g-lad xx

REVIEW

映画『glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー』

ドラマ『glee』のキャストが、劇中さながらのパフォーマンスを披露するコンサートツアーの模様を収めた映画『glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー』。ライブの興奮はもちろん、3人のティーンをフィーチャーしたミニ・ストーリーとあいまって、涙なしには観ることができない、映画ならではの感動をプレゼントしてくれます。

映画『glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー』

TM & (C) 2011 Twentieth Century Fox. All rights reserved.


 ドラマ『glee』の人気はついにTVを飛び出し、アメリカ、カナダ、アイルランド、イギリスをめぐるコンサートツアーを実現させ、約72万人を集客、チケットを入手できないファンも続出したそうです。今回の『glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー』は、ステージの模様はもちろん、その舞台裏にもカメラが迫り、カートやブレイン、レイチェル、メルセデス、ブリトニー、サンタナ…素敵なキャストたちのパワフルな歌やダンス、さらには会場の熱気を迫力の3D映像で体感させる映画です。


『glee』のテーマソングとも言うべきジャーニーの『Don't Stop Believing』で幕を開け(のっけから鳥肌モノの感動)、バーブラ・ストライサンドの『パレードに雨を降らせないで』(会場に本物のバーブラが来ていると聞き、レイチェルが感極まります)、ジュディ・ガーランドの『GET HAPPY』(ゲイ解放運動の端緒となったジュディ・ガーランドの代表曲。ルーファス・ウェインライトもこの曲を定番にしています)、ブリトニーの『I'm A Slave 4 U』(本物のブリトニーに負けるとも劣らないカッコよさです)、ケイティ・ペリーの『Firework』(本当に『glee』にふさわしい名曲!って思います)、レディ・ガガの『Born This Way』(もはや説明不要ですね)、そしてウォーブラーズのライブなどなど、次々に『glee』を彩ってきた名曲が披露されます(曲目リストはこちら)。そんなライブのシーンだけでも大興奮!なのですが、この『glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー』、ただのライブ映画ではありませんでした。
 

 カメラはステージの舞台裏に迫り、キャストたちの素顔の魅力(特にブリトニーが素敵)を映し出すほか、大勢の熱狂的なファンたちの姿もとらえます。子持ちのパパは意外にもカートがいちばんのお気に入りだと語っていました。ゲイのカップルはカートがいいかブレインがいいかでもめています。LEBANESEでLESBIANなカップルも素敵です(ブリトニーがサンタナに「LESBIAN」Tシャツを渡そうとして間違って「LEBANESE」と書いたエピソードに由来)。ブレイン率いるウォーブラーズを完コピして踊る男の子は観客の顔をほころばせます。太っていたり、赤毛だったり、セクシュアルマイノリティだったり、ギーク(オタク)だったり、チャレンジド(障害者)だったり、そういうことをコンプレックスに感じていた若者たちが、「『glee』に出会って人生が変わった!」と語り、目を輝かせてライブを楽しんでいるのでした。
 そして、この映画版のオリジナルコンテンツとして、3人の若者たちをフィーチャーしたミニ・ドキュメンタリーがところどころに挿入されます。1人は体の障害をもつ女子高生、もう1人は発達障害の女の子、そしてもう1人がゲイの男の子。3人とも本当にシリアスな悩みを抱えていましたが、今は本当に生き生きとしています(特に1人目の女の子のエピソードは感涙モノ。詳しくはぜひ、映画で観てください)。この3人のリアルな物語と『glee』のライブが絶妙にシンクロしていき、楽曲に新たな意味が生まれ、感動を喚び起こすのです。(このあたりで泣けた人はきっと多いんじゃないかな…と思います)

 最初から最後まで一環して、この映画には、僕らが最高にハッピーなクラブパーティやパレードやNLGRのようなコミュニティイベントに参加したときのような「祝福感」が満ちています。『glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー』は、すべての「負け犬」に捧げる応援歌であり、讃歌なのです。プロデューサーのライアン・マーフィとすべてのキャスト&スタッフに心からの感謝と拍手を贈りたい気持ちです。
 ぜひ、世界中のすべての人に観てほしいと思います。これ以上10代のゲイが自殺したり、ひどいいじめを受けないように…という意味でも、アメリカの教育省は(そして日本の文科省も)この映画を全国の学校で上映するべきでは?とさえ思いました。

 札幌から福岡まで全国の主要都市で上映されていますが、2週間限定公開のため、上映は10月7日(金)までとなっています。というわけで、この週末はぜひ、『glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー』へ!

 

glee/グリー ザ・コンサート3Dムービー

2011年/アメリカ/監督:ケヴィン・タンチャロエン/製作総指揮:ライアン・マーフィ/出演:リー・ミッシェル、コーリー・モンテース、アンバー・ライリー、クリス・コルファー、ディアナ・アグロン、マーク・サリング、ケヴィン・マクヘイル、ヘザー・モリス、ナヤ・リヴェラ、ジェナ・アシュコウィッツ、ハリー・シャムJr、ダーレン・クリスほか/配給:20世紀フォックス映画/上映時間:1時間24分/10月7日までTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国で上映

INDEX

SCHEDULE