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LGBTに対する差別の禁止や権利の尊重を基本方針に盛り込んでいる企業が146社に上ることがわかりました

 東洋経済新報社は2005年から、上場企業を中心とする有力・先進企業に対してCSR(企業の社会的責任)に関する調査を行い、東洋経済CSR企業総覧として発表していますが、2013年からそこにLGBTへの取り組みについての質問が追加されました。LGBTに対する差別の禁止や権利の尊重を基本方針に盛り込んでいると回答した企業は、2013年(企業総数1210社)は114社だったのですが、2014年(1305社)には146社に増えました。

 2014年で10回目となる東洋経済CSR調査は、「雇用・人材活用編」「CSR全般・社会貢献・内部統制等編」「環境編」「基礎調査」という4種類の調査票を主要な企業に送り(送られていない企業も自主的に参加できます)、回答を集計・データ化するものです。この「雇用・人材活用編」の中に「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)に対しての会社の基本方針(権利の尊重や差別の禁止など)の有無についてお答えください。方針の有無に関わらず、具体的に何らかの取り組みを行っている場合は「LGBTに関する何らかの取り組みについて」もお答えください。また、具体的な取り組みがあればお書きください。」という質問項目が設けられています(Q7。2013年から追加されました)
 その結果、こちらに列挙されている146社で「あり」という回答が得られました。昨年「あり」と回答した114社の一覧はこちらです。
 また、会社の基本方針にLGBTに対する差別の禁止や権利の尊重を盛り込むこと以外に、何らかの「LGBTへの取り組みを行っている」かどうかという回答についての業種別の集計結果もこちらで見ることができます(P32)。回答社数が多い業種と少ない業種があって一概には言えないのですが、「行っている」が最も高かったのは保険業の62.5%で、運送業や不動産業で0%となっています。サービス業では6.4%、全体の平均は13.1%です。

 東洋経済では、このCSR調査をもとに、毎年「CSR企業ランキング」を発表しています。昨年、人材活用ランキングでトップを取ったのは富士フイルムホールディングスですが、女性社員比率や障害者雇用率などの高さに加え、LGBTへの取り組みも評価されています(詳細はこちら)。今後、CSR調査で上位を取るためにはLGBTへの取り組みも必須項目となってくるのではないでしょうか。
 
 アメリカでは、主要な企業のLGBTフレンドリー度を採点した「CORPORATE EQUALITY INDEX」というリストがたいへんよく参照されています。これは、人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」が毎年フォーチュン1000企業に対し、「性的指向で差別しないという社内規定がある」「性自認で差別しないという規定がある」「同性パートナーへの福利厚生」「トランスジェンダーの医療保険」「社内にLGBTの従業員のグループがある」「地域のLGBTコミュニティをサポートしている」「同性婚などに反対する団体をサポートしない」といった項目で調査を行っているものです。日系企業でも、トヨタなどは100点を取っています。イギリスなどでも同種の調査が行われています。
 
 日本IBMが(最近ではラッシュジャパンも)従業員が同性パートナーと「結婚」した際に結婚祝い金を出すという社内制度を設けていますが、日本でも、こうした外資系企業を中心に、社内のLGBT従業員を尊重し、取り込もうとする動き(ダイバーシティ&インクルージョン)が着実に広がりを見せつつあると言えそうです。

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