夏だからこそ、熱いアジア映画をぜひ!