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国内で初めて、GIDの児童に抗ホルモン剤投与が認められました

 女の子として通学する小学6年生の男の子に対し、大阪医科大学附属病院が、抗ホルモン剤を投与して思春期の体の変化を抑える治療を行うことになりました。GID(性同一性障害)学会によると、岡山大学病院で16歳の女子高校生が抗ホルモン剤の投与を受けた例がありますが、中学生以下の子どもに抗ホルモン剤による治療が行われるのは、国内で初めてだということです。
 GID学会の顧問を務める大島俊之・九州国際大学教授は「早期に治療を行うことで、患者の満足度は高いと思うが、長期間にわたって抗ホルモン剤の投与を受けることになるので、副作用などについても慎重に見ていく必要がある」と語っています。

 治療を受けられることになったのは、兵庫県播磨地方の児童。母親とともに同意書に署名した児童はほっとしたように微笑み、「うれしい。注射しても女の子になれないことはわかっているけど、男の子になるよりいい」と語ったそうです。母親と歩く体は小さく、肩までの髪やスカート姿は、女の子そのもの。思春期になると、体が心と反対の性に急速に成長するため、自殺を考えるほど苦しむ方も多いといいます。

 しかし、結果的に子どもの発育を薬で左右する治療に対しては、この児童が通院する大阪医科大内でも慎重な声があり、議論が重ねられました。男児の主治医である康純・精神科准教授は「死にたいと言っている子どもだけに施す緊急避難的な治療にはしたくなかった。きちんとした診断に基づいた標準的治療として始めたかった」と、これまでを振り返ります。
 この日の診察では、児童自身が読めるよう、すべての漢字にふりがなを付けた説明書が渡されました。出現頻度の低いものまで25の副作用について「心筋梗塞(心臓に血液が流れにくくなって苦しくなります)」といったように、易しい言葉で書かれていました。

 日本では、ホルモン療法が18歳、性器を外科的に変える性別適合手術(性別再指定手術)が20歳以上に限定されています。今回始まる投薬からホルモン療法に移行すれば、心の性に合わせたより自然な体の変化が見込まれ、従来より高い効果が上がるそうです。
 それでも康准教授は「第二次性徴の始まりを悲しまなければならない境遇を想像すべき」と説きます。抗ホルモン剤を投与しても胸はふくらまない、周囲の子たちとの違いに悩むのは変わらない、と指摘します。


 GID(性同一性障害)の子どもに対し、抗ホルモン剤投与で第二次性徴を抑える治療は、専門医にとっても未知の領域ですが、重い副作用が起きる可能性は低く、投与をやめればホルモン分泌が戻るとされています。
 投与される抗ホルモン剤「LHRHアゴニスト」は、思春期早発症の小児患者にも使われてきましたが、これまでに心筋梗塞や脳梗塞など重い副作用の報告はなく、成長ホルモンなどにも影響せず、体の成長は止めないそうです。
 国内では未成年でGIDと診断された場合、体の治療に慎重な姿勢がとられてきました。すべての人が大人になるまで性別の違和感を持ち続けるとは限らないからです。塚田攻・埼玉医科大精神神経科講師は「第二次性徴期の体や心の変化との葛藤は、自分の存在を認めるための重要な過程。それを経験しないことは、精神の成熟にとって負の要素になるのでは」と語ります。
 専門医によると、思春期早発症で抗ホルモン剤を投与された男児は女児に比べ圧倒的に少なく、精巣への影響は未知の部分があるそうです。しかし、ホルモン療法や性別適合手術に比べ、抗ホルモン剤の投与は少なくとも「後戻りできる」余地が残されています。
 「はりまメンタルクリニック」の針間克己院長は、「症状を見極め、的確な診断をするまでの保留期間になります。治療は小児の診療体制がしっかりしていることが条件」と指摘します。GID学会理事長の中塚幹也・岡山大教授は「将来どう生きていくのか、自ら判断を下せる年齢に達するまで、考える時間ができる」と語ります。

 
児童に抗ホルモン剤投与へ(NHK)
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110119/t10013507271000.html

「発育抑制」議論重ね 性同一性障害男児に抗ホルモン剤(47NEWS)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003747671.shtml

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