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毎日新聞に性分化疾患と性同一性障害についての記事

 朝日新聞の夕刊で性同一性障害についての連載が始まったとお伝えしましたが、93日付の毎日新聞朝刊には性分化疾患と性同一性障害についての記事が掲載されました。


 染色体やホルモンの異常が原因で外見からは性別が判断しづらい赤ちゃんが数千人に1人の割合で生まれています。幸せに包まれるはずの瞬間に医師の「男の子か女の子か、どちらにしますか」という一言で目の前が真っ暗になり、親族や知人からの祝福の電話にも出られない親たちがいます。しかも医療関係者の知識が不十分だと、適切な検査もなく性別が決められてしまうことさえあるといいます。
 こうした子どもはずっと前から(有史以来)生まれていたにもかかわらず、社会の偏見の中で本人や親は隠し続け、医療界もメディアもタブー視してきました。ようやく昨年、日本小児内分泌学会は本格的な対策に乗り出しました。その際、これまで使われてきた「半陰陽」や「両性具有」という言葉に蔑視するような響きがあるとして「性分化疾患」に統一されました。

 当事者や家族を一人一人訪ね、昨年の秋から「境界を生きる」という連載を執筆している丹野恒一さんは、「長く声を上げられなかった人の話を聞いていくにつれ、自分の中にあった『性別』というものに対する固定観念が崩れていった」といいます。
 何も知らず男の子として育ち、ある日突然、初潮が来たり、女の子として成長した後に卵巣や子宮がないと知ることがあります。恋する年齢になって初めて事実を知った直後に自ら命を絶った大学生もいたそうです。
 性別の境界にいるのは性分化疾患の方だけではありません。性同一性障害(を含むトランスジェンダー)の方たちもそうです。 

 連載をこう評した家族がいたそうです。「取材に応じられるのは壁を乗り越えられた人たちだけ。声を上げられない人が大勢いる」。取材を申し込んだところ、「あなたのお子さんが同じような状況のとき、知る必要のない人たちにまで知ってほしいと思いますか。世の中には知らなくていいことだってあるんです」と断られたこともあるそうです。 
 安全性を無視して個人輸入した女性ホルモン剤を服用していた18歳の学生は「今の姿のままで女性として生き始めても、性的倒錯者としか思われない」と言い、返す言葉が見つからない記者に「それでも生き抜けるよう、強くなりたい」と語ったそうです。

 連載にはこれまでに100通近い反響が寄せられたそうです。共感の声や自身の体験に交じって、55歳の男性会社員から「男に生まれた以上は男として生きるよう身に着けさせるべきだ」という批判的な感想が届いたそうです。理由は「手術で性別を変えても、母親にはなれないから」

 記者の方は、取材を通して「性別の境界を生きる人々は決して特別な存在ではない」と思うようになったそうです。性には多様な形があり、体の性別があいまいなこともあれば、心の性別が体と逆になることもあり、好きな性が異性であったり同性であったりもします。「多くの人は、その数限りない組み合わせの中から、たまたま典型的な形でそろっただけの存在なのだ」
 「知らなくていいことがある」「性的倒錯者とみられてしまう」家族や子どもたちにそう思わせているものは何なのだろう?と記者の方は問いかけます。「人間は男女に二分される。そんな常識を問い直す先に訪れるのは無秩序か、それとも誰もが生きやすい社会か。私は後者だと信じたい」

 

 記者の方はもともと何も知らないストレートの方だったと思いますが、取材を通じて、だんだん見方が変わっていきました。もともと性は多様なものであり、それをむりやり男女に二分し、その枠に収まらないものを隠蔽し、白眼視する…そういう社会のほうが歪んでいるのではないか?という見方です。毎日新聞の読者の方(大多数は年齢層が高めなストレートの方でしょう)は、その記者の方の目を通じて、同じ気持ちを抱くようになり、初めて性の多様性ということを理解し、共感できるようになってきたのだと思います。
 本当に意義のある記事だと思いました。(後藤純一)

 

 

記者の目:性分化疾患と性同一性障害=丹野恒一(生活報道部)(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100903k0000m070125000c.html

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