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世界初の同性婚の立役者、ボリス・ディトリッヒ氏が来日

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 オランダで世界初となる同性婚法案を成立させた立役者であるボリス・ディトリッヒ氏が来日し、毎日新聞などの取材に対し、日本でも同性婚が実現することを期待すると語りました。

 ボリス・ディトリッヒ氏はオランダで生まれましたが、自分がゲイであることを探求するためにアメリカに渡りました。ゲイとは何なのか、自分のセクシュアリティは何なのかを探求したかったからです。ある日、両親から「家族に非常に悲惨なことが起きた」という手紙が届きました。姉がレズビアンだとわかったというのです。「我が家にはお前がいるし、孫を産んでくれるよね」というメッセージが書かれてありました。彼はその時からヘテロセクシュアルとして生きていこうと努力し、彼女も作りました。
 しかし、ゲイとして生まれたのでやはりそのようなことはできないと限界を感じ、オランダに帰国して両親にカミングアウトしました。理解してもらうのは非常に困難なことで「おまえとは話をしたくない」と言われたそうです。「両親にとっては姉に次いで2人目の子どもにまでゲイだと告げられたわけです。もう孫を見ることもできないと思わせることは本当につらいことでした」。しかし数日後、両親から電話があり、「ゲイというならばそれを受け入れたいと思う」と告げられました。
 それから両親とのコンタクトは増えていきましたが、一つだけ守ってねと言われたことありました。それは「同性愛者であることを公言しないでほしい」ということでした。彼はゲイとして生きていく覚悟を決めていたので、自分を制限することは約束できないと答えました。

 ボリス氏がアメリカにいたとき、サンフランシスコに行ったことがあったのですが、そのとき、コミュニティワーカーとしてすごくアクティブな人に出会いました。お店に入って話をしたら、突然その彼に「お前はゲイだ、俺にはわかる」と言われたのです。当時、私はヘテロセクシュアルとして振る舞うようにがんばっていたので、自分は何か間違ったことをしているのかと思いました。ガールフレンドは「あなたがゲイなはずないじゃない」といい、僕も「まったくわからない、おかしいよ」と言っていました。
 その人がボリス氏の運命を変えることになったのです。オランダに帰ってきて数年後、サンフランシスコでゲイの男性として生き、暗殺されてしまった人のドキュメンタリーをTVで見て、驚愕しました。ハーヴェイ・ミルクこそが「お前はゲイだ」と言ったあの人だったのです。ボリス氏はその瞬間から、ゲイやレズビアンのために人生を捧げることが自分の使命なのだと確信し、ゲイであることをオープンにするようになりました。
 
 1994年、ボリス・ディトリッヒ氏は、オランダで初めてのオープンリー・ゲイの国会議員になりました。当時はまだカミングアウトすることが珍しく、ジャーナリストからも度々インタビューを受けて「あなたはセクシュアルマイノリティのために何をするのですか」と聞かれたそうです。「正直言ってその時はまだ答えは持っていませんでした。ただ地平線にむかって自分が走っていけるような何かを見つけなくてはいけないと思っていました。そこで頭に浮かんだのが、なぜレズビアンやゲイは結婚できないのだ、ということだったのです」
 彼は弁護士や裁判官もしていましたが、周りの人は「同性の婚姻なんてありえない」といった反応だったそうです。しかし彼は、「これは選択の自由の問題であり、平等権の問題である」と説明しました。「ヘテロセクシュアルの人だけが結婚できて、LGBTは結婚できないというのは不平等である。市民として平等な権利であるべきだ」と主張しました。
 数年の後、国会で賛成多数を得ることができ、2001年に世界で初めてオランダで同性婚が導入されました。それから11年の間に新たに11カ国が導入し、合計12カ国が同性婚を認めるようになりました。

 アメリカではいくつかの州で同性婚が認められていますが、カリフォルニア州ではいったん認められた同性婚が住民投票で否決され、裁判になりました。その中で、ある証人が「オランダでは男性が男の犬と結婚している」と発言し、ボリス氏はオランダの同性婚の真の姿を法廷で証言し、その裁判に勝つことができました。そういう流れで現在、ボリス氏は世界中の国会を渡り歩いているんだそうです。
 10月にはイギリスとフランス、11月にはニュージーランドで同性婚の話をします。彼はこれから15~20年で、西側の諸国の大部分が同性にも婚姻を開くと信じています。「オランダでも差別的な人はたくさんいましたが、政府が同性婚を導入するやいなや『政府が認めたんだからいいんじゃないの』と人々は態度を変えたからです」
 
 ボリス氏は現在、人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)http://www.hrw.org/jaのディレクターとして、国際的に活躍しています。「世界にはゲイであることが犯罪とされている国が81もあります。一方、オランダでも未成年の自殺者の45%がLGBTだというデータがあります。宗教や無知が原因なのです」
 HRWは今回、日本IBMと協力して、LGBTフレンドリーな職場を作るためのセミナーを開催しました(前日にはグッド・エイジング・エールズのトークイベントにも出席)。多くの企業が関心を寄せ、来年は野村証券で行う予定です。
「日本政府は国連のLGBT問題を解決するためのコアグループメンバーに属しており、政治的課題の一つにあげるための活動を続けています。性的指向や性自認にもとづく暴行や拷問や差別をなくすために、日本政府がアジア諸国との間で、自分たちのLGBTに関するポジションをしっかり議論していくことが求められています」




LGBT課題のフロントライン――同性婚、差別、暴力 ボリス・ディトリッヒ(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)(SYNODOS JOURNAL)
http://webronza.asahi.com/synodos/2012100300001.html

ひと:ボリス・ディトリッヒさん 同性婚合法化へ世界巡る(毎日jp)
http://mainichi.jp/opinion/news/20121010k0000m070133000c.html

〈私の視点〉性的少数者の人権 同性愛差別なくす議論を(朝日新聞デジタル)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210110473.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201210110473

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