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社会的マイノリティの方たちによる「リビングライブラリー」が読売新聞で紹介されました

「リビングライブラリー」(生きている図書館)というプロモーション活動があるのを、ご存じでしょうか。
 マイノリティに対する偏見をただし、世の中には多様な人たちが存在し、ともに生きていることを理解してもらうための活動です。世の中のマジョリティを構成する人たちにとって、めったに出会う機会のない…たとえばハンディキャップを負っている人たちやホームレスの人たち、あるいは薬物依存を経験した人たち、ニートや不登校の若者たち、そしてセクシュアル・マイノリティといった「生の当事者」が、図書館に置いてある「本」の役をつとめ、会場を訪れた人たちを「読者」に見立て、さまざまな体験談を直接聞いてもらおうという試みです。

 この「リビングライブラリー」は、2000年にデンマークで開催されたロックミュージックフェスティバルの中で、暴力行為の撲滅をテーマに行われたのが最初だそうで、その後、同様な試みが世界中に拡がっていきました。

 日本では200812月、リビングライブラリー・ジャパンの主催により、京都国際会館で初めて開催され、その後、主に大学のゼミ生や研究生など有志による主催も加わって、東京大学、京都大学、大阪市ドーンセンター、札幌市手稲ハイランド、明治大学などで、すでに12回にわたって行われてきました。

 不登校時代を経て造形作家になった人。数分前に見た人の顔の記憶が失われてしまう高次脳機能障害を持つ若い男性。セックスワーカーの仕事をする傍ら、HIV / AIDS予防活動に従事し、セックスワーカーのネットワーク作りに取り組んでいる女性。多種多様なタイプの「めったに出会う機会のない人たち」が「生きている本」になって協力してきたそうです。

 

 そして、今月10日、駒沢大学深沢キャンパスでも、同大文学部社会学科・坪井健教授ゼミの学生らの主催で、この「リビングライブラリー」が開催されることが、9日付けの読売新聞で報じられています。

 セクシュアルマイノリティ、摂食障害、目の不自由な人、アルコール依存症やホームレスを経験した人、自殺してしまった方の遺族など、大学生から60代までの多様な「生の当事者」が「本」となって自分自身を語ろうと、来訪者の「貸し出し」を待っているとのことです。

 これまで日本での「リビングライブラリー」を主催した学生たちは、どのような人を招きたいか、候補者ごとに担当を決め、たとえば障害者などの支援団体に問い合わせや申し込みをしたり、個人的なコネクションで紹介をしてもらったりと、開催までに、たくさんのプロセスを経なければならなかったようです。そうしたご苦労には、さぞ大変なものがあったことでしょう。

 あるいは、「本」の役を引き受けてくれる協力者が、一人また一人と名乗りをあげてくれるいっぽうで、もし、会場を訪れる人が、誰も「本」を借りてくれなかったらどうしよう…といった不安もたくさん抱えていたそうです。

 しかし、実際に「リビングライブラリー」を開催してみると、そんな不安は吹き飛び、初めてマイノリティの「生の当事者」と触れ合った来場者たちは、「その人の立場になってみないとわからないことがある」「さまざまな人たちの異なる世界を知るのは意義があると思う」と、大きく、視野を広げることができたようです。

 人は、それぞれに特徴や性格を備えています。人は、それぞれに価値のある存在です。人々は多様なのです。だからこそ人々は、それぞれの輝き方で輝き、それぞれが大切に扱われなければなりません。
 たとえ、どんな境遇の中で生きようとも。どんな性的指向に生まれついていようとも。

 学生たちは「見て見ぬふりではなく、対話を通じて偏見や思いこみを取り払ってほしい」と呼びかけています。

 私たちの生きる世界そのものが「リビングライブラリー」のようになっていくことを願っています。(円山てのる)

 

 

「生きた本」人生語る(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20101009-OYT8T00083.htm

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