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京都市が若者を対象にLGBTについての意識調査を実施、性的マイノリティが暮らしやすい社会をつくるための取組みが必要と回答した人が8割超

 同性カップルに自治体がパートナーシップ証明書を発行するなど国内でも性的少数者の権利を認める動きが広がるなか、学生の街・京都の若者の意識を把握しようと、京都市男女共同参画推進協会(中京区)が昨秋、性的マイノリティへの理解度を調査する初のアンケートを実施し、このたび結果を発表しました。市内の6大学と1短大、青少年活動センター1ヶ所で、10代後半から20代前半の学生や利用者640人から回答を得ました。
 回答者のうち、性的マイノリティ当事者は2.8%と少なめでしたが、若い方たちだけあって、ストレートの方でも受容的・支援的な回答が目立ちました。例えば、身近な人から性的マイノリティだと打ち明けられた場合に「驚くが、話を聞く」「今まで通り接する」と回答した人が6~7割、性的マイノリティが暮らしやすい社会をつくるための取組みが必要と回答した人が8割超となりました。
 調査結果はこちら(PDFです)に掲載されています。調査の背景と目的として「国内外で性の多様性を認める動きが広がっている。学生の街である京都の地域社会において、LGBT等性的マイノリティ当事者の支援者を増やすために、若い世代のLGBTに対する理解度やカミングアウトに対する意識を調査し、支援の輪を広げるための課題やニーズを把握する」とあります。

 Q1「性的少数者、セクシュアルマイノリティ、LGBT、ゲイ、バイセクシュアル、レズビアン、トランスジェンダー、性同一性障害やといった言葉のうち、聞いたことがあるものにチェックをつけてください」という質問では、レズビアン、ゲイ、性同一性障害で90%を超える認知度となりました。LGBT、トランスジェンダーは60%台になりましたが、「比較的新しい用語であるため認知が低いと思われる」とのことです。また、「当事者の方が理解度が高いが、それでも100%ではなく、当事者であっても情報を得るのが難しい状況が伺える」そうです。

 Q2「LGBTの言葉の意味はわかりますか?」という質問に対しては、わかると回答した人が過半数の53.0%でした。「Q1では、聞いたことがある人が60.9%だったので、聞いたことがある人はほぼ意味まで理解している。最近の新聞・テレビ等のメディアで用語解説されているのが浸透していると思われる」

 Q3「LGBTなどの性的マイノリティは人口の何%ぐらいだと思いますか?」という質問に対しては、約1%と回答した人が45.0%で最多、正答の約5%(20人に1人)を選んだのは38.5%でした(最新の調査では7〜8%ですので、正答ではないのですが…)。「全年代を対象とした「淀川区区民意識調査(2015 虹色ダイバーシティ)」では正答が21.3%だったので、今回の調査対象者である若年層の方が理解度が高いと言える」
 Q3でLGBTの言葉の意味を知っていると答えた人の半数以上が人口の割合について正答しています。「大学等の授業や新聞・テレビのニュースでしっかり解説されている影響ではないかと思われる」。また、当事者であると回答している人の約3割が誤答だったことについて「自分以外の当事者に安全に出会う機会が少なく、孤立感があるのではないかと懸念する」とコメントされています。

 Q4「誰かを同性愛者でないかと噂する、テレビの話題として「同性愛者は気持ち悪い」などと言う、「女らしくない」「男らしくない」というような否定的な言動、宴会芸として女装やオネエタレントの真似をするといった差別的言動のうち、今までに体験したり、見聞きしたりしたものにチェックをつけてください」という質問。同性愛者ではないのかという噂については性的マイノリティで61.1%、性的マイノリティではない人で42.6%が「しばしば」「たまに」と回答しており、「当事者の方がより敏感である」。差別的発言についても同様に当事者の方がより多くを経験しています。「非当事者が差別的意図なく、何気なく言っている言葉に当事者が傷ついている状況が浮かび上がる」

 Q5「あなたの身近な人(家族、友人、知人)などから、LGBTなどの性的マイノリティであると打ち明けられた場合、あなたの気持ちに近いものにチェックをしてください」という質問に対しては、過半数が「おどろくが、話を聞く」「理解したいと思う」「今まで通り接する」でした。「理解できない」「距離をおきたい」等の否定的な反応を選択する人は10%未満。「受け身ながら受容の姿勢が多数派である」。「ポジティブな反応は女性(自認する性)の方が総じて多く、これは他の調査でも同様である。性的マイノリティに理解ある男性のロールモデルが少ないことが影響しているのではないかと考えられる」。また、「信頼してくれてうれしいと思う」「応援したいと思う」という、より積極的な受容の姿勢を見せたのは約4割でした。「こうした声を「見える化」することで当事者の生きづらさを緩和することができるのではないだろうか」

 Q6「LGBTなどの性的マイノリティの人たちにとって日本社会は暮らしやすい社会だと思いますか?」という質問に対しては、「思わない」「あまり〜と思わない」が8割を超えています。「当事者が困難な状況におかれていることは多くの人が感じている」。また、当事者以外(性的マイノリティではない人たち)で「わからない」と回答している人が10.2%だったことについて「非当事者が無関心層とならないために啓発を進める必要を感じる」とコメントされています。

 Q7「LGBTなどの性的マイノリティの人たちが暮らしやすい社会をつくるための取組は必要だと思いますか?」という質問に対しては、「必要だと思う」「やや必要だと思う」が合わせて83%となりました。

 Q8「どのような取組が必要だと思いますか?」という質問に対しては、「社会制度の見直し」63%、「教育現場での啓発」50%、「コミュニティスペース」42%、「相談機関」40%となりました。当事者と非当事者を比較すると、「相談機関」は非当事者の40%が必要と考えているのに対して、当事者は17%となりました。「これは、虹色ダイバーシティの職場における調査でも同じ傾向であり、相談機関があっても使えないのではないかという懸念の現れだと考えられる。相談機関を作るのであれば、安心して利用できることをしっかり広報する必要があるだろう」

 まとめとして、以下のように書かれています。

<LGBT等の基礎用語・知識からわかること>
 若者世代を対象とした本調査の結果を全年代対象の「淀川区区民意識調査(2015 虹色ダイバーシティ)」と比べると、若者世代は性的マイノリティに関する知識も理解度も高いと思われる。メディアや大学等の授業で知識を習得していることに加えて、身近にカミングアウトしている友人がいることで関心が高まっているのかもしれない。但し、当事者であっても言葉の理解度が100%ではなく、比較的新しい言葉が多い状況を踏まえると、正しい言葉と意味について社会全体で認知度を高める必要があると言える。
 例えば、『レズ』という言葉には侮蔑的な意味が含まれるので『レズビアン』という言葉が推奨される。言葉は時代とともに進化していく。ジェンダーの問題でも、DV(ドメスティッス・バイオレンス)という言葉が使われるようになったことで、配偶者からの暴力が個人的な問題ではなく、社会的な問題・犯罪であるという認識が広まった。家庭内、地域、学校等の教育機関など全ての場所で性的マイノリティに関する正しい言葉と意味を理解し、使用することが当事者と当事者以外の相互理解の壁を乗り越える手掛かりとなる。 

<誰かを同性愛者でないかと噂する等の差別的言動の経験の有無について>
 4項目全てにおいて当事者の方が非当事者より多く経験している。これは虹色ダイバーシティの職場における調査の傾向とも合致しており、非当事者が差別的意図なく、何気なく言っている言葉に当事者が傷ついている状況が浮かび上がる。また、男らしさ、女らしさに関する否定的言動は、性自認が女性の方がやや敏感であり、それよりさらにXジェンダーの方が敏感である。社会的により弱い立場に置かれる側の視点を重視して施策を考える必要があるだろう。

<カミングアウトに対する意識>
 身近な人(家族、友人、知人)などからLGBTなどの性的マイノリティであると打ち明けられた場合を想定した質問では、「理解できない」「距離をおきたい」等の否定的な反応を選択する人は少数であり、約4割が「信頼してくれてうれしいと思う」「応援したいと思う」という積極的な受容の姿勢を見せた。英語で「LGBTの理解者、支援者」を意味するアライ(ally)につながるこうした声を「見える化」することで当事者の生きづらさを緩和することができる。
 受容に関するポジティブな反応は性自認・女性の方が総じて多く、これは他の調査でも同様であることから、今後は性的マイノリティに理解ある男性のロールモデルが増えることも重要である。
 一方で、「性的マイノリティについての全国調査※」では、自分の子どもが同性愛者だったら「嫌だ」「どちらかといえば嫌だ」との回答が20代で55.3%であった。身近な人がそうだったら、という戸惑いは、市井の当事者の姿が見えにくいことと、当事者の家族がどのように受容したらよいかという情報も不足していることが要因として考えられる。

※釜野さおり・石田仁・風間孝・吉仲崇・河口和也2016『性的マイノリティについての意識―2015年全国調査報告書』科学研究費助成事業「日本におけるクィア・スタディーズの構築」研究グループ(研究代表者広島修道大学 河口和也)編

<取り組みの必要性と誰もができるアクションついて>
 アンケートでは大多数の人が何等かの取り組みが必要だと答えている。前述の全国調査では、同性婚の法制化に「賛成」「やや賛成」は20~30代で70%を超えている。若い世代は非常にポジティブだとも言えるが、社会制度が変われば自然に解決するのではないかと、どこか他人事にしている気分はないだろうか。社会制度が変わっても身近な差別的言動は無くならないかもしれないし、逆に社会制度が変わらなくても自分の周囲から差別的言動を減らすよう働きかけることはできる。身近でできるアクションを提示する必要を感じる。家庭や地域、学校でLGBT等性的マイノリティの理解者・支援者であるアライの輪を広げることが重要である。


 京都市男女共同参画推進協会事業企画課主任の市原陽子さん(36)は「最新の研究では13人に1人がLGBTと言われており、京都でも確かに存在する。性的マイノリティへの理解度を『見える化』することで、支援の輪を広げることにつながれば」と語っています。
 

同性愛などLGBT、6割超が受容姿勢 京都市、若者を調査(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20160904000041

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