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香港最高裁が、香港在住の英国人レズビアンカップルに対し、家族ビザと同等の就労権を認めました

2018年07月07日

 7月3日、家族ビザ(Dependant Visa)の申請を却下されていたレズビアンの英国人女性に対し、香港終審法院(最高裁)が就労権を認める判断を下しました。「同性愛者の権利を尊重する大きな一歩」として世界の各紙が大きく報じています。

 SSさんとQTさんのカップルは英国でシビルユニオンを2011年に結んでいました。同年、SSさんが香港で就職先を得たため、2人で香港に移住しました。QTさんを配偶者として家族ビザを申請したものの、香港イミグレーションの審査基準に満たないという理由で、2014年、入国管理局に却下されました。QTさんは不服を申し立てましたが、2015年に敗訴。この司法の判断に対して控訴し、2017年、高裁で逆転勝訴を勝ち取りました。これに対して入管が上訴し、最高裁で争われることとなり、今回の判決が下されました。この間、QTさんは就労権のない訪問ビザでの滞在を余儀なくされていました。

 最高裁は「家族ビザの申請を却下した入管の判断は適切ではなかった。香港への移住において家族を同伴できるかどうかは重要な問題である」と、扶養家族の就労権を異性カップルにのみ制限することは「非生産的だ」との判断を下し、長期にわたった法廷闘争に決着をつけ、QTさんが愛するパートナーと共に生活し、労働する権利を認めました。 

 香港では同性婚や同性パートナー法は認められていませんが、今回の判決は画期的と言えます。
 女性側の弁護士、マイケル・ヴィドラー氏は、香港の最高裁が同性カップルの権利に関する判断を下したのは今回が初めてだと述べ、「うまくいけば今回の判決は変化への道を開き」、同性婚承認へとつながるだろうとコメントしました。

 今回の裁判は、ゴールドマン・サックスや モルガン・スタンレーをはじめとする世界的な大手金融機関が支援していたことでも注目が集まりました。香港の各銀行からも賛辞が寄せられており、「すべての人の権利を尊重することは優秀な海外人材の香港への招き入れにおいて重要だ」などのコメントが集まっています。才能ある人材を惹きつけるにはLGBTを含むダイバーシティ&インクルージョン施策が重要であるという考え方はもはやグローバルスタンダードになりつつありますが、金融機関の動向が最高裁判決にまで影響を及ぼしたということが、なんとも香港らしいと言えるかもしれません。

 この6月には、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所が、EU加盟国の国籍を持つEU市民と結婚した同性のパートナーは、その国籍にかかわらずEU全域で暮らすことができるという画期的な判断を示していました。(ご参考:「同性パートナーに「画期的」司法判断 背景を読み解く」)

 日本でも、24年間日本に住んでいる台湾籍の方が入管から国外退去を求められ、これがもし異性カップルであれば在留資格が認められるのに同性間には認められないのか?と問う、日本初の同性カップルの事実上の法的効力を求める訴訟が行われています(詳しくはこちら)。今回の香港や、EUの判決にならい、同性カップルも異性カップルとなんら変わりなく、互いに愛し合っているのだから、離れ離れにされることなく、共に暮らす権利が認められるべきであるという判断をぜひ、お願いしたいところです。
  

 

香港最高裁、同性愛者に扶養家族ビザと同等の就労権認める(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3181216

最高裁が同性カップルの家族ビザと就労権を認める(香港BS)
https://hongkong-bs.com/topics/20180705/

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