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充実の2Weeks〜映画祭を振り返って

7月9日に新宿バルト9でスタートした第19回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭。15日からは青山スパイラルホールに会場を移して開催され、涼しい会場で映画を観たり友達としゃべったりしながら、楽しく過ごすことができました。充実した2週間をくれた映画祭の総まとめ的レポートをお送りします。

充実の2Weeks〜映画祭を振り返って

 9日から19日まで、2週にわたって開催された映画祭。観客総動員数などはまだ発表されていませんが、めずらしく1日も雨が降らない好天の中(むしろ猛暑な勢いでした)、いくつものプログラムが満席(チケット売り切れ)になり、本当にたくさんの方たちでにぎわっていました。

 スパイラルのホワイエ(ロビー)では、ゲイカップルやお友達グループが多数訪れ、待ち時間にドリンクを飲みながらおしゃべりを楽しんだり、映画祭ファンの方たちが「また今年も会えたね~」と再会を喜んだり、ブースでのお買い物を楽しんだり、みなさんが思い思いに楽しんでいました。ちなみに最終日にはおぐねーさん&Kaedeさんなどもご来場されていました。

 開幕からスパイラル2日目までのレポートについては以下をご覧ください。

バルト9で開幕! http://gladxx.jp/features/scene/377.html

スパイラル初日レポート http://gladxx.jp/features/scene/396.html

2日目レポート http://gladxx.jp/features/scene/397.html

 

スパイラル3日目から最終日までのレポート

 ここからは、スパイラル3日目から最終日までのレポートをお届けします。

 18日(日)には人気ドラァグクイーン、レイチェルさんの「La forêt de Rachel D'Amour」と「おばけのマリコ・ローズ」を観ました。「La forêt de Rachel D'Amour」は言葉を使わずに映像だけで語られる作品でちょっと神話的でミステリアスな雰囲気がありました。「おばけのマリコ・ローズ」はゲイもビアンもバイセクシュアルもトランスジェンダーも、いろんな要素が盛り込まれつつ、誰もが元気になれるような、素晴らしい作品でした。

 最終日(海の日)にはメディアでも話題になっていた中国のゲイ映画『スプリングフィーバー』が上映され、主演イケメン男優2人が来場し、今回の映画祭の白眉といった雰囲気を醸し出していました。『スプリングフィーバー』主演男優2人のQ&Aセッションの模様はこの後の章でご紹介します。


 「レインボーリール・コンペティション」は、クオリティが高いと言われていただけあって、本当にそうだと感じました。ストレートの方がセクシュアルマイノリティへのあたたかな視線で撮った作品がとても多く、中でも、ゲイ(トランスジェンダー?)の男の子とその友達の男の子、2人の間の友情のような愛のような心の揺れ動きをとてもかわいらしく表現した「くらげくん」が観客のハートをわしづかみにし、優勝しました。
 それはそれで素晴らしく、こんな映画をたくさんの人に観てほしいなあと思うのですが、レズビアン&ゲイ映画祭としてはもう少しゲイやレズビアンのリアリティを表現した作品があったらと思った方は多いはず。映像製作のハードルが下がり、誰もが映画を作れる時代でもありますし、ぜひ来年は、みなさんも応募してみてください! 映画祭20周年の優勝者はあなたかもしれません!

 『波に流れて』は、ちょっと突飛な部分もありつつ、最後には号泣させられました。『ブロークバックマウンテン』の続編、兄弟のような作品だと思いました。世界のどこかで今も『ブロークバックマウンテン』がリアリティを持っているということ。(人類に普遍な)死者を畏れ敬う気持ちや、小さな村の共同体だからこそのあたたかい絆が、異質なものへの嫌悪を乗り越えていく過程の感動。美しい自然のなかで人間の存在はちっぽけなものだけど、その中に息づく思いは、決して波に流れていくのではなく、かけがえのない輝きを持っているということ。どこか神話的でもあり、シンプルに見えて豊かな作品でした。日本でも一般公開されることを強く希望します。


 『波に流れて』の上映後、感動的な雰囲気のなかで、クロージングセレモニーが行われました。映画祭代表の宮沢さんがちょっと感極まって目を潤ませるシーンもあり、満場の大きな拍手が贈られ、本当にあたたかく、素晴らしいコミュニティイベントだと感じました。

 来年は20周年。きっとさらに盛り上がることと思います。今から楽しみです!

 

 

『スプリングフィーバー』主演男優2人のQ&Aセッション

 毎年映画祭のホステス役をつとめているマーガレットさんが、主演男優のチン・ハオさん(ジャン役)とチェン・スーチョンさん(探偵役)にインタビューしました。お2人をリラックスさせるためか、ファンサービスか、「東京はいろいろ行ったの? 夜遊びは?」といった質問からスタートして、映画についての話を掘り下げていきました。

——ラスト近く、3人が車に乗って旅をして、大きな橋を渡りますね。その橋を渡ることで、3人の関係性が変わったというか、何か不思議なつながりが生まれた気がします。

チン・ハオ:そこをわかってくれて、感動しました。あれは南京長江大橋という所でした。

——新しい愛の形を模索する若い人たちの姿が印象的でした。どっちつかずの揺れる思い。あれは今の中国の若い人たちの感覚なの?

チン・ハオ:男女関係なく、人としての情感を描いていました。

チェン・スーチョン:シンプルな、人としての情愛ですね。

——中国ではまだまだ同性愛はタブーだと聞きましたが?

チン・ハオ:たしかに、同性愛はまだ一定の難しさがあります。ロウ・イエ監督に声をかけられたとき、「この作品はきっと多くの人に感謝されるよ」と言われて、確かめてみたいと思いました。

——そうよね~感謝してる人?

(会場から拍手)

——ロウ・イエ監督は『天安門、恋人たち』(2006)で中国政府から5年間の映画製作禁止処分を受けましたよね。今回もゲリラ的に撮影したと聞いていますが?

チン・ハオ:俳優として、公民としても道徳観は持っていますが、それに照らし合わせてみても決して反しない、問題はないと思いました。

チェン・スーチョン:迷いはありましたね。一人の俳優として、役をやりとげる意義は感じていました。

チン・ハオ:初めてゲイの演技をやった。正直、ラブシーンはしりごみしました。監督が「もし裸に抵抗があるなら、僕らスタッフも脱ごうか?」と言ってくれました。「もっと緊張するから、いいです」と断りましたけど。

チェン・スーチョン:この映画を観るとき、お客様も脱いではどうでしょう?(笑)

——好きなシーンはどれですか?

チン・ハオ:まだ1回しか観てないのですがシャワーシーンですね。

チェン・スーチョン:冒頭の蓮の花が映し出されるシーン。純粋で。僕みたい(笑)

——お二人は同じ学校を出ているそうですが?

チン・ハオ:そうなんです。ただ、学校にいたときに友達だったわけではありませんでした。ほかにも、ワン役のウー・ウェイも同じ学校でした。ただ、彼は脚本科でしたけど。彼にはたくさんのことを教えてもらいました。

——ゲイの役を演じるにあたって、何か勉強はしたの?

チン・ハオ:取材もしたし、いろんなものを観ました。でも、撮影に入ったら、必要なくなった。一人の人間の内面、情愛を演じることが大事ですから。

——そこは成功していると思います。

チェン・スーチョン:僕の周りにはゲイの友人がたくさんいます。何の区別もない。ただ人類の進歩が足りないだけだと思います。

——素晴らしいお答え! 

 

スプリング・フィーバー
2009/中国、フランス/監督:ロウ・イエ/脚本:メイ・フォン/出演:チン・ハオ、チェン・スーチョン、タン・ジュオ、ウー・ウェイ、ジャン・ジャチーほか/配給、宣伝:UPLINK116日(土)より渋谷シネマライズ他にて、全国順次公開予定

 

実は『スプリングフィーバー』の上映前に、当サイトからも主演のお2人に直撃インタビューさせていただきました! また11月の一般公開が近くなりましたら、ご紹介したいと思いますので、お楽しみに!

(後藤純一)