g-lad xx

VIDEO

Arcade Fire ”We Exist”

カナダのオルタナ・バンド「アーケイド・ファイア」の新曲「We Exist」は、フロントマンがジャマイカで迫害を受けるゲイの子どもたちにインスパイアされて書いた歌。そのPVには『アメイジング・スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールドがトランスジェンダーの役で出演しています。

Arcade Fire ”We Exist”

 カナダのモントリオールを拠点に活躍するオルタナ・バンド「アーケイド・ファイア」(グラミー賞に2度ノミネート。来日も何度か果たしています)の新作PV「We Exist」に、あの『アメイジング・スパイダーマン』シリーズに主演する人気俳優アンドリュー・ガーフィールドが、トランスジェンダーの役で出演しています。
 
 田舎町に住んでいるトランスジェンダーの主人公(アンドリュー・ガーフィールド)が、バリカンで髪の毛を刈り、ブラを着け、メイクをして、ブロンドのウィッグをかぶります。女装姿で外に出かけたアンドリューは、街のパブへ入るも、男性客たちにからまれ、突き飛ばされ、床に倒れます…そこで突然、アンドリューと同じ恰好をした(ヒールを履いた)4人の男たちが現れ、励ますようにダンスを始めます。いっしょになって踊るアンドリュー。やがて彼らがバーのドアを開けると、そこはアーケイド・ファイアのライブ会場。白いワンピース姿となったアンドリューはステージに上がり、観客たちの喝采を浴び…。

 アーケイド・ファイアのフロントマン、ウィン・バトラーによると、この「We Exist」は、ゲイであることを父親に打ち明けようとしている息子の歌です。ウィン・バトラーがジャマイカで出会った、迫害されるゲイの少年たちからインスピレーションを受けて書かれたそうです。
 
 ジェンダーアイデンティティを模索してもがく主人公を描くというバンドからのアイデアを元に、2013年11月から脚本が書かれました。
 このPVの主人公を、実際のトランスジェンダーではなくアンドリュー・ガーフィールドが演じることになったのは、PVに込めたメッセージが、より多くの人に伝わるようにという理由だそうです。「一度インターネット上で話題になれば、人々に強烈に伝わっていきます。僕が考えるに、ジャマイカのゲイの少年にとってこの役をスパイダーマンの俳優が演じているというのは、大きな衝撃になると思うんです。このビデオには、たくさんの思慮と愛を込めました」とウィン・バトラーは語っています。
 映像監督のデヴィッド・ウィルソン(オープンリー・ゲイの方だそうです)は、「アンドリューとの電話で、彼のこの作品への傾倒と情熱がとてつもなく強いと知りました。著名な俳優がミュージックビデオにここまでの気持ちを持ってくれるのは非常に特別なことで、とても有意義でした」
 この役を演じるにあたり、ガーフィールドはトランスジェンダーのアーティストOur Lady Jからコーチングを受け、撮影に臨んだそうです。ラストシーンは2014年4月、実際のバンドのライブで撮影されました。

 デヴィッド・ウィルソン監督によると、倒れたアンドリューを励まし、共に踊る4人のダンサーは「LGBTコミュニティの象徴」なんだそうです。彼らに導かれて、アンドリューは人々が自分を受け入れてくれる場所へと辿り着くのです。「カミングアウトをした時、ずっと一人で抱えていたことを共有できる人々とのつながりを見出して、家族の一員になれたような気持ちを感じます。しかも、とても大勢の中で。そんな美しいことが、カミングアウトによって起こります。ありのままの彼女を受け入れてくれるたくさんの人がいるのです」 


INDEX

SCHEDULE

    記事はありません。