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「Don't Ask, Don't Tell」政策の上院での採択、さらに先送りに

 アメリカの連邦上院では、同性愛者が性的指向を公にして兵役に就くことを禁止する「Don't Ask, Don't Tell」政策の撤廃条項を含む国防権限法案が提出されていますが、これに対し、前大統領候補ジョン・マケインを含む共和党議員は「現在進行している国防総省の検討作業が完了する前に撤廃することには反対」という意向を表明し、議事進行の妨害が行われ、採決に持ち込むことができずにいました。そこで921日、民主党が審議打ち切り動議を提出しましたが、賛成56、反対43で、必要な60票を得られませんでした。そのため、「Don't Ask, Don't Tell」政策の撤廃の実現は11月の中間選挙以後にずれ込むことになりそうです。(ちなみに、中間選挙とは、4年に1度の大統領選の中間に行われる連邦議会の選挙です。下院議員と上院議員の1/3が改選されます)

 この動議表決に先立ち、オバマ大統領が海兵隊司令官として選んだエイモス大将は、上院軍事委員会で「同性愛者の従軍に関する私の主たる懸念は、長時間の戦闘活動時における重大な変化によって団結が失われる可能性があることだ」と警告したそうです。

 Don't Ask, Don't Tell」政策の撤廃を大統領選の公約に掲げていたオバマ大統領は、ロバート・ゲイツ国防長官やマイケル・マレン統合参謀本部議長ら国防総省の幹部の支持を取り付け、連邦下院での賛成も得ました。現在、国防総省内で同性愛者の軍務についての検討作業が進んでいる最中です。が、今回の結果は、「本当に撤廃できるのか」というオバマ政権に対する不信を抱かせる結果となり、オバマ大統領にとって痛手だと言われています。

 『ウォールストリート・ジャーナル』によると、同性婚とは異なり、この問題は1993年以降それほど大きな問題とはなってこなかったといいます。アメリカ国民の圧倒的多数は「Don't Ask, Don't Tell」政策の撤廃に賛成していますが、撤廃に反対する人たちはこれに賛同する上院議員に精力的に働きかけてきました。(これに対抗するかのように、レディ・ガガが「上院議員に訴えましょう!」と人々に呼びかけ、世界で最もインパクトのあるアピールをしたわけです)

 専門家らは「Don't Ask, Don't Tell」政策は同性愛者の兵士の市民権を侵害するものであると同時に、14000人程度を除隊させざるをえなかったことで米国の安全保障にも支障が出ていると非難しています。

 ギブズ大統領報道官は「前進できなかったことに失望しているが、今後も努力を続ける」と述べました。が、上院議員は民意というより州の代表なので(有権者数に関わらず各州2人ずつ)、国民の圧倒的支持をよそに、独自の闘いが強いられることになります。中間選挙後もそれほど勢力図は変わりませんので、苦戦は続きそうです。

 撤廃を目指す人々は、オバマ大統領に別の方策を検討するよう促しているそうです。カリフォルニア州連邦裁判所の判事は先にDon't Ask, Don't Tell」政策は憲法違反だとの判断を示しました。同性愛者権利擁護団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」は21日、この判決に対して上訴を見送るよう政府に呼びかけました(司法から攻めようという戦略です)

 いつかきっと平等が達成されると信じて、今後も動向を見守っていきましょう。(後藤純一)

 

 

同性愛者の兵役規制撤廃、困難に=共和党が法案投票阻止米上院(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010092200109

米軍での同性愛者禁止の撤廃、上院で行き詰まり(ウォールストリートジャーナル)
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_107081

米上院、同性愛者の兵役規制撤廃を否決(AFP
http://www.afpbb.com/article/politics/2758732/6220045?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics

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