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世界がニューヨークにやって来る ーSTONEWALL50 WORLD PRIDE NYCー

ゲイ解放運動のブレイクスルーとなった「ストーンウォール暴動」から50年という記念すべき年に、ニューヨークでワールドプライドが開催されます。この歴史的なプライドウィークエンドには世界中から300万人ものLGBTが集まり、ビッグなパーティも多数開催され、未曾有のお祭り騒ぎとなりそうです。

世界がニューヨークにやって来る ーSTONEWALL50 WORLD PRIDE NYCー

1969年6月28日、ニューヨーク・グリニッジビレッジのゲイバー「ストーンウォール・イン」でクィア・ピープルが初めて警察に抵抗しはじめ、数日間にわたる暴動となった「ストーンウォール暴動」は、世界にニュースとして広まり、ゲイ解放運動のブレイクスルーとなりました。LGBT史上に燦然と輝く記念碑的な出来事から50年という記念すべき節目のニューヨーク・プライドは、ただでさえ100万人超えのビッグイベントなのに、世界最大のLGBTの祭典「ワールドプライド」と合体し、超が3つつくくらい歴史的な、世界中が注目するプライドウィークエンドとなります。全米、そして世界中から300万人にも上る人々がニューヨークに集まり、ウーピーやシンディら著名なセレブが登場するスタジアムでの豪華オープニングイベントから始まり、ゲイナイトの本場で世界最高峰のウルトラ・スーパー・ゴージャスでSEXYなクラブパーティもたくさん開催され、パレードやストリート・フェス、ルーフトップ・パーティ、プール・パーティ、パーティ・クルーズ、プライドコンサート、タイムズスクエアでのクロージングイベントまで、未曾有の盛り上がりとなりそうです(「World is coming to NYC」と謳われていますが、本当にそんな感じなんでしょうね)。情報量が膨大になるので、山ほどあるイベントの中からほんの「さわり」程度しかご紹介できませんが、例えば「EAGLE NYC」のようなクルージングバーでも連日のようにイベントをやってますし、ブロードウェイだって大賑わいでしょうし、エンパイアステートビルはレインボーカラーにライトアップされますし、SATCゆかりのカップケーキ屋に行ってもいいでしょうし、すべてがキラキラでゲイゲイしくて楽しい、行くなら今!という感じの、この先50年は(次はストーンウォール100周年)こんなお祭り騒ぎはないだろうという、絶好のチャンスです。ストーンウォールのことから始めてイベント紹介まで、一気にお伝えいたします。(後藤純一)

 


ストーンウォール暴動 −1969.6.28、世界が変わりはじめた−


 ストーンウォール暴動は、1969年6月28日、それまで(いやがらせとして)ゲイバーの摘発を行ってきた警官に対して、ニューヨークのバー「ストーンウォール・イン」の客たちが初めて抵抗し、暴動を起こし、ゲイ解放運動のブレイクスルーとなった記念碑的な出来事です。映画『ストーンウォール』ではイケメンの白人が主役になっていて「史実と異なる」「ホワイトウォッシュだ」と大ブーイングを浴びましたが、実際は、黒人でセックスワーカーのドラァグクイーンやトランス女性(要は、最も虐げられていた人たち)が始めたアクションでした(その辺りのことについては、こちらを読んでみていただければと思います)
 ストーンウォール暴動の1周年を記念して、1970年6月最終日曜にニューヨークやサンフランシスコなどでゲイパレードが行われました。これが、今では世界中で開催されているプライドパレードのさきがけです(そういう意味では、今年はストーンウォール50周年、来年はプライドパレード50周年です)。そして、6月がプライド月間ということになったのです。
 「ストーンウォール」や、お店があった「クリストファー・ストリート」や「ビレッジ」(グリニッジ・ビレッジの略称)という名前は、世界的にゲイ解放運動のシンボル、代名詞となってきました(例えばイギリスでは「ストーンウォール」というLGBT団体が活躍していますし、ドイツのプライドパレードは「クリストファー・ストリート・デイ(CSD)」ですし、日本でも、堂山にかつてあった「クリストファー」というゲイ・ディスコの名前の由来になっています)
 バー「ストーンウォール・イン」とその近くのクリストファー・パーク(暴動の時にみんなが集まって集会を開いた公園)は、2016年、オバマ大統領によって「ナショナル・モニュメント(国定文化遺産保護地域)」に指定されました。LGBT関連の施設がアメリカの国の史跡に選ばれたのは初めてのことです。

 


ワールドプライドとは

 
 毎年、6月のプライド月間を中心に世界各地でプライドパレードが開催されていますが、それらとは別に、世界レベルでLGBTのイシューをプロモートするべく、2000年にInterPrideという団体がイタリアのローマでワールドプライドを初開催しました。以後、数年に1回のオリンピック的なペースで世界中のいろんな都市で(持ち回りで)ワールドプライドが開催されています。パレードはもちろん、ゲイタウンでの大規模なフェスやクラブパーティ(スゴいのがたくさん)、様々なカルチャーイベントも併せて開催されるような一大イベント、世界規模のビッグなLGBTの祭典です。
 世界的なLGBTイベントとしては、1982年初開催のゲイゲームズのほうがずっと歴史が古いのですが、後発のワールドプライドのほうが動員数では優っています。そういう意味で、ワールドプライドが世界一のLGBTイベントと言ってよいでしょう。
 2019年はストーンウォール50周年に当たるということでニューヨークが選ばれ、その次は2021年、コペンハーゲンでの開催が決まっています。それ以降は未定です(いつかアジアで、そして日本で開催されたら素敵ですね)

 


STONEWALL50 WORLD PRIDE NYC


 もともとニューヨーク・プライドは100万人超を動員する世界最大級のプライドだったのですが、ストーンウォール50周年を記念してワールドプライドという世界的なイベントと合体し、史上最高のとんでもない規模でのお祭りが開催されることになったのです。
 それは、単にパレードがめっちゃ参加人数が多くて長い行列になる、というような話ではありません。もしかしたら、ニューイヤーにサプライズで「ストーンウォール」を訪れたマドンナが、パレードに来るかもしれません(今年のシドニーのマルディグラにカイリーがサプライズで現れたように)。なんと言っても、エンターテイメントの本場・アメリカ、世界に冠たるメトロポリス・ニューヨークですから、オープニングイベントからクロージングイベントまで、有名アーティストが大勢出演する公式イベントが目白押しです。そして、ちょっとびっくりするようなサーカスのような超巨大クラブパーティや、欧州で開催されている人気パーティ、ルーフトップパーティ、パーティクルーズ、いろんなパーティが連日、山ほど開催されます。ほかにもゲイアーティストの展覧会、映画上映、ミュージカル、演劇、コメディ、New York City Gay Men's Chorusのコンサート(あのカーネギーホールで開催)などなど、いろんなイベントがあります。そして、アメリカ中、世界中から何百万人もゲイが集まるわけですから、もしかしたら運命的な出会いがあるかもしれませんし(いずれはアメリカで結婚、とか)、クルージングバーやサウナで世界中のオトコとヤリまくることも可能です。タイムズスクエア、五番街、カーネギーホール、いろんなNYの名所がワールドプライドの会場になるのは、今回だけ。いずれにせよ、圧倒的なパワーを感じるでしょうし、街全体がゲイだらけになり、きっと「あの年は本当にスゴかった」と後世まで語り継がれる週末になることでしょう。

STONEWALL50 WORLD PRIDE NYC
https://2019-worldpride-stonewall50.nycpride.org/
 

 


WORLD PRIDE公式イベント


 パレード、オープニング、クロージングイベントのほか、WORLD PRIDEが主催する公式イベントが様々あります。著名なアーティストがバンバン登場します。たくさんあるなかで、主だったものをご紹介します。

◎オープニングセレモニー 6.26
 まず、オープニングイベントとして26日水曜日、アメフトの試合なんかが行われるスタジアム「バークレイズ・センター」でWORLDPRIDE OPENING CEREMONYが盛大に開催されます(座って楽しめるのがいいですね)。司会はあの、ウーピー・ゴールドバーグ(『天使にラブソングを』)。そして、名曲「トゥルー・カラー」がゲイ・アンセムとして知られ、長年にわたってLGBTQを支援してきたシンディ・ローパーシアラトドリック・ホールらの出演が決定しており、さらに追加の出演者の発表が予定されています。

WORLDPRIDE OPENING CEREMONY
June 26[Wed] 19:00-22:00
@Barclays Center
45$〜


◎PRIDE ISLAND 6.29
 Pier 97という桟橋エリアの会場で(風が気持ちいいはず)土日の2日間にわたって開催されるライブイベントです。土曜のヘッドライナーはグレース・ジョーンズ(!)、そして、テヤーナ・テイラー、ドラァグクイーンのパブロ・ヴィタール、キム・ペトラス、Amara La Negraらの出演がアナウンスされています。DJはJohnny Dynellです。

PRIDE ISLAND
June 29[Sat] 14:00-22:00、June 30[Sun] 14:00-22:30
@Pier 97
※残念ながらチケットはソールドアウトです…


◎VIP ROOFTOP 6.29
 ニューヨークの町並みを見渡せる最上級のテラス「Hudson Terrace」で開催されるルーフトップ・パーティです。いくつもあるファンドレイジングの中でもゴージャスなパーティの一つです。

VIP ROOFTOP
June 29[Sat] 14:00-22:00
@Hudson Terrace
80$〜


◎プライドマーチ 6.30
 1970年に第1回のパレードが行われ、80年代にはエイズとの闘いというテーマも帯びるようになりました。昨年は500もの団体・企業が参加し、100以上ものフロートが出走したそうです。今年はなんと「東京レインボープライド」もフロートを出します!(参加したい方、次の記事でご案内します)

NYC PRIDE MARCH
June 30[Sun] 12:00スタート
@26th Street & 5th Ave
無料


◎プライドフェスト 6.30
 パレードと同時開催される、性の多様性を祝福するストリート・フェスです。いろんなブースが出て、飲食もできるし、パレードにふさわしい格好をするためのグッズも買えるし、音楽も楽しめます。入場無料ですし、休みたくなったら気軽にどうぞ。

PRIDEFEST
June 30[Sun] 12:00-18:00
会場未発表
無料


◎クロージングセレモニー 6.30
 ワールドプライドのパレードのあとは、タイムズスクエアで開催されるクロージングセレモニーで素晴らしいフィナーレを。名だたるインフルエンサー、LGBTQコミュニティを代表するような世界的タレントが次々に登場します。オープンリー・レズビアンのシンガーソングライター、メリッサ・エスリッジ、元シザーシスターズのジェイク・シアーズ、そしてMNEKの出演がアナウンスされています。さらに追加の出演者もいるそうです。これが入場無料で開催されるというからスゴいです(無料ですが、入るための予約は必要みたいです。こちらから0円のチケットをお求めください)

WORLDPRIDE CLOSING CEREMONY
June 30[Sun] 19:00-22:00
@Times Square
無料

 


世界最高峰のクラブパーティ


 ストーンウォール暴動の半年後、DJのデヴィッド・マンキューソが、クィアピープルがゲイバーで逮捕されたりすることなく安心して楽しめるようなプライベート・パーティ「The Loft」を始めてから、「The Gallery」「studi 54」「Paradise Garage」「The Saint」といった伝説のクラブが次々に誕生し、世界のクラブシーンをリードしたニューヨーク。つい先日も、伝説のレザー&フェティッシュ系パーティ「the Black Party」が開催され、注目を集めました。
 ワールドプライド期間中は、そんなニューヨークのゲイナイトだけでなく、アメリカの他の都市の人気パーティ、欧州のプロダクションなども集結し、各所で大規模にして多彩なナイトを開催します。主だったものを紹介します。


◎Masterbeat is excited to present "One World" 6.27-30
 96年から全米でパーティを開催してきた世界に冠たるプロデューサーであるMasterbeatが "One World"と題してWORLDPRIDE期間中、4日間にわたり、ニューヨークの最高のハコで5つのパーティを手がけます。メインはハマースタイン・ボールルームで土曜夜に開催される「Masterbeat One World」。土曜の昼間には「USS Masterbeat Tea Dance」も。そして欧州最大級のパーティブランド「Matinee」とコラボし、ニューヨーク最後のメガクラブと称される「Terminal 5」で開催されるエロティックなクロージングパーティ「Matinee: Pervert」。ビックリするのはチケット代で、それぞれチケットが約150ドル、通しのVIPチケットが約550ドル、プラチナVIPパスがなんと1万ドル(110万円)! お値段も世界一のようです。

ONE WORLD
http://oneworldpride.com/




◎ALEGRIA WORLDPRIDE 2019 6.30
 毎年プライドとのパートナーシップでゴージャスなクラブパーティ「ALEGRIA」を開催しているアレグリア・プロダクションが、今回は8万平方フィートの超巨大クラブ・コンプレックス「AVANT GARDNER」を使って空前絶後の規模で2つのスゴいパーティを開催します。30日(日)、パレードが終わった頃の17:00からは「WOW」、そして22:00からは「ALEGRIA」が、「AVANT GARDNER」の中の「THE GREAT HALL」と「THE KINGS HALL」で同時開催されます。(トップ画像も以前の「ALEGRIA」の1シーンです。ヤバいですよね…)

ALEGRIA WORLDPRIDE 2019
https://www.ricsenapresents.com/alegria-worldpride2019


◎SOLIDARITY 6.27-29
 アメリカのみならず世界的に有名な3つのゲイナイトが連帯し(SOLIDARITY)、「プライドの別の面」を盛り上げます。3つのパーティとは、ポルノスターが多数出演することで人気の「HUSTLABALL」、マドリードのベア・パーティ「DIES3L」、そしてNYのレザー・パーティ「BRÜT」。いずれもエロティックな雰囲気の本格的なクラブパーティです。

SOLIDARITY
http://solidaritypride.com/



◎FURBALL 6.29
  ニューヨークのみならずアメリカ各地で開催されているベア系パーティ「FURBALL」。ゲイナイトでもバンバンそのリミックスがかかるDJ、Barry Harrisがスピン。レザーなどセクシーな格好が推奨されるクマだらけでエロティックなナイトなのに、『ニューヨークタイムズ』がベスト・プライド・イベントとのお墨付きを与えるほど、音がいいそうです。ニューヨークの夜景を望む「Hudson Terrace」で開催です(ルーフトップは一晩中オープンしてるそう。ナイトでデキた人と夜景を眺めたりしたら、きっと一生の思い出になりますね)。チケットも他のパーティより全然お得です。
 
FURBALL NYC: WORLD PRIDE
June 29[Sat] 23:00-
@Hudson Terrace

 


その他のイベント


◎プールパーティ 6.29
 いわゆるクラブパーティだけじゃなく、みんな大好きプールパーティもしっかり開催されます。と言っても、青森と同じ緯度のニューヨークの6月ですから、屋外プールはさすがに寒い…というわけで、タイムズスクエアのグレイスホテルにある屋内温水プールが会場です。ちゃんとDJも入って、お酒も飲めて、プールでわちゃわちゃしたり、友達と喋ったりみたいなパーティです。フライヤーが3タイプの人種のモデルさんなのですが、センターがアジア系という珍しいパターンです(なので、安心してご参加いただけそうです)

ULTIMATE WORLDPRIDE NYC DAY PARTY IN TIMES SQUARE
June 29[Sat] 12:00–16:00
@Room Mate Grace Hotel


◎パーティクルーズ 6.29
 プールもあれば、パーティクルーズもあります。600人乗りのクルーズ船をゲイだらけでチャーターし、グリニッジ・ビレッジ辺りの桟橋を出発し、ハドソン川をマンハッタン島に沿って南下し、自由の女神に手を振り、テラスでは気持ちのいい海風に吹かれながらDJのゴキゲンなパーティミュージックでノリノリにダンスし、フード&ドリンクに舌鼓を打ち…というパーティクルーズがプライドウィークエンドの間に6つあります。まだチケットが残ってるのは、29日土曜夜のベアクルーズだけのようです。

Sea Tea's Bears Cruise
June 29[Sat] 18:00–20:00
@Pier 40 at Hudson River Park near Greenwich Village

◎New York City Gay Men's Chorusコンサート
 結成40周年を記念するNew York City Gay Men's Chorusが、全米のLGBTの合唱団にも参加を呼びかけ、あのカーネギーホールで大きなコンサートを開催します。ストーンウォール50周年を記念する特別な楽曲を披露するようです。ニューヨークに行ったからにはカーネギーホールに入ってみたい!という方なども、ぜひ。
 
Quiet No More:  A Choral Celebration of Stonewall
June 27[Thu] 20:00–
@Carnegie Hall

◎ミュージカル「The Cher Show」
 ニューヨークといえばブロードウェイ。この時期、アラジンとかアナ雪とかいろんなミュージカルを観ることができますが、たぶん最もゲイテイストなミュージカルがこれ、『シェール・ショー』です。「物語の主人公はシェール。盛りだくさんのシェールを詰め込むために、同じ主人公に3名の女優が起用された。初めは子ども時代、そして魅力的なポップスター、さらに憧れの対象。『シェール・ショー』には35曲が含まれ、60年にわたるスターの座、2人のロックスターの夫、グラミー、オスカー、エミー、そしてニューヨークでスパンコール不足を引き起こしたガウンの数々が、観る者を圧倒的に魅了するミュージカル」。もちろん本人は登場しませんが、シェール似の女優さんがド派手な衣装で、セクシーな男性ダンサーを従えてシェールの名曲(「Believe」とか)を歌ったりするようです。
 
The Cher Show
@Neil Simon Theatre

◎ゲイ・アーティストの展覧会
 ROSS WATSONという方のスポーツ・ユニフォームをテーマとした作品の展覧会が開催されるそうです。もちろん入場無料です。昼間チェルシーに行く用事がある方は、ふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ROSS WATSON - HOMINUS UNIFORMIS
June 17[Mon]-30[Sun] 10:00-18:00, Sunday12:00-18:00
@Rogue Space

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