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パラグアイで同性愛者弾圧の歴史——ナント三大陸映画祭準グランプリ映画『木製のナイフ/108』で明らかに

 河北新報の「シネマに包まれて」という記事によると、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの三大陸の作品が上映されるナント三大陸映画祭が11月23日から開催され、独裁国家時代のパラグアイでのゲイの弾圧を明らかにしたドキュメンタリー『木製のナイフ/108』が「銀の熱気球賞(準グランプリ)」と「若い観客賞」をダブル受賞しました。

 『木製のナイフ/108』は、パラグアイで1954年から1989年までの長期独裁だったストロエスネル政権の人権面の暗部に迫り、同性愛者抑圧の事実を丹念に掘り起こしたドキュメンタリーです。
 監督のレナーテ・コサタ(29)は、故郷である首都アスンシオンで、すでに故人となっている叔父ロドルフォに関心を抱きます。叔父は彼の父や兄弟がやっていた鍛冶屋と違ってダンサーになりたがったいたといいます。そして、独裁政権下の1980年代、ゲイを弾圧するための「同性愛者108人リスト」が存在し、叔父も名前を挙げられて逮捕か拷問に遭っていたという事実を知ります。自国の暗部を「ホモだから当然。俺たちには関係ない」と向き合わない人たちに疑問を感じた監督は、叔父だけでなく、ほかの同性愛者、女装者、売春婦らにも話を聞いていきます。公式の歴史の中では「未知」であったとしても、存在した事実に目をそらすことはできないという強い意志に裏付けられ、今回の受賞につながるような作品が誕生したのでした。
 「1人1人に何をすべきかを問いただすのではなく、まず聞いて、その事実に向かい合おうとする、その姿勢が、この作品の品位を高めていて、受賞の大きな決め手になったと思う」と記事は伝えています。


レナーテ・コサタ監督(中央)
『木製のナイフ/108』はグランプリこそ逃したものの、「銀の熱気球賞(準グランプリ)」と「若い観客賞」をダブル受賞しました。
 「不当な人権抑圧の事実に対し、同時代を生きた人、時代違いで知らないまま生きてきた人、その2つの世代が向き合うきっかけをこの作品が生み出した。ここが、若い観客にとっても高い評価になったのではないだろうか」

 ラテンアメリカでゲイの弾圧というと、キューバのフィデル・カストロ政権のことを思い浮かべる方も多いと思います(詳しくはこちら
 ラテンアメリカには今、同性婚の波が押し寄せています。すでに同性婚が認められたメキシコシティとアルゼンチンのほか、隣国のウルグアイとパラグアイでも同性婚や同性パートナー法の検討が始まっているのです(詳しくはこちら)。しかし、そんなパラグアイにもかつて、同性愛者を逮捕したり拷問にかけたりするという暗い歴史があったということが、この映画で明らかになりました。
 『木製のナイフ/108』がいつか日本でも上映されることを期待したいと思います。(編)
 

独裁政権下の暗部に迫る「木製のナイフ/108」(河北新報)
http://blog.kahoku.co.jp/cinema/2010/12/108.html

グランプリに南米作品「川の抱擁」(河北新報)
http://blog.kahoku.co.jp/cinema/2010/12/post-97.html

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