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サンクトペテルブルグがLGBTの発言権を奪う条例を制定しようとしています


今年6月に行われたサンクトペテルブルグ
のパレードで、警察に連行される参加者。
プラカードには「同性愛嫌悪は病だ」と
書かれています。
 ロシア連邦のサンクトペテルブルグが、LGBTであることを公に表現することを禁じる(同性愛を禁じていたソ連時代へ逆戻りするかのような)条例を制定しようとしています。
 コミック作家の市川和秀さんが、自身のブログで海外のニュース記事の全文訳を掲載してくださいました。以下に抜粋・要約してご紹介いたします。


 この条例案は、未成年者が目にするような場面でゲイパレードを行ったり、LGBTのライフスタイルについて表現することや討論することを禁止し、違反した個人に対して3,000~5,000ルーブル($100~$160)、組織の場合には最大50,000ルーブル($1,600)の罰金を科すものです。
 11月15日、プーチン首相ならびにメドヴェージェフ大統領率いる統一ロシア党が議席の大半を占めるサンクトペテルブルグ立法府(市議会)の第一読会(議案を審議する委員会)で、この条例案は37対1(欠席1)の圧倒的多数で通過しました。この法案が議会で可決され、制定に至るためには、あと2回の読会を経る必要がありますが、いつ開かれるのかはまだ決まっていないそうです。

 この条例案の起草者である統一ロシア党のヴィタリー・ミロノフ議員は「性的倒錯を良しとする風潮は、我々の子供達に悪影響を与える」と述べています。

 自由民主党のイェレナ・バビッチ議員は、サンクトペテルブルグを祝う祝日に、街のあちこちに掲げられるレインボーカラーの装飾ですら同性愛を推進するものであると非難しています。

 このサンクトペテルブルグの条例案は、今年9月にアルカンゲルスク地域で通過した条例案とほとんど同じものです。2006年にはリヤザン地域で同様の条例が可決されています。

 アルカンゲルスク地域で通過した条例について『オギョノフ』誌は、LGBTのライフスタイルを政治的に伝える行為だけを禁止しているが、結局は伝統的ではないセクシャリティがどのような形であれ公にされることを全面的に禁止するものである、なぜなら、未成年者がそうしたものに触れないようにすることはどのような形であっても不可能だから、と述べていました。

 サンクトペテルブルグのゲイの人権活動家たちは、行政からの許可を必要としない個人デモという形で、この条例に反対する活動を行いました。彼らはさらに、欧州人権裁判所にこの件を上訴することにしました。

 LGBT団体「ヴクホッド」の代表、イゴール・コチェコフ氏は、「この条例は、世間に広く存在する同性愛嫌悪を利用し、12月4日のデュマ州の選挙に勝つことを目的としたものだ」と述べています。
「これは、サンクトペテルブルグで人気を失いつつある統一ロシア党が人気取りのために通過させたものです」
「まるで中世そのもの。時代遅れと言うほかありません」

 また、モスクワでパレードを行ったり、ロシアを代表するゲイの活動家と言えるニコライ・アレクセイエフ氏は、「この条例は、子どもがいる場所であればどこでも誰でも取り締まられうるもの。恥ずべきものです」と非難しました。

 地元テレビ局「ナヴァ24」によれば、サンクトペテルブルグ立法府のヴァディム・チュルパノフ議長がこの条例案を「不完全ではある」と認めたそうです。しかし、チュルパノフ氏は、未成年者に対してLGBTのライフスタイルを促すことを犯罪とすることについて、もっと厳しくするべきであったとも述べています。

 この法案は、例え不完全なものであっても、1993年まで同性愛が刑事犯であったロシアにとっては依然として物議を醸すものです。
 1999年には、社会的に認められている病気のリストから正式に同性愛が外されました。しかし、大衆のほとんどは今でも同性愛嫌悪を抱いており、政治家や右派グループは自分たちの評判を守るためにLGBTの人権を蹂躙し続けてきたのです。

 サンクトペテルブルグのゲイコミュニティは、何年もプライドマーチの許可を求め続けてきましたが、行政から許可が降りず、正式に許可がないために機動隊や国粋主義者による弾圧につながってきました。モスクワのユーリ・ラズコフ前市長はゲイパレードを「悪魔的である」とすら言っていました。

 弁護士のデミトリ・シュビン氏は、憲法にはLGBTの人権についての明確な定義がないため、ロシアの法律にはまだ解釈の余地があると述べています。「憲法は、ひとつの社会集団が他の集団の人権を侵害するとしても、社会全体が何に関心があるのかというバランスを考慮にいれるものである」。つまり、社会の多数派がLGBTの権利を制限することができてしまうということです。
 しかし、これは連邦法によって達成されるものなので、条例(地方の法律)については同性愛者が法的解釈を理由に対抗することが可能であると、シュビン氏は述べています。

 未成年者を同性愛者のプロパガンダから守ることは緊急課題であると市議会議員は言っていますが、サンクトペテルブルグの教育者たちはこうしたキャンペーンの登場に驚いています。
 ある教師は「この問題について教育現場では『問わず、語らず』の姿勢をとっています」と語りました。
「LGBTの問題は私たちの教育現場では持ち上がってきていませんし、この問題に焦点をあてることはありません。私たちは生徒に対してアルコール、麻薬、エイズ、性感染症の危険について語ることはありますが、LGBTの問題については決して語ることはありません」


 LGBTの人権擁護団体「All Out」は、「この条例はペンの力で数億人もの人々を社会的に不可視状態にしてしまうものである」として、この条例に反対するキャンペーンを始めました。
「この条例は、LGBTであることについて本や記事を書いたり公共の場で意見を述べる人間をすぐにでも犯罪者にしてしまえるという、法的乱用の危険を含んでいるものです」
 All Outは世界に向けて署名を呼びかけています。
「プーチン首相とメドヴェージェフ大統領率いる政党は、LGBTが公に語ったり集まったりする自由を奪う差別的な条例を導入しようとしています。ロシアは、ヨーロッパ人権条約をはじめ、多くの国際的人権条約に調印しています。ロシアがそうした条約の義務に従うよう声を上げ、発言の自由が奪われようとしているロシアのLGBTとともに立ち上がりましょう」
 署名は現在、目標の175,000人にもう少しで届きそうな164,000人余りの人たちから集まっています。メールアドレス、名前、国、郵便番号を入力するだけで、簡単に署名ができます。(こちらをご覧ください)

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