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秋の映画祭特集(2):香川レインボー映画祭

芸術の秋にふさわしく、この9月~10月は、東京、関西、香川でセクシュアルマイノリティの映画祭が開催されます。そこで、上映作品を中心に、これらの映画祭をご紹介。第2弾は10月に開催される香川レインボー映画祭です。

秋の映画祭特集(2):香川レインボー映画祭

 10月9日(日)、四国で最高層を誇る高松シンボルタワーの中の「e-とぴあ・かがわ BBスクエア」という会場で、第7回香川レインボー映画祭が開催されます。
 2005年、東京や大阪の映画祭に続き、香川在住の藤田博美さんという方がスタートさせたイベントで、毎年秋に開催され続け(映画祭とは別に『ハーヴェイ・ミルク』『ハッシュ!』などの上映会も催されてきました)、今年で第7回目を迎えました。

 この香川レインボー映画祭、実はスゴいイベントです。

 まず、上映作品が本当に厳選されたイイ映画ばかりです。
 昨年はオノ・ヨーコも出演しているメジャー作品『ヴォイス・オブ・ヘドウィグ』や、ベルリン国際映画祭でテディ賞を受賞した『Tattoo ―刺青』などが上映されましたが、今年はアジアゲイ映画の金字塔とも言うべき『僕の恋、彼の秘密』(台湾)、東京でも繰り返し上映されているポップなゲイ映画『ただの友達?』(韓国)をはじめ、『ピュ~ぴる』や『百合子、ダスヴィダーニヤ』など、今年の話題作がしっかりセレクトされています。プログラム選びの目の確かさを感じさせます。

 それから、行政や一般企業とのタイアップの規模が、想像を絶するスゴさです。
 香川は今、直島をはじめハイクラスな美術館が次々に建設され、アート王国として注目を集めていますが、そうした流れで開催されている「かがわ文化芸術祭2011」に、この香川レインボー映画祭も公式に参加し、香川県と共催という形になっています。
 それだけでなく、高松市や高松市教育委員会をはじめ、中四国のTV局や新聞社などがこぞって後援に名を連ねています(RSK山陽放送、RNC西日本放送、KSB瀬戸内海放送、TSCテレビせとうち、OHK岡山放送、中讃テレビ、高松ケーブルテレビ、朝日新聞高松総局、毎日新聞高松支局、読売新聞高松総局、産経新聞高松支局、山陽新聞社、四国新聞社、高松リビング新聞社、FM香川、FM81.5など)

 今年はさらに、同時開催で「君のままでいい.jp」メッセージ展や、 同性婚・パートナーシップについての展示も行われ、セクシュアルマイノリティがより暮らしやすい社会になるようにという願いが込められた取組みも行われます。

 高松は決して大都市というわけではありませんし、コミュニティも小規模(ゲイバーは5軒くらい)ですが、地方でもこんなにスゴいことができる!というモデルケースになっていると言えます。
 きっと一般の方も大勢来場することでしょう。世間の人たちにセクシュアルマイノリティのことを認知してもらえるような素晴らしい機会になるはずです。(後藤純一)


第7回香川レインボー映画祭
日時:10月9日(日)10:30開場 19:30終了予定
会場:e-とぴあ・かがわ(高松市サンポート2-1高松シンボルタワー タワー棟4・5階)
チケット:通し券(4プログラム券)前売4,000円/当日4,400円、1プログラム券 前売1,100円/当日1,300円



上映作品

ピュ~ぴる

 近年世界的な評価を得ている日本人コンテンポラリーアーティスト、ピュ~ぴる。手作りのコスチュームでクラブ通いをしていた2001年から、性同一性障害、失恋、去勢手術を経て横浜トリエンナーレでのパフォーマンスに至るまでの感動の軌跡を、長年の友人である松永大司が8年間に渡ってドキュメント。ピュ~ぴる自身のインタビューを通して心と身体、そして生み出された作品の変遷を辿る。また、事実を複雑な心境で受け止めつつも、常にあたたかく見守ってきた家族や周囲の人たちとの信頼関係、愛する人との微妙な距離をも膨大な映像によって明らかにしていく。
 ピュ~ぴるさんはいつもお友達やお兄さんに支えられ、「ヘンな人」として孤立することもなく、人と人との関わりが反映された…いわば根底に「愛」を感じさせる作品を生み出し、色物的存在からアーティストへと変身していきます。そうして、ジワジワ厳しいこの国の空気に金色の風穴を開けるのです。素晴らしい作品です(後藤のレビューはこちら
ピュ~ぴる』Pyuupiru 2001-2008

2009年/日本/監督:松永大司


僕の恋、彼の秘密

 田舎に暮らす17歳のティエンはカッコイイ男の子との恋に憧れている。夏休み、ティエンは新しい出会いを求めて台北へと向かった。台北で彼が最初に出会ったのはメールでやり取りをしていた男性。いきなり「SEXしよう」と誘われたものの、その意味すらよく分からない純なティエンは断ってしまう。ゲイの親友ユウのアパートに転がり込んだティエンは彼が働くクラブである男性に一目惚れしてしまう。その相手は“ミスター・ラブマシーン”と呼ばれるプレイボーイのバイ。一夜限りで男を捨てていくバイのやり口を知っている友人たちは反対するが、ティエンはバイへの想いをつのらせていく。
 文句ナシにカワイイ男の子たちのラブロマンスをメインに据えながら、クラブやパレードなど台湾のゲイシーンの楽しさも描写され、たぶんアジアのゲイ映画(メジャー作品)として初めて、一点の曇りもない前向きな明るさで作られた画期的な作品です。主演のトニー・ヤンが台湾アカデミー賞で最優秀新人賞を獲ったことも話題になりました。もしまだ観たことがないという方はぜひこの機会に!
『僕の恋、彼の秘密』Formula 17/十七歲的天空
2004年/台湾/監督:DJチェン、陳映蓉/出演:トニー・ヤン(楊祐寧)、ダンカン・チョウ(周群達)


あっそう

 インターセックスとトランスジェンダーの二人の恋愛ストーリー。川端あきらは喫茶店の店員・日暮(ひぐらし)すずりから告白される。日暮の魅力的な容姿に二つ返事でOKする川端であったが、店長から「日暮は男だ」と告げられる。ふだん何の疑問も抱かずに過ごしがちな性別・性自認・性指向の撹乱を目指した作品。
『あっそう』don’t care who you are.
2011年/日本/監督:イノエウ イゾー<来場決定、舞台挨拶あり> /出演:稲垣貴俊、辻本彩衣、小原光洋、寺田有


CoCo

 香川で作られた、たっぷり笑えてちょっぴり切ないニューハーフムービー。ある朝、ニューハーフのココの元に、姉のように慕うイブからの引退パーティの招待状が届いた。ココは、イブへのはなむけとして最高にゴージャスなドレスを用意するが、トラブルメーカーの後輩達のせいで… はたしてココはパーティに間に合うのだろうか?
『CoCo
2010年/日本/監督:伊丹健太 /脚本:堀川真貴香/出演:谷本綾平、小西金太郎、黒木由紀美、谷彩子【さぬき映画祭2010映像塾作品】


くらげくん

 乙女チックなくらげくんはガキ大将タイプの虎太郎が大好き。この想い届くのか?永遠のノスタルジーと現代が同居する新世代の子供映画が誕生!
 昨年の東京レズビアン&ゲイ映画祭のコンペでグランプリ(観客賞)を受賞した作品です。まだ小さいくらげくんがゲイなのかトランスジェンダーなのかはよくわかりませんが、そのかわいらしさ、いじらしさには誰もがほだされ、「そのままでいいんだよ」と言いたくなります。とても日本的な小品です。
『くらげくん』Jellyfish Boy
2010年/日本/監督・脚本・編集:片岡翔/出演:安田 蓮、郡司大輝【PFFアワード2010準グランプリ作品】


ただの友達?

  兵役についている恋人ミンスの休暇に、セオクは楽しい夜を期待してミンスを訪ねる。しかしミンスの母親も登場し一緒に泊まることに。二人の関係を怪しむ母親に、二人は「ただの友達」と答えるが…。
 これまでの韓国映画のイメージを覆すような、二人の少年のみずみずしい恋を描いたポップでキュートな作品。K-POPの国ならではの楽しいショータイム(?)映像も盛り込まれ、心から楽しめること間違いナシ。東京の映画祭でも繰り返し上映されている人気作です。
『ただの友達?』Just Friends?/친구사이?
2009年/韓国/監督:キム=ジョ・グァンス/字幕提供:関西クィア映画祭


百合子、ダスヴィダーニヤ

 大正から昭和にかけて、本当にあった愛と別れの物語。1924年(大正13年)ロシア語を勉強しながら、雑誌『愛国婦人』の編集をしていた湯浅芳子は、野上弥生子の紹介で、中條百合子と出会う。百合子は17歳で『貧しき人々の群』を発表し、天才少女と騒がれた小説家。19歳の時に遊学中のニューヨークで、15歳年上の古代ペルシア語研究者の荒木茂と結婚するが、芳子と出会った5年後には二人の結婚生活は行き詰まっていた。お互いに惹かれあった芳子と百合子は親しく付き合い始めるが、芳子は「私は、男が女に惚れるように、女に惚れる」と公言して憚らない女性だった。二人の情熱的な関係は恋愛か友情か? 二人はディスカッションしながら関係を深めて行く。しかし、それは荒木にとって生活の根底を揺るがすものだった…。
百合子、ダスヴィダーニヤ
2011年/日本/監督:浜野佐知<来場決定、トークショーあり> /脚本:山﨑邦紀出演:菜葉菜、一十三十一、大杉 漣、吉行和子