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ベネトンがローマ法王とイスラム教指導者のキス写真を発表

2011年11月20日

 イタリアのアパレルブランド「ベネトン」が11月16日、宗教や民族、文化などの違いによる偏見を乗り越えようと訴える新たなグローバルキャンペーン「UNHATE(反・憎悪)」の一貫として、各国の首脳らがキスをする写真を発表しました。アメリカのオバマ大統領と中国の胡錦濤国家主席、イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長、北朝鮮の金正日総書記と韓国の李明博大統領、フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相などです。(イタリアのベルルスコーニ首相とメルケル首相の写真も使用される予定でしたが、ベルルスコーニ首相の前週の辞任表明を受け、取りやめとなったそうです)

 この写真のうち、ローマ法王・ベネディクト16世とエジプトのイスラム教スンニ派の権威であるアフマド・アル・タイーブ師とのキス写真は、ローマ法王庁からの強い抗議を受け、撤去されました。
 ローマ法王庁は17日、「法王の写真がこのように使われることは断固として許されない」と強く抗議。ベネトンは「あらゆる形での憎悪の文化に立ち向かうということ以外の意図はない」とキャンペーンの目的を説明しつつも「信者の皆様方の感情を深く傷つけたことをお詫びします」と声明で謝罪しました。
 ベネトングループの副会長、アレッサンドロ・ベネトン氏は「これには『憎んではいけない』というメッセージが込められています。金融危機、そして現在北アフリカやアテネで起こっていることなどの闇に対処するには、憎まないというプラスのパワーを持った姿勢をとることが大切なのです」と語っています。


 ベネトンはかつて、死の床にあるエイズ患者の写真をキリストに重ね合わせたり、コンドームを美しく並べた写真や肌の上に「HIV POSITIVE」と描いた写真などでHIV予防やHIV陽性者への支援を訴えました。「Priest and Nun」(1991)と題された広告では、カトリックの司祭と尼僧のキス写真で愛にタブーはないというメッセージを訴え、カトリック教会から不謹慎だと批判され、掲載拒否やポスター撤去などの騒動になりました。(こちらに詳しく紹介されています)
 今回の写真も、そうした広告(作品)と同じラインの上にあるものと言えるでしょう。

 日本のメディアの反応を見ると、今回の「男同士のキス」写真を「気持ちが悪い」と表現する向きもあります。ローマ法王庁の「法王の写真がこのように使われることは断固として許されない」という憤怒の中にも、それが同性愛的表現だからという嫌悪感が含まれていると推測できます。
 若い男女がキスをする「Priest and Nun」の写真に比べ、ベネディクト16世とタイーブ師の写真が醜悪だと感じられているとしたら、悲しいことです。どちらも掛け値なく美しい写真だと思うのですが…(後藤純一)


 
イタリア・アパレル大手「ベネトングループ」新広告の衝撃的表現が物議を醸す(FNN) 
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00211738.html

ローマ法王とイスラム教指導者がキス?ベネトン新広告(AFP)
http://www.afpbb.com/article/life-culture/religion/2841070/8094391

胡錦濤とオバマがキス…ベネトンの広告写真グロかヒットか(J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/tv/2011/11/18113542.html

 

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