g-lad xx

NEWS

石原都知事の発言に対し、国際的な人権団体が声明を発表

2011年02月02日

 『石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する有志の会』が海外に送ったメールに対し、国際的なゲイ人権擁護団体から抗議の声明が発表されました。

 まず、インターナショナル・ゲイ・アンド・レズビアン・ヒューマン・ライツ・コミッション(IGLHRC、本部ニューヨーク)の代表が、石原都知事の同性愛者差別発言に対して1月24日付で抗議文を発表、石原都知事や都庁の人権施策担当者に対して送付されました。
 以下、抜粋です。(全文はこちら
「あなたのように影響力を持つ立場の人物がヘイト・スピーチ(憎悪からくる発言)を行うことは、最も弱い立場におかれている人々に対する攻撃の火に油を注ぐ結果をもたらします。私たちは、知事がその発言について公式に謝罪することを強く推奨します」
「知事の言動は、日本政府が国際社会で示してきた姿勢を著しく裏切るものでもあります。2008年の国連人権理事会の普遍的定期審査において日本政府代表は、『性やジェンダーのアイデンティティに基づくいかなる人権侵害も無視されてはならないと日本政府は信じ、性的指向による差別を教育的活動を通じて撲滅していく』と述べています」
「この会合において日本政府代表はさらに、『性的指向とジェンダーのアイデンティティに基づく差別を含むあらゆる形の差別を廃絶すること 目的とする』事業を実施中であり、『法務省の人権関連部局は人権擁護のための意識向上事業、人権カウンセリング、及び人権侵害事件の捜査と評決に取り組んでいる』と述べています」
「私たちは知事に、日本政府があらゆる人権を守るために表明してきた約束を尊重するとともに、前述の発言を撤回し、公式に謝罪を行うことを強く推奨します。また、東京都庁に対しては、公共政策や地域活動において『性的指向並びに性自認に関連した国際人権法の適応上のジョグジャカルタ原則』を指針として参照することを推奨します。これらの件について、今後、対話の機会を持たせていただければ幸いです」

 それから、2月1日、国際的な人権団体として有名なヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRC)が抗議の声明を発表しました。
 以下、抜粋です。(全文はこちら
「石原慎太郎・東京都知事は、レズビアンとゲイの人びとを中傷した発言を直ちに撤回するべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた」
「ヒューマン・ライツ・ウォッチのLGBT人権プログラムの調査員ディピカ・ナットは『日本は同性愛行為を刑事処罰の対象とはしていないものの、LGBTの人びとは、家庭内や職場、その他の社会的、職業的な環境で日々差別と偏見にさらされている』と語る。『石原知事の発言はレズビアンやゲイの人びとへの偏見を増大させ、既に社会の片隅に追いやられている人びとに対する差別を悪化させる可能性がある』」
「2000年、東京に拠点を置くLGBTの権利擁護団体OCCUR(NPO法人アカー)が同性愛者差別裁判に勝訴した後、石原知事は、トランスジェンダー及び同性愛者も対象とした人権の保護・推進に関する東京都人権施策推進指針を東京都に初めて導入。同指針は、LGBTの人びとの人権をも対象とする日本における数少ない施策の一つである。『石原知事は東京都のガイドラインに誠意を持って取り組み、社会の片隅に追いやられた全ての人びとに対する偏見と差別を是正するために真摯な努力をするべきである』と前出のナットは指摘する。『レズビアン、ゲイ、トランスジェンダーの人びとも、日本に暮らす全ての人と同じように尊重され、人権を享受できるべきである』」
「日本政府は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約:ICCPR)締約国であり、同規約は差別を包括的に禁止している。各国のICCPR順守状況を監視する国連の自由権規約委員会は、2008年の第94回会期で、日本はICCPR規約上の責務を果たすために、公営住宅法などの差別的な法律を改正し、差別禁止の事由に性的指向を含めるよう勧告した。しかし、LGBTやその他のマイノリティが直面している様々な差別に対処するための包括的な差別禁止法の必要性が明確であるにも拘らず、日本政府はいまだその措置を何らとっていない」
「『全都民の人権を守り、その福祉を実現する責務をおっている石原知事が、レズビアンやゲイに対し、他の人びとよりも劣っているかのように位置づけた発言に、重大な懸念を抱いている』と前出のナットは述べる。『公職に就く者が特定のグループに対して軽蔑的な見方を表明することは、それらの人びとが尊厳を持って生きることを阻害する。自らが加えたダメージをしっかりと修復するのは知事の責任である』」

 今後も、海外からこうしたレスポンスが届くと思います。続報が入り次第、お伝えいたします。
 なお、 『石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する有志の会』が企画しているデモの詳細が発表されました。こちらをご覧ください。

INDEX

SCHEDULE

    記事はありません。