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アメリカで初めて同性愛を描いた作家、ゴア・ヴィダル氏が死去

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若き日のゴア・ヴィダル氏
 7月31日、アメリカの作家・脚本家であるゴア・ヴィダル氏が肺炎の合併症のためハリウッドヒルズの自宅で死去しました。86歳でした。20世紀史に名を残すオープンリー・ゲイの偉人がまた一人、亡くなりました。

 裕福な有力者の家庭に生まれ育ったヴィダル氏は(ジミー・カーターや元副大統領アル・ゴアのいとこだそうです)、21歳でアラスカ州での軍務経験を元にした最初の小説を出版し、2年後の1948年、アメリカ文学史上初めて同性愛者を主人公にした『都市と柱』を発表し、物議を醸しました。『都市と柱』は「背徳の書」「反アメリカ的」などと罵倒され、『ニューヨーク・タイムズ』から書評の掲載を拒絶されるはめに陥りました。が、トーマス・マン、アンドレ・ジッド、E・M・フォースター、クリストファー・イシャーウッドらがこの小説の先見性と見事な青春小説としての側面を評価し、弁護に立ち上がりました。

 1959年にはあの映画『ベン・ハー』の脚本の再執筆に携わりました(プロデューサーの死去によってクレジットの問題が複雑化し、ヴィダル氏の名前はクレジットされなくなりました)。同性愛の映画史を描いたドキュメンタリー『セルロイド・クローゼット』でヴィダル氏自身も語っていましたが、ベン・ハーと親友メッサラが同性愛関係にあったという裏設定は、ヴィダル氏がワイラー監督と相談し、脚本に練り込めたたものだそうです(メッサラがローマから帰って来てひさしぶりにベン・ハーと再会するシーンの撮影前、監督はメッサラ役のボイドに「君たちは幼なじみであり、やがて青年になるにつれて同性愛関係になった。君はローマに旅立ち、関係も終わりを告げるが、帰国してベン・ハーと再び昔の関係を求めるんだ。しかし、彼は拒否する。そういう伏線を踏まえて演じてくれ」と言ったそうです)
 
 1968年に発表された『マイラ』は、トランスジェンダーのマイラの手記の形式をとり、時代に先がけてジェンダーを論じつつ、映画・文学理論やアメリカン・カルチャーへの諷刺を盛り込んだコメディ作品。発売されるやいなや大論争を巻き起こし、アメリカだけで1年間に2000万部を売り上げました。『マイラ』はヴィダルの小説の一つの到達点と見なされており、現在でも古典として読み継がれています。(『マイラ』は1970年に映画化されたものの、ハリウッドから不評を買い、カルト映画化しているそうです)

 ヴィダル氏の小説『都市と柱』は「J.T.に捧ぐ」とされていましたが、「J.T.」とは学校の同級生ジミー・トリンブルのことでした。トリンブルは1945年、硫黄島の戦いで戦死したそうで、ヴィダル氏は後に回想録『Palimpsest』(1995)の中で「自分が精神的にも肉体的にも愛した人はトリンブル一人だけだった」と告白しています。

 ゴア・ヴィダルは生涯に小説24編、戯曲5編、エッセイ200編以上、そして多数の映画脚本、回想録などを執筆しています。1993年にはエッセイ集『United States』で全米図書賞を受賞しました。また、いくつかの映画にも出演したほか、TVのトーク番組にもよく登場し、意見の対立する相手と舌戦を展開していました。
 

米作家ゴア・ヴィダルさん死去 同性愛文学「都市と柱」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/obituaries/update/0802/TKY201208020315.html

米作家ゴア・ヴィダル氏、86歳で死去 マルチな才能で活躍(CNN)
http://www.cnn.co.jp/usa/35019941.html

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