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慢性肝炎を発症することが多い欧米型のB型肝炎ウィルスへの感染が増えているそうです

2011年01月16日

 最近、性行為で欧米型のB型肝炎ウィルス(HBV)に感染するケースが増えているそうです。欧米型のHBVは慢性化する可能性があり、肝硬変や肝臓がんになるリスクもあります。現在の日本の肝炎対策では欧米型のHBVの感染予防は難しく、対策の見直しを求める声も上がっているそうです。

 HBVは感染者の血液や体液を介して感染します。感染時期や感染時の健康状態によって、一過性に発症する急性肝炎と持続感染による慢性肝炎とに分かれます。慢性肝炎は症状がなく、自覚しない人も多いのですが、中には肝硬変、肝臓がんと病気が進行する人もいます。

 HBVにはAからJまで10の遺伝子型があることが確認されています。従来の日本に多いのが遺伝子型BやCで、乳児期の感染では慢性化するものの、成人後の感染では急性肝炎を経て自然治癒(少量のウィルスは残留)するか、症状がないままウィルスが排除されるかして、慢性化することはほとんどありませんでした。
 一方、欧米に多いのが遺伝子型Aで、成人後の感染でも約10%が慢性化します。(つまり、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります)

 国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センターの溝上雅史センター長らが慢性肝炎患者のHBVの遺伝子型を分析したところ、2000年には遺伝子型Aが12人(対象者の1.7%)だったのが、2006年には44人(同3.5%)に増えていたことが確認されました。
 溝上センター長は「まだ少ないとはいえ、本来は日本に存在しない欧米型のHBVの感染者が日本でも明らかに増えてきている。主に性行為による感染とみられ、関東、東海、近畿の大都市圏で若年層を中心に急増している」と指摘します。
 
 海外では感染予防のためB型肝炎ワクチンを小児に投与する国が多いそうですが、日本では医療従事者へのワクチン接種は行われていても、小児への投与は特に推奨されていません。
 溝上センター長は「HBVが性行為などで感染する可能性があることを多くの人が知る必要がある。がん予防という意味ではB型肝炎ワクチンは子宮頸がんワクチンと同じ。今後は思春期前の子どもへの接種を検討することも必要ではないか」と話しています。
 
 国は2008年度から肝炎ウィルス検査の促進や肝炎に関する正しい知識の普及などを盛り込んだ肝炎対策を進めています。しかし、ウィルス検査を受ける人がそれほど多くないことに加え、検査結果が陽性でも適切な治療につながらなかったり、治療を始めても途中でやめてしまったりする人もいたり、課題が多いといいます。

 
 成人後にB型肝炎ウイルスに感染した場合、多くは無症状で経過しますが、20~30%が急性肝炎を発症し、1~2%が劇症肝炎(命が危険にさらされます)を引き起こします。
 母子感染でもともとHBVを持っている人は急性肝炎になることはありませんが、慢性感染(→肝硬変や肝臓がん)に注意する必要があります。
 かつてはB型肝炎といえば母子感染がほとんどでしたが、全国規模での出生時のHBV母子感染予防対策が功を奏し、1986年以降に出生した世代ではHBVの感染はほとんどみられない状態になっています。そのため、輸血や注射の回し打ちを除けば「わが国では性行為に伴っておこるHBV感染のみが、いわば手付かずの状態で残り、今日に至っている」のです(厚労省のホームページより)
 ゲイの間でも、ある時期、急性肝炎で入院する人が続出したことがありました。が、急性期の対症療法により、ほとんどの人は完全に治癒しています。
 しかし、今、若年層を中心に(性行為によって)欧米型のHBVに気づかずに感染しているケースが増えているそうです。慢性肝炎を発症する前に検査を受けてみること、まだHBVを持っていないようであればB型肝炎ワクチンを接種することも予防につながります。そして、コンドームを使ったSAFER SEXが有効であるのはHIVなどと同様です。(編)


増える欧米型のB型肝炎ウィルス 性行為などで感染→慢性肝炎に(Yahoo!ニュース 産經新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110111-00000099-san-soci

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