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アカデミー賞ノミネート作品が発表、今年度注目作は『ムーンライト』

2017/02/01

 米映画芸術科学アカデミーは1月24日、第89回アカデミー賞のノミネーションを発表しました。

 アカデミー賞といえば、2007年に『ブロークバック・マウンテン』が監督賞・脚色賞・オリジナル音楽賞に輝き、2009年は『ミルク』が主演男優賞、脚本賞を受賞、2010年はゲイの監督リー・ダニエルズの『プレシャス』が助演女優賞と脚色賞を受賞、2011年は『キッズ・オールライト』と『ブラック・スワン』(主演女優賞獲得)というレズビアン色の濃い作品が話題になり、2012年は『人生はビギナーズ』のクリストファー・プラマーがアカデミー助演男優賞を獲得、2014年は『あなたを抱きしめる日まで』が何部門かでノミネート、2015年は『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』が脚色賞を受賞、昨年は名作『キャロル』『リリーのすべて』(助演女優賞獲得)が注目を集めました。ほぼ毎年、LGBTに関連する作品が賞レースを賑わせています。

 さて、今年はどうかというと、『ムーンライト』というゲイを主人公とした作品が作品賞、監督賞(バリー・ジェンキンス)、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、助演女優賞(ナオミ・ハリス)、脚色賞、撮影賞、編集賞、作曲賞の8部門にノミネートされ、受賞の期待を集める注目作となっています。
『ムーンライト』はマイアミを舞台に、自分の居場所とアイデンティティを模索するアフリカ系ゲイの少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描いたヒューマンドラマです。脚本を書いたタレル・アルヴィン・マクレイニーはオープンリー・ゲイで、この物語は彼自身の子ども時代の話なんだそうです。
 マイアミの貧困地域で暮らす少年シャロンは、学校で「お前、オカマか」といじめられ、家庭では麻薬常習者の母親から育児放棄され…そんな生活の中で唯一の男友達であるケビンに友情以上の思いを抱くようになるが、アフリカ系アメリカ人のコミュニティでは決して受け入れてもらえないことに気づき…というストーリーです。

 ほかにも、トム・フォードの2作目の作品『ノクターナル・アニマルズ』が助演男優賞(マイケル・シャノン)にノミネートされていますし、同性愛も描かれている(パートナーを見つけられないと動物にされるという設定がスゴいと話題を呼んだ)『ロブスター』が脚本賞(ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリプ)に、多様性や社会的マイノリティへの讃歌である『ズートピア』が長編アニメーション賞にノミネートされています。
 
 アカデミー賞の前哨戦とも言われるゴールデングローブ賞では、『ムーンライト』が最優秀作品賞(ドラマ部門)に、『ノクターナル・アニマルズ』が最優秀助演男優賞(アーロン・テイラー=ジョンソン)に、『ズートピア』が最優秀長編アニメーション映画賞に輝いています。
 
 また、ゲイ&レズビアン・エンタテインメント映画批評家協会(GALECA:The Gay and Lesbian Entertainment Critics)によるドリアン賞という映画賞があり、1月26日に受賞結果が発表されましたが、こちらでも『ムーンライト』が作品賞、監督賞、男優賞、脚本賞、LGBT作品賞に輝いています。ちなみにドリアン賞ではTV部門もあり、『トランスペアレント』がTVコメディ賞、TV部門男優賞、LGBT TV作品賞を、『ルポールのドラァグ・レース』がキャンピーなTV作品賞を受賞しています。

『ムーンライト』はほかにも、米タイム誌が選ぶ2016年の映画トップ10の第1位に選ばれたり、第42回ロサンゼルス映画批評家協会賞や、第26回ゴッサム・インディペンデント・フィルム・アワードで作品賞ほか4部門を制するなど、数々の栄誉に輝いています。

 本丸のアカデミー賞で『ムーンライト』がどこまでいけるか、見守っていきましょう。授賞式は2月26日(現地時間)に行われます。
 なお、『ムーンライト』は今年4月に日本でも公開されることが決まっています。楽しみですね。