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アルゼンチンで性別を自由に変えられる法案が可決されました


2011年にブエノスアイレスで行われた
同性婚ファッションショーの一幕
 南米で初めて同性婚を合法化したアルゼンチンの議会が、このほど、公的機関に届け出る性別の選択を法的権利として認める法案を可決し、話題を呼んでいます。
 この法案によって、性別適合手術やホルモン療法に医療保険を使うこともできるようになるほか、成人であれば医師や裁判所の同意を得なくてもジェンダーを変更できるようになります。たとえ身体を全く変えなくても、本人の申告に基づいて自由にジェンダーを変えられるため、他に類を見ない画期的なものです。

 アルゼンチンの上院議会は、この法案を賛成55票、棄権1票、反対0票という圧倒的多数で可決しました。与党・正義党(ペロン党)のソニア・エスクデロ上院議員は、2年前の同性婚合法化に続き「自己決定権と個人の権利が再確認された」と評価しています。

 アルゼンチンの人口は約人口4000万人ですが、そのうちトランスジェンダーは約2万2000人だそうです(世界平均の約50倍。かなり多いと言えます)。寿命は同国平均の75.5歳に比べ、35歳と非常に短く、ほとんどが低学年で学校を去り、正規の教育を受けておらず、9割以上が売春産業に入るといいます。

 北部の港町バイア・ブランカで学生たちを教える心理学者マリア・エバ・ロッシさん(45)は、今回の合法化を歓迎するトランスジェンダーの一人です。「これからはもう病気だとか犯罪者扱いされなくて済む。ようやく私たちの権利が認められるようになったのです」

 しかしいったい、国民の91%がカトリック信者を自認する歴史的に保守的なアルゼンチンで、どうしてこのようにリベラルな施策が推進されてきたのでしょうか。AFPの記事が、その辺りについて詳しく解説しています。
 現在、上下両院で過半数を占める与党・正義党(ペロン党)とその政治運動は、「社会的正義」「経済的自立」「政治的主権」の3つの理念を柱としています。1940年代に社会福祉を導入したのも、逆に90年代に民営化を進めたのも、また現在、国有化を推進しつつ個人の権利を拡大しているのも、全て同じこの正義党です。
 これについて文学評論家のベアトリス・サルロ氏は、「ペロン主義は政治イデオロギーとして生まれたのではなく、社会運動から生まれた。(だから)その時々の時代を反映する」と述べています。
 一方で、カトリック教会は2003~07年の故ネストル・キルチネル前大統領と、その妻で2011年に再選されたクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領の両政権下で弱体化が進みました。
 サルロ氏はさらに、人口が都市部に集中している点を指摘します。「フランスやその他の国では世論の根は地方コミュニティにあるが、アルゼンチンでは都会性が他では不可能な法を可能にしている」
 都市部ではさまざまな人権団体が声をあげやすく、政府の支持も得やすくなっています。2001年の調査によればアルゼンチンの人口は9割が都市部に集中しており、同性婚の届け出の多くもブエノスアイレスや首都圏に集中しているそうです。


「性別の選択」と「死ぬ権利」を合法化、アルゼンチン(AFPBB)
http://www.afpbb.com/article/politics/2877851/8942052?ctm_campaign=txt_topics

アルゼンチン、医師や裁判所の同意がなくともジェンダーを変えられる法律を可決(みやきち日記)
http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20120511/p1

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