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欧州人権裁判所がイタリアの同性婚禁止を人権侵害であるとの判決を下しました

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同性カップルへの婚姻登録を開始した
ローマ市長(中央)
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ローマ・プライドに参加したカップル
 7月21日、欧州人権裁判所は21日、イタリアの3組の同性カップルによる「イタリアの制度のもとでは結婚もできず、結婚に準じる公的なパートナーシップ関係も認められていないため、私的および家庭生活の権利尊重を定めた欧州人権条約第8条の侵害にあたる」との訴えを認め、人権侵害だとする判決を下しました。そして、イタリア政府に対し、原告に1人当たり5000ユーロ(約68万円)の損害賠償と、総額1万4000ユーロ(約190万円)の訴訟費用を支払うよう命じました。

 ご存じのようにイタリアは、カトリックの総本山・バチカンを擁し、ローマ法王のお膝元として、カトリック教会の影響がとても大きくなっています。そのため、ジェンダーや性愛に関しては非常に厳格な保守的価値観に支配されてきました(離婚ですら、1970年まで認められていませんでした)
 同様にとてもカトリック色が強かったルクセンブルクも首相自身が同性婚して話題になり、イタリアよりも保守的だと言われていたアイルランドも、同性婚を国民投票による憲法改正で認め(ある意味、逆転ホームラン)、とうとうイタリアが西欧主要国の中で唯一、同性パートナーの権利がほとんどない国となってしまいました。
 
 Web上ではイタリアでもトスカーナ州など8州でPACSのような制度(シビルユニオン)が導入されているとする記述もありますが、実はこの「シビルユニオン」は象徴的な(実質を伴わない、名目的な)もので、遺産相続などの権利は一切含まれていませんでした。
 そんなイタリアで、2006年冬、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映された『パートナー法は突然に』にも描かれているように、革新系のプロディ政権が同性パートナーシップ法案を国会に提出し、国内は大騒ぎになりました。バチカン(ローマ教会)や保守派議員による激しい非難の嵐のなか、ローマ・プライドでは100万人が法制化を求めて行進しました。しかし、翌年の議会解散により、審議は頓挫しました。
 2013年、21歳のゲイの青年・シモーネさんが「僕は同性愛者だ。この社会ではうまくいかない。イタリアは自由な国だが、同性愛を嫌悪する人々がいる国でもある」という遺書を残して飛び降り自殺しました。彼は自殺する前、相談窓口に学校や職場で差別発言を受けたと打ち明ける電話をかけていました。ローマではシモーネさんを追悼し、同性愛者差別に反対するデモが行われました。
 2014年10月、ローマのイニャツィオ・マリーノ市長は、ベルギーやスペインなど、国外で結婚した同性カップル16組の婚姻を市庁で認知・登録しました。これに対し、アルファーノ内相はローマ市の婚姻登記簿から同性婚を削除するよう命じましたが、マリーノ市長はこれを拒否。また、ナポリ市当局も同性婚を受理し、アルファーノ内相の削除命令に対し、法廷で争う構えを見せました。 
 また、2013年に就任したレンツィ首相は同性婚立法に積極的に動くことを表明し、2014年末には同性カップルに異性夫婦とほぼ同等の権利を付与する(同性カップルのどちらかの実子をパートナーが養子縁組する権利を含む)同性パートナー法案を提出し、上院で審議が始まりました。が、反対派による修正要求が多く、法制化が難航しています。2015年6月10日には下院が同性パートナー法案を政府に承認させるための動議を発動しました。
 そうしたなか、イタリアの3組の同性カップルが、政府から性的指向に基づく差別を受けたと欧州人権裁判所に訴え、今回の判決へとつながるのです。

 欧州議会は2003年、性的指向による差別に反対する人権決議を表明して以来、全加盟国にあらゆる差別を撤廃するため努力するよう推奨してきました。そして今年の6月9日、将来のEUジェンダー平等戦略に、性的マイノリティの権利の明記を要求すると決定しました。具体的には、①個人によるジェンダー指向の法的擁護を確実にし、幼少時も含め、トランスジェンダー・アイデンティティの完全なる脱病理化へ向け努力する。②多様な家族形態を「家族」の定義に含め、労働法と家族法において性的マイノリティを親として認める。③学校教育において性的マイノリティに対する偏見をなくすよう欧州委員会に働きかける、というものです。さらに、EUはイタリアの性的マイノリティの置かれた差別的環境を分析した報告書『イタリアにおけるジェンダー平等政策』を発表し、イタリア政府にパートナーシップを認め、性的マイノリティの人権を尊重する政策を取るよう勧告しています。

 
 


同性婚禁止は「人権侵害」 欧州人権裁、イタリア政府に賠償命令(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3055234

「同性婚」認めないのは「人権侵害」 欧州人権裁判所がイタリア政府に賠償命令(弁護士ドットコムニュース)
http://www.bengo4.com/other/1146/1307/n_3448/

ローマ市長、同性婚認知を強行で政府と対立(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3030672

ファミリー・ゲイ~「家族」の権利を求めるイタリアの性的マイノリティー(WJWN) 
http://www.wjwn.org/views/article.php?NUM=V-0510

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