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住む家をなくしたLGBTのための支援ハウスをつくる運動が始まっています

 住む家をなくしたLGBTのための支援ハウスをつくる運動が始まっています。
 アメリカでは若年ホームレスの約4割がLGBTであるという調査結果がありますが、実は日本でもゲイ・バイセクシュアル男性を主な対象とした調査で全体の5.2%が「住む家をなくしたことがある」と回答していることが明らかになっています。決して少なくない数字です。

 日本で「ホームレス状態」になった場合、行政がつないだ仮の住まい(更生施設や無料低額宿泊所など)に入り、まずはそこで支援を受けることが慣例となっています。しかし、多くの場合、それらの施設は「個室」ではありません。また、個室であっても、そもそもの住環境が社会復帰のためには適さない施設が多いのが現状です。
 ゲイ・バイセクシュアル男性やトランスジェンダーの場合、同性から性暴力の被害を受けた人が、さらに同じ性別の人と相部屋になったり、ご本人が望むのとは異なる性別での施設への入所を余儀なくされることがままあります。このような状況は、本人の自立に向けての動きに、大きな支障となる場合があります。
 お金がないから仕事を選べず、健康を崩しやすい。そのような病気になりやすい状況下では、メンタル面での不安を抱えやすく、適切な相談機関などへ自らつながるアクションを起こしづらい。相談できないからこそ、よい仕事を探すことや社会制度の利用をはじめることができず、お金がない。
 お金がない、病気になりやすい、相談できない…この「負のスパイラル」を断ち切り、安心できる「個室」と「経験のある支援体制」が、ホームレス状態になったLGBTにも必要なのです。

 たくさんのホームレスの人の生活保護申請に立ち会ってきた稲葉剛さんは、HIV陽性者でホームレス状態になっていたゲイ男性が生活保護を申請するのに同行したことがあり、横に長いカウンターを挟む形で相談者と面接担当の職員が向き合い、隣の席にいる人の相談内容がまる聞こえの状態だった福祉事務所で、自分の生活歴や病気のことを話さなければいけないのは耐えられないと語った、というお話をしています。稲葉さんは受付で職員に小声で「聞かれたくない事情があるので、個室を用意してほしい」と伝え、少し待たされたものの、個室の相談室に通されたそうです。申請した後は通常、その日の晩から宿泊先を定めることが役所から求められますが、HIV陽性者を受け入れることができる民間の施設を、役所の担当者も見つけることができなかったといいます。

 LGBTの生活困窮者が公的支援にアクセスしにくくなっているという現状を踏まえると、当面の対応策としてLGBT専用の個室シェルターを自前で用意するという選択肢も有効なのではないか。こうした問題意識のもと、LGBTのグループや個人と話し合いを重ね、「LGBTハウジングファーストを考える会・東京」という新たな団体を発足し、自前で「LGBT支援ハウス」を開設するというプロジェクトを立ち上げるに至ったそうです。中野区内に個室一室を借り、そこを「LGBT支援ハウス」として運用。さまざまな支援団体と連携して、支援を必要としている人につながり、ニーズに合った支援を提供していく予定です。
 
「LGBTハウジングファーストを考える会・東京」のみなさん
「LGBTハウジングファーストを考える会・東京」のみなさん
 これまで何人も生活に困窮するLGBTの相談・支援を行ってきた石坂わたるさんは、こう語ります。
「DVで逃げてきた人もいましたし、働いていた職場の中でLGBTであることがばれてしまい、性的嫌がらせが発生して、逃げてきたという人もいました。住まいを失い、その日、その日、相手を探して泊めてもらうという人もいれば、寮付きの『ウリセン』で働いていたけど、合わなくて逃げてきた人、お客さんから暴力を受けていた人の相談にのったこともあります」
「生活保護の窓口では、集団生活の民間宿泊所からスタートすることを勧められるのですが、「それだと無理…」という人が一定数いらっしゃいます。同性からのDVや嫌がらせを受けてきた経験があって、同性との集団生活が難しいという人もいます。また、民間の宿泊所にすでに入っている人からの相談を受けたこともありますが、『この環境にいて、自分が自立に向けて動き出せるとは思えない』と語っていました。彼は、施設の中で自分がゲイであることがばれるのではないか、ばれたらどうしようということが頭から離れず、ゲイであることを隠さないといけないが、生活全部が集団生活の中で一緒になっているので、そこがすごくストレスになっていると言っていました」
「これから生活保護を申請する人やすでに受けている人など、さまざまな状況の方の相談を受けて感じることは、個室のアパートにすでに住んでいる人と集団施設に入れられている人を比べると、アパートにいる人の方が、精神疾患があり、すぐに一般就労ができない状態であるにしても、障害者の作業所などにつながり、前向きに生きている人が多いということです。支援ハウスができれば、きちんとした住所があって、一人で落ち着ける環境の中で自立に向けて考えていくことができると思います」

「LGBTハウジングファーストを考える会・東京」で、さまざまな相談対応にあたるのはHIV/エイズや性感染症・セクシュアルヘルスをテーマに、市民一人一人が自分らしく生きられるような地域の環境づくりに取り組む「特定非営利活動法人ぷれいす東京」です。また、精神疾患、発達障害、依存症(アルコール・薬物・性行動、他)などの問題を抱えるLGBTのための自助グループである「カラフル@はーと」も相談にあたります。ほかにも、貧困問題やHIV陽性者支援・LGBT当事者のピアサポートに長年取り組んできた複数の民間団体が連携し「LGBT支援ハウス」を中心にした支援にあたります。

 クラウドファンディング「日本初!貧困・孤独・病気 負のスパイラルから抜け出すための『LGBT支援ハウス』をつくりたい!」は、3000円から参加が可能です。中村キース・ヘリング美術館やアルファロメオが協賛し、金額に応じて素敵なグッズがもらえたりします。Webサイトをご覧いただき、ご検討いただければ幸いです。

 

中野でLGBT支援ハウス開設に向けた取り組み始まる クラウドファンディングも(中野経済新聞)
https://nakano.keizai.biz/headline/1471/

LGBT支援ハウスがなぜ必要なのか?(WEBRONZA)
http://webronza.asahi.com/national/articles/2018072600005.html

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