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東京医大が、女性の一律減点だけでなく、同性愛傾向があるかどうかを尋ねる差別的な適性テストを実施していたことが明らかに

2018年08月08日

 女性の受験者に対して一律に減点を施すという衝撃的な差別対応、そして官僚子弟の「裏口入学」などで非難を浴びている東京医大ですが、二次の適性試験で「同性に魅かれるか?」「(男性に対して)女性に生まれたかったか?」と聞くような質問項目が含まれ、差別的だと問題視されているMMPIという心理テストを用いてきたことが明らかになりました。一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんが気づき、Twitterに投稿したことで、広まりました。

 8月7日午後に記者会見が開かれ、東京医科大学の行岡哲男常務理事と、宮澤啓介学長職務代理が、女性や浪人生の扱いや、文科省前局長の子息の対応などについて詳細を語りました。
 Youtube上にその記者会見の動画が上がっておりますが、45:22頃から見ていただくと、次のようなやりとりが行われていることがわかります。

ーーハフポスト日本版です。入試の内容について、聞きたい。そちらを受験した女子学生によると、適正試験というのが二次試験にあって、その中に「私は性生活に満足している」といった文言も含まれた250問程度のものだったと、おそらくそれはMMPIではないかと思いました。実際、何の形式の心理テストなのか、お伺いしたい。
「私自身が知る限りでは、バウムテストとMMPIの2つです」
ーーMMPIですと、ほかにもですね、LGBTの方々の傾向が窺えるようなことをあえて聞くような内容というのがまずあって、2、3年前に教員採用試験などで、これを採用している自治体があることが、新聞などで問題になって、国会でもこうしたテストの是非を問われた経緯があります。それを今でも、未成年の受験者もいるなかで、性生活に満足しているかなどと聞く、適性試験の可否についてどう思うのか、ご見解を伺いたい。
「貴重なご指摘、ありがとうございました。私は認識していなかった。受け止めてぜひ検討したいと思います」

 MMPIは、もともと1943年にアメリカで開発されたもので、米軍の兵士採用試験において同性愛者を排除する意図で使われた歴史を持っています。試験結果を分析するための心理的尺度の中に「男性性/女性性尺度(Mf尺度)」という項目があり、個人のセクシュアリティが表れるようになっていたます。アメリカではすでに人事選考に関してこれを用いることはできなくなっていますが、日本でも、地方自治体による公務員・教員・警察官の採用試験で適性試験としてMMPIが用いられていることが問題視されるようになり、2012年に国会で(衆議院法務委員会で)問いただされ、法務大臣が「不用意な導入がどれだけ人を傷つけるか認識が薄かった」との答弁をしています。
 就職の際の面接等で、家族や出生地など本人に責任のない事項や、妊娠出産についての考え、思想信条など本来個人の自由であるべき事項を尋ねることは差別につながるとして、厚生労働省や文部科学省は企業等に対してこれらを尋ねないよう指導しています。性的指向などに関する情報もまた同様に取り扱われるべきですし、面接に限らず、適性試験の問題に不適切な設問が存在していることにも十分注意していく必要があるでしょう。
(Yahoo!ニュース「地方自治体の公務員採用試験で「同性に惹かれるか?」「女性に生まれたかったか?」などの質問は許される?」より)

 2012年以降、MMPIの問題は、ニュースなどで知られるところとなりましたが、今回の東京医大のことをきっかけに、実は大学の二次試験や地方の公務員試験でまだこれが使われているのではないか、企業の適性試験はどうなのかとあらためて問われ、もし使われていたら取りやめるというふうに、世の中が変わっていくといいですね。

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