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ダイヤモンドオンラインのLGBT連載の充実ぶりがスゴイです

 この7月、『東洋経済』と『週刊ダイヤモンド』が同時に誌面上でLGBT特集を組みましたが(詳しくはこちら)、『週刊ダイヤモンド』は誌面で取り上げるだけでなく、Webサイト「ダイヤモンド・オンライン」で「LGBT――もはや、知らないでは済まされない」という連載をスタートさせました。この連載、回を重ねて10回目を数え、現在も続いているのですが、その充実ぶりには目を瞠るものがあり、並々ならぬ思い入れを感じさせます。

 まず、第1回・第2回は「LGBTX座談会」。レズビアンのひろこさん、西川麻実さん、小野緑さん、ゲイの松中権さん、溝口哲也さん、トランスジェンダーの藥師実芳さん、Xジェンダーの佐々木笹さんらが登場し、セクシュアリティ(あるいはジェンダーアイデンティティの揺れ)の自己受容、メディアや世間の偏見、同性パートナーの権利、職場での問題、教育の問題などについて語られています。テーマは多岐にわたっていますが、大事なことが濃縮して届けられていました。まずは当事者の方にお話を聞こうという姿勢も窺えますし、とても良質な、意義深い座談会でした。
 
 第3回・第4回は、レディ・ガガのプロデュースにも関わったオープンリー・ゲイの音楽プロデューサー、ラリー・ティが登場しています。彼は「80年代以降、多くの才能あるゲイがエイズで亡くなったことが転機だった」と語ります。企業も行政も、ゲイのもつ優れたクリエイティビティに、いなくなって初めて気づいたというのです。それから、ゲイカルチャーが貧困街を生まれ変わらせたNYのウィリアムズバーグの例を挙げて、東京にもそういう場所が必要、と語っていました。続いて舞台はヨーロッパに飛び、パリのル・マレ地区(やはりエイズ禍に苦しんだ歴史を持ち、地道な闘いを続けてきたそう。2001年にはゲイの市長が誕生)、ロンドンのSOHO地区(99年のネオナチによる爆破事件という悲劇を乗り越え、地域が団結、市も応援して安全な街に)、マドリッドのチュエカが紹介されています。

 第5回は、パトリック・J・リネハン大阪・神戸米国総領事とパートナーのエマーソン・カネグスケ氏へのインタビュー。外交官として世界を飛び回るリネハン氏は、以前はパートナーの渡航費用を自腹で払っていましたが、オバマ政権になって他の夫婦と同様の扱いをしてくれるようになったと語りました。また、日本に赴任してからゲイ差別的なことは全く言われたことがなく(企業の経営者などもふつうに扱ってくれた)と、日本にはLGBTを受け容れる素地があると語っています。そして、日本のLGBTの多くが生きにくさを感じていることについて、ウガンダの例や韓国のホン・ソクチョンの例を挙げながら「存在しないものには権利も何もない。見えるようになることが大事だ」「もう少し時代が変われば、LGBT差別をした企業がクレイジーに見られるようになる」と語りました。

 第6回・第7回のテーマはプライドパレード。ストーンウォールの話から始まり、アメリカのプライドウィークのこと、NYやサンフランシスコのパレードのレポートなどが届けられました。今年はオバマ大統領同性婚支持発言を受け、パレードでもオバマ氏再選をアピールする人が多かったそうです。一方で、社会の受け容れが進めば進むほど、パレードは縮小する傾向にあるというジレンマもあると言われています。また、東京レインボープライドや「Save the Pride」のことも紹介され、日本特有の「壁」について語られています。

 第8回は、豊島区議の石川大我さんへのインタビュー。区議に当選後、区長や副区長、人権関係部門の方にLGBTについて話したところ、総じて「話を聞こう、理解しよう」という姿勢だったという話が印象的でした。そして昨年来、としま男女共同参画推進プランの改訂の際、性的少数者への理解の促進を区の施策に加えてもらうなどの活動を行ってきたほか、数年前から、永田町の議員秘書や霞が関の現役官僚などが集まって「LGBT当事者だけの勉強会」を始めているそうです。

 第9回は、永易至文さんが登場し、中年期以降にゲイが直面する課題——病気、介護、相続、老後の問題などについて語っています。永易さんは「日本のゲイ一期生」としてこうした問題について取り組んできましたが、「身体」「お金」「法律」のホームドクターを持とう、専門家の知恵を借りて生活者としてのゲイライフに目を向けようと呼びかけます。そして社会や企業にも、生活者としての同性愛者の存在を認知していただきたいと語っています。

 第10回は、グローバル・イクオリティ・カウンシル代表のマーク・ブロムリー氏へのインタビュー。アメリカのLGBTへのヘイトクライムの現状、日本の印象(以前よりもオープンで寛容になっている)、オランダや北欧といったLGBTの受容が非常に進んでいる国のこと(すでに社会に統合され、目立たなくなっているが、移民の問題が起こってきている)などについて語っています。ブロムリー氏はLGBTの受け容れはだんだんと進むものだと言います。LGBTの非犯罪化、公の場での差別を禁止すること、LGBTに対して就職や結婚、発言などさまざまな機会を作り出すこと、というステップです。

 この連載、10回で終了かと思いきや、第11回としてサンフランシスコ在住のゲイカップルとレズビアンカップルの座談会が掲載され、まだまだ続きそうな気配です。バックナンバーも今後の記事もぜひ、読んでみてください。


ダイヤモンドオンライン連載「LGBT――もはや、知らないでは済まされない
【第1回】LGBTX座談会(上)私たちは特別な存在ではない 
【第2回】LGBTX座談会(下)社会を構成する全員に関わること 
【第3回】ゲイはクリエイティブな才能の持ち主 その魅力は人を呼び寄せ、街も一変させる――ラリー・ティー インタビュー 
【第4回】ニューヨーク、パリ、ロンドン、マドリッド LGBTたちが集うレインボータウン最新レポート そこは子連れ家族も楽しめる流行発信地だった! 
【第5回】LGBTは現実世界に暮らす普通の人だ パトリック・J・リネハン大阪・神戸米国総領事 エマーソン・カネグスケ氏 インタビュー 
【第6回】プライド・パレード取材記(上)ニューヨークのパレードは縮小傾向 でも、待ち望んだ社会はすぐそこに! 
【第7回】プライド・パレード取材記(下)全米最大サンフランシスコは100万人動員!紆余曲折する東京のパレードが悩む高い壁 
【第8回】地方は末端ではなく、先端である――。できることから始めて、国へ広げていく――石川大我・豊島区議会議員インタビュー 
【第9回】病気、介護、相続……老後の来ないゲイはない すべての人に知ってほしい私たちが直面する課題 
【第10回】LGBTに対する機会提供の平等には企業が積極的に関わるべきだ――マーク・ブロムリー グローバル・イクオリティ・カウンシル代表 

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