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REVIEW

ガガ本の決定版!『レディー・ガガ エッセンシャル・フォトバイオグラフィー』

ついに出ました、ガガ本の決定版! まるで写真集のようにレディ・ガガの素敵写真がふんだんに掲載され、詳細なバイオグラフィーとともに「ガガの女神」といったコラムも盛り込まれたファン必携!の充実極まりないフォトブックです。これ一冊でガガのことはOK!

ガガ本の決定版!『レディー・ガガ エッセンシャル・フォトバイオグラフィー』








 これまでに出版されたガガ本(『レディー・ガガ』『レディー・ガガ ルッキング・フォー・フェイム』)と同様、パリス・ヒルトンと同じお嬢様学校に通うイタリア系の女の子ステファニー・ジャーマノッタがどのように世界のレディ・ガガへと変貌を遂げていくか、詳細に綴られていますが、ガガの「恥ずかしい写真」(若いときの「ふつう」な姿)もふんだんに収められていて、逆に興味深いです。

 そしてもちろん、ガガと言えばゲイですから、ゲイとの関わりについてもたっぷり語られています。
・ガガが移り住んだ頃のロワー・イーストサイドは、アンディ・ウォーホールの「ファクトリー」の精神が息づく、アーティストやボヘミアンが暮らす最先端の街でした。ガガは、通っていたクラブでドラァグクイーンといっしょに踊り、たくさんのゲイと知り合いました。
・2008年夏、『Just Dance』のプロモーションで、ガがは膨大な数のゲイクラブを回りました。ロワー・イーストサイドのゲイクラブでレディ・スターライトといっしょにゴーゴーダンスを始めた時からゲイの共感を呼び、根強い支持を集めていたからです。スペシャル・ミックスのシングルをゲイクラブだけに配布し(うらやましい!)、そのスタイリッシュで気合いの入ったスタイルは、クラバーたちに絶賛されました。
 ガガは『ローリングストーン』誌のインタビューでこう語っています。「(キャリアをスタートさせた頃は)ニューヨークのゲイクラブで遊び回っていた。80年代のクラブカルチャーに心酔していたのよ」。当時のゲイクラブでは80年代のクラブカルチャーが大流行していたのです。
 6月最終日曜日のサンフランシスコ・プライドのパーティへの出演をはじめ、その夏、ガガはさまざまなゲイプライドイベントに姿を見せました。
・しかし、ガガは、決してゲイのファンをだしにしているとか、NYのゲイシーンとのつながりを利用しているとは思われたくなかったそうです。実際『Boys Boys Boys』は早いうちからシングルとしてリリースできる状態にありましたが、ガガはこの曲がいかにもハデハデしいゲイ讃歌になってしまうかもしれないことに懸念を抱き、リリースを拒んでいました。この件についてインタビューされたガガは「ほんと言うと、世界全体をゲイにしたいの」と語りました。
・それから1年が過ぎた頃、ガガはゲイの権利向上運動を支援するため、ヒューマン・ライツ・キャンペーンの晩餐会でジョン・レノンの『イマジン』をアレンジを加えて歌うことになります。真剣なメッセージを伝えるため、身なりも落ち着いた雰囲気にしていました。ガガにとって、音楽を売ることだけがすべてではありません。ガガは社会貢献という分野でも仕事をしたいと思っていました。
「メインストリームに押し上げてくれたのはゲイのみんなだった。私は彼らに身を捧げたし、彼らも私に身を捧げてくれたの。ゲイコミュニティのおかげで、今の私があるのよ」
・2008年10月から12月はニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの前座として全米のアリーナを回っていました。ガガは公演が終わると、たいていその街のゲイクラブやオシャレなナイトスポットに出演しました。
・2009年、1月にロンドン最大のゲイクラブ「ヘブン」に出演し、勢いをつけました。2月には「ブリット・アワード」でペットショップ・ボーイズと共演しています。
・2009年9月、世界がガガに興味を示し、ツアーで世界を回る間に強い影響力を持つ人と仲よくなっていきましたが、その最たる例が、ペレズ・ヒルトンでした(ペレズは、GLAADの広報を務めたり、ゲイ雑誌の編集者になったこともあります)。ヒルトンはゲイだと噂されていてもはっきり公言していないセレブのセクシュアリティを暴露することでその名を馳せました。また、MIKAのようなゲイの権利運動支持者のプロモーションを買って出ることもありました。

 本文に書かれたこうした記述だけでなく、コラムとして盛り込まれた「ガガの女神」というコーナーでは、ガガに影響を与えたさまざまなアーティストのことが紹介されています。マドンナ、シンディ・ローパー、アンディ・ウォーホール、デビッド・ボウイ、エルトン・ジョン、フレディ・マーキュリー、リー・バウリー、グレイス・ジョーンズ、アレクサンダー・マックイーン…もはやゲイ(とゲイ・アイコン)大図鑑といった趣です。
 「ガガとマドンナを比較するくらいなら、シンディ・ローパーを引き合いに出すほうがより核心に近づける」という「なるほど!」な記述や、「すべてはウォーホールに帰するわ。コマーシャル・アートをファイン・アートとして真剣に受け入れられるものにした彼の手腕は見事よ。それこそ私自身の使命だと感じるの」といったガガのコメント、『Just Dance』のジャケ写の「稲妻」がデビッド・ボウイへのオマージュである件、亡くなったリー・マックイーンに捧げたガガのパフォーマンスなど、これだけでも読み応え十分な充実コラムです。
 面白いのは、この「ガガの女神」シリーズに「ミラーボール」がフィーチャーされていること。「ベトナム戦争にうんざりしていたアメリカは、面倒なことをすべて忘れる場所としてダンスフロアを選んだ。ディスコに政治がからんでいなかったわけではない。ゲイの権利運動は盛り上がりを見せ、69年にストーンウォール事件が起こった」「ディスコに行くためにおしゃれをするのは、そこで踊るのと同じくらい楽しくて大事なことだった。ガガが頻繁にミラーボールを使うのも無理はない。素敵なナイトライフのシンボルなのだ」「ミラーボールに象徴されるディスコ・スピリットーー常に最高のおしゃれを志す精神は、ガガの真髄だ」
 
 ちなみにこの『レディー・ガガ エッセンシャル・フォトバイオグラフィー』を発行しているのは『MILK-写真で見るハーヴィー・ミルクの生涯』や『アグリー・ベティ オフィシャルブック』のAC BOOKS。たいへんゲイ・フレンドリーな出版社です。
 そして今回、AC BOOKSのご厚意により、この『レディー・ガガ エッセンシャル・フォトバイオグラフィー』を3冊、読者の方にプレゼントできることになりました。近日中に応募要項を書いたメールを会員の皆様宛てにお送りしますので、お待ちください。
 


レディー・ガガ エッセンシャル・フォトバイオグラフィー
ジョニー・モーガン:著/藤沢祥子:訳/ACクリエイト/168ページ/29.6x21.2x1.8cm/1900円+税

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