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店員によるゲイ客への暴行が起きたブラジルの「すき家」前で抗議のキス・インが行われました

2014年08月14日

 日本の牛丼チェーン「すき家」のブラジル・サンパウロ店で8月3日、ゲイが店員に暴行される事件が起きました。教員(24)と恋人の俳優(23)のゲイカップルが食事をしながらキスをしたところ、店員から「ここは家族向けの店だ。場所をわきまえてほしい」と注意され、隣の席にいた家族連れが「いやな気など全くしなかったが」と言ってくれたため、二人が再びキスをはじめたところ、店員が教員の顔を数発殴り、鼻から出血したのです。

 この傷害事件(憎悪犯罪)を問題視する声がインターネット上で広がり、7日と8日、同性愛者数十人が店舗前に集まり、キス・イン(キスによる抗議のデモンストレーション)を行いました。
 すき家のブラジル法人は、社員教育を徹底する旨の声明を発表しましたが、被害者への謝罪は済ませていないそうです。

 この事件を受けて、豊島区議の石川大我氏は、すき家(日本法人)に対し、被害者への謝罪、賠償は今後行うのか? ブラジルの同性愛コミュニティへの対応は? 殴った従業員の処遇は?(刑事事件として警察と連携すべきでは?) これを受けて、日本法人としてどう対処するのか?という内容の問い合せを行ったそうです。
 今回の件は、任天堂に続き、在外日本法人が欧米のLGBT事情を理解していない(ついていけてない)ことを露呈してしまったケースに数えられるのではないでしょうか。これを機に、LGBTへの意識を高めていただけたら素敵ですね。
 
 ブラジルでは昨年、最高裁が「同性カップルが婚姻届を提出しても政府は断る立場にない」という判決を下したことにより、事実上同性婚が認められました。また、同性愛者差別を禁じる法律も制定されています。が、LGBTに対する傷害事件(憎悪犯罪)は後を絶たず、2010年には少なくとも260人が命を奪われたそうです(詳しくはこちら)。今年に入ってからも、サンパウロでゲイをねらった連続暴行事件が起きています(詳しくはこちら

 サンパウロと言えば、毎年300万人とも400万人とも言われる参加者で盛り上がる世界最大のプライドパレードが開催されることで有名です(パレードの日は、市が軍警察等へ数千人体制の警備を要請し、暴動や窃盗、無許可の露天商等を取り締まるため、安全面への配慮は万全なんだそうです)。サンパウロ・プライドでは、パレードだけでなく、LGBTへの差別とどう闘っていくかを議論する場も設けられています。
 それだけ大規模なパレードが行われるのは、単にお祭り好きな国民性ということだけではなく、差別や暴力が激しいからということもあるのでしょう。
 

ブラジル:すき家に同性愛者抗議…キスした客、店員が殴る(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20140812k0000m030129000c.html

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