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第7回「東京プライドパレード」レポート(1)祝福された空間

8月14日(土)、代々木公園イベント広場で第7回東京プライドパレードが開催されました。性別もセクシュアリティも国籍も信条も本当にさまざまな、たくさんの人たちが代々木公園イベント広場に集まり、それぞれのパレードを歩き、楽しさや感動を持ち帰りました。天気が崩れることもなく、大きな事故もなく、3年ぶりのパレードは無事、成功を収めました。

第7回「東京プライドパレード」レポート(1)祝福された空間

まずは、無事に今年のパレードを成功させることができたことをお喜び申し上げます。
2006年のようなゲリラ豪雨などにもあわず、かんかん照りで熱中症になる人が続出するわけでもなく、大きなトラブルもなく、本当によかったですよね。

パレードに参加してみてどうだったか?は、本当に人それぞれ。「ひさしぶりに見たけど、理屈抜きに楽しい!」と語る人がいました。初めて歩いてみて、予想以上の幸せを味わえたという人もいました。たぶん、参加した人の数だけドラマがあり、それぞれのパレードがあるんだと思います。

「群盲象を撫でる」ではないですが、本当は、そうした個々のリアリティを積み重ねていって初めて今回のパレードの全体像を語れるようになるのではないかと思いながらも、今回は、グラァド編集部と数名のライターによる寄稿によって、このパレードがどれだけ意義あるものだったか、に迫っていきたいと思います。

第7回「東京プライドパレード」レポート第1弾は、パレードの根幹である行進(マーチ)についてです。これからステージやブース、関連イベントなど、様々な記事をお届けしていく予定です。(後藤純一)

祝福された空間 

  ゴトウは今回も、ダンナや友達たちといっしょに「Living Together」フロートで歩きました。

 NHKホールの前に整列し、すぐ目の前にいるトラック(フロート)から音楽が聞こえてきて、大勢の人たちの拍手や「行ってらっしゃい!」という声援に包まれながら、いよいよ出発!というときの高揚感。何度歩いても、あの瞬間はパレードの醍醐味だなあと感じます。

 渋谷の街や、明治通りや、ラフォーレ前の交差点を歩いているときにも、沿道で見守ってくれている人たちがいて、友達が挨拶してくれたり、すれ違うバスのお客さんが手を振ってくれたり、カフェで待ちかまえていて思いっきり応援してくれる人がいたりして(伏見さんや中村うさぎさんもそうでした)、正直、寝不足で体力に自信がなかったにも関わらず、仲間といっしょだったから、そうやって応援してくれる友達たちがいるから、約4キロの道のりが長くは感じませんでした。

 そして、歩いて代々木公園に帰って来たときの、ブラス演奏の中、何百人もの人たちが歓迎の列を作って両側から拍手と声援で迎えてくれる「おかえりなさい」セレモニー、あの感動は、実際に歩いて体験した方でないと、味わえるものではありません。

 ゴトウはもう、全国の(あるいは海外の)パレードを何十回も歩いていますが、東京のパレードのいちばんの素晴らしさは、そのあたたかさにあると思います。長い人生の中で、何百人もの人たちが自分に向かって拍手しながら「おかえりなさい」と言ってくれることって、なかなかないと思うのです。そうやって出迎えてくれる人たちも、誰に強制されているわけでもなく、みんな自発的に、心からの祝福を贈ってくれているのです。こちらのフォトアルバムに、帰着時のみんなの笑顔が載っていますけれども、あんなにあたたかい歓迎を受けたら、誰だって笑顔になってしまいます。思わず感涙してしまう方もいらっしゃると思います。 

 あの日、2010年8月14日の代々木公園は、素晴らしくポジティブなバイブスに満ちあふれ、まちがいなく「祝福された空間」でした。

歩くべきか、歩かざるべきか…それが問題?

  パレードが終わった翌日、東京プライドの公式サイトに、感謝のご挨拶(ちょっと感動的です)とともに公式参加者数が発表されました(こちらをご覧ください)。パレード参加者が2300人、沿道の参加者が700人、イベント参加者が1500人、ボランティアスタッフが180人、計4500人以上もの方たちが参加してくださったそうです。

 ゴトウの実感では、沿道で応援していた人も、歩かずにステージやブースを楽しんでいた人も、もう少し多かったかな…と思います(ふつうは主催者発表って3倍くらいに言うのに…本当に謙虚ですよね)。代々木公園はレインボー祭り以上の混雑だったように感じました。 

 確かにフロートの数も12から10に減り、フロートによっては数十人しか歩いていないところもありました。「歩く人が少なかったね」という感想があちこちで聞かれました。でも、こちらの動画を見ると、今まで通り、本当に多様な、ものすごくたくさんの人たちが楽しそうに歩いている様子が生き生きと伝わってきます。元気のあるフロートが少し減ったかもしれませんが、決してパレードらしい楽しさが失われたわけではありません。

 会場にいる友人たちから聞いた限りでは、歩かない理由のほとんどは「この暑さだし…体力に自信がない」というものでした。フロートを出すことを企画していながら、熱中症を恐れて断念したという方もいらっしゃいました。「パレードを歩く世代の高齢化が進んでいる」という声も聞こえてきました。

 でも、そうした「沿道派」の人たちが大勢いて、日曜日の人通りがまばらになりがちな明治通りがにぎやかになってくれたら、それはそれで歩くほうも心強いと思うのです。

 また、今年初めて歩いたという方も、ちゃんといました。友達のAくん(30代)は毎回パレードを歩いてる人ですが、2年前からつきあっている彼氏さん(20代)はあまりパレードに興味がなさそうで、今年は歩くのをあきらめようかと思っていたそうです。でも、「いっしょに歩かない?」と誘ってみたところ、「いいよ」と。いざ歩きはじめると、彼氏さんはずっと手をつないでくれて、感激したそうです。その彼氏さんに歩いた感想を聞いてみたところ、「ふだん、街で手をつないで歩けない分、堂々と手をつないで歩けたことがうれしかったです。僕なりのアピールでもあります。ドキドキしたけど、沿道の方たちも笑顔で手を振ってくれたのが心に残りました」と語ってくれました。以前は「誰が見てるかわからないから歩くのはちょっと…」という方も多かったわけですが、「彼氏や友達が歩くなら、いっしょに」というスタンスがイマドキのリアルなんだと思います。

 たとえ全体として歩く人が減ったとしても、いろんなドラマがあり、それぞれのパレードがある。何よりも、東京プライドパレードらしい、あたたかな祝福感がある。それでいいのではないでしょうか? 海外と比べて規模が小さいと言うことは簡単ですが、まずは今年無事に開催されたことを喜び、次回もっと素敵なパレードになるために自分なりにできることをやってみる、ということを一人一人がやっていきましょう、ということだと思います。誰のためでもない、これは僕ら自身の「幸せ」のためのパレードなのです。

 考えてみれば、2008年にパレードが中止になり、東京プライドの主要メンバーがほとんど辞めてしまうというある種の「ごたごた」があったにも関わらず、今回も200人近いボランティアスタッフが集まり、こうやって無事にパレードを開催してくれて、そして、以前には考えられなかったようなことをいろいろ実現してくれた、それだけでも本当に素晴らしいことです。

 砂川さんはじめ、実行委員の方々、ボランティアスタッフの方々、かげで支えてくれた方々の尽力に、心からの拍手を贈りたいと思います。


Photo: けんけん

☆パレードのフォトアルバムがこちらでご覧いただけます