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田亀源五郎『田舎医者/ポチ』

ゲイコミックの巨匠・田亀源五郎さんの新刊単行本『田舎医者/ポチ』が発売されました。『バディ』誌に発表された作品、お蔵出しの旧作、描き下ろしの作品も入って、バラエティに富んだ田亀ワールドを堪能できる一冊です。

田亀源五郎『田舎医者/ポチ』


『田舎医者/ポチ』
田亀源五郎/ポット出版/
A5判 272ページ/2,400円+税
 田亀源五郎さんの新刊単行本『田舎医者/ポチ』のレビューをお届けします。(後藤純一)

 田亀源五郎さんはゲイ雑誌『バディ』や『G-men』に『銀の華』『PRIDE』などの傑作ゲイコミックを発表してきた(『G-men』では表紙絵も手がけていました)、海外での評価も非常に高いゲイコミックの巨匠です。『日本のゲイ・エロティック・アート』の編者でもあり、一作家にとどまらない活躍を見せています。

 新刊の『田舎医者/ポチ』は、『禁断』『童地獄・父子地獄』に続く、ポット出版からの単行本です。前二作と同様、函入り仕様なのですが、今回は表紙に粋な——夏の恋を想像させるちょっとロマンチックな——男絵(トップ画像参照)も描かれ、ずっと手元に置いて大事にしたくなるような一冊です。

 肝心の作品はというと、『バディ』誌に発表された作品、お蔵出しの旧作、描き下ろしの作品など、バラエティに富んだラインナップ。
 個人的には、表題作の『田舎医者』がとてもよかったです。田亀先生もあとがきで「お気に入り」とおっしゃってますが、従来の作品とはひと味違った、カラリと明るいエロ礼賛な、ある種ユートピア的な世界です(おばあちゃんがヤッてるところを見て「まぁたおつとめ、ご苦労なこって」とあっけらかんと言ったりします)。案外、昔の(江戸時代までの)日本ってこんな感じだったんじゃないかなあ…と想像するのですが、いかがでしょうか? SMモノが苦手な方でも、どなたでも楽しめる作品だと思います。
 もちろん、SMやハードテイストが好きな方にも楽しんでいただけるような作品も、収録されています。
 他にも、ちょっと内田春菊さんの『南くんの恋人』を思わせるような作品や、近未来SFチックな仕掛けが用意されている作品、また、(田亀作品のトレードマークとも言うべき)ヒゲ野郎とは違うさわやかリーマン系、若いスジ筋系なキャラクターも描かれていて、これまでにないバラエティ感を感じさせます。
 たぶん、これまでの田亀作品のイメージ(ヒゲ野郎のハードなSMモノ)がちょっと苦手…という方も、田亀ファンの方も、両方楽しめるような一冊になっていますので、格好の入門書にもなっていると思います。

収録作品
◎田舎医者
◎スタンディング・オベーション
◎傀儡廻(くぐつまわし)
◎ポチ
◎ジゴロ
◎Lover Boy
◎見知らぬ土地で奴隷にされて…
◎43階の情事


作品のプレビューが楽しめる予告編サイトもあります!