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性別変更後の女性に特別養子縁組が認められ、晴れて母親に

 4月4日は「トランスジェンダーの日」、そして「養子(ようし)の日」。そんな4月4日にふさわしい、そしてゲイ・レズビアンカップルにとっても朗報となるニュースをお届けします。

 性同一性障害(GID)で男性から女性に性別変更した大阪府の30代女性(仮にAさんとします)が、結婚後、児童養護施設から引き取った男児との特別養子縁組を申し立て、大阪家裁に認められました。GID学会によると、国内初だそうです。
 
 特別養子縁組とは、実親による養育が困難で養護を必要とする乳幼児(6歳未満)が、別の家庭で養育を受けられるようにする制度です。普通養子縁組(ほとんど誰でもできる契約としての養子縁組)と異なり、実の親との親子関係がなくなり、養親の実子となります。民間のあっせん業者や医療機関が仲介し、家庭裁判所の審判を経て、成立します。
 しかし、児童相談所は虐待の問題への対応で手いっぱいで、養親と子どもとのマッチングになかなか時間をさけないこと、実親が親権を手放したがらないこと、などから、乳児の特別養子縁組はほとんど進んでいないそうです。
 ある児童相談所の相談員は、養子をとるなら小さい子がいいと希望する方が多く、あっせんする際に順位をつけなければいけない(競争率が高い)と語っています。「どんな親が良いか子どもに代わって考えなければならない。性別変更をした人を排除するわけではないが、現実的には一般的な男女の夫婦が選ばれやすい」
 これまで、GIDの方が特別養子縁組を望んでも「健全な親子関係が営めるか疑問」などとして申請の時点で難色を示されることもあったといいます。「日本性同一性障害と共に生きる人々の会」の山本蘭代表は「性同一性障害の当事者だと、里子をあっせんするのは無理だと断られることが何度もあった」と語っています。

 Aさんは2004年に性同一性障害特例法が施行された後、性別を変更し、その後、男性と結婚しました。2010年、児童相談所で里親になる手続きを進めながら、大阪市の民間福祉団体「家庭養護促進協会」に相談し、研修や面接を受け、2011年春に男児を迎え入れました。嫡出関係となる特別養子縁組の審判を夫婦で大阪家裁に申し立て、2012年冬に認められました。
 Aさんは取材に対して「大変なことが多かったが、逃げずに向き合ってきて良かった。後に続く人が出てきてほしい」と語りました。(本当によかったですね)

 日本ではまだ代理出産が普及していないため、男性から女性に性別変更した人が日本で母親になるためには、子のいる男性と結婚するか、養子縁組をするしかありません。しかし、前段階である里親申請の時点で拒否されるケースもあり、母親への道の前には厚い壁が立ちふさがっていました。こうした現状で、特別養子縁組が認められたことは、たいへん画期的で、当事者の方たちに勇気を与えるニュースと言えます。GID学会理事長の中塚幹也岡山大教授(産婦人科)は「子どもがほしいと願う当事者にとって新たな選択肢になる。性や家族の多様性を考える上でも大きな動きだ」と語っています。 
 
 今回、GIDの方の特別養子縁組が認められたことは、将来、同性カップルにも特別養子縁組(あるいはその前段階としての里親制度)が適用されるようになるための一歩と見ることもできると思います。

 4月3日、都内で同性カップルが法律上の親になるための課題を話し合うシンポジウムが開かれたことが、NHKのニュースになっていました。
 このシンポジウムは、育児放棄された子どもを育てようとするゲイカップルの姿を描いた映画『チョコレートドーナツ』の公開に合わせて開かれたもの。「RainbowFosterCare」の代表・藤めぐみさんは「児童養護施設などで暮らしている子どもが多くいる。その一方で、子どもを引き取って育てたいと考えている同性愛のカップルがいることを知ってほしい」と語り、全国里親会の木ノ内博道副会長は「まずは性的マイノリティへの偏見を無くしていくことが大事だ」と呼びかけました。
 会場を訪れた20代の女性は「子どもが愛情を持って育てられることがいちばん大事なので、その視点からの法整備や社会環境が整えばいい」と感想を述べていました。
 欧米では当たり前になりつつゲイ・レズビアンカップルによる子育て。日本でもようやく、閉ざされたドアを叩く音が聞こえてきたようです。
 



性同一性障害 性別変更後「母親」に 特別養子縁組認定(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014040202000224.html

同性愛のカップルが親になる課題とは(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140404/k10013486951000.html

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