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St.Vincent "Fast Slow Disco"

セイント・ヴィンセントがNYプライドの直前、NYのゲイクラブをイメージした裸だらけのMVを発表し、話題を呼んでいます。

St.Vincent

 「ポップとアバンギャルドを自由に懐柔する21世紀ロックの女王」とも称されるセイント・ヴィンセント。2015年度のグラミー賞では「最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム」を受賞、多方面から高く評価されているアーティストです。
 才能きらめく楽曲や、アーティスティックなMVも印象的ですが、2015年にカーラ・デルヴィーニュとの交際を明らかにし、2016年にはクリステン・スチュワートとの交際&破局したことでも知られています。自らのセクシュアリティについては「セクシュアル・フルイディティ(好きになる相手の性別が水のように流動的で定まらずに、その時々の相手によって変わること)」と述べています。「ストレートとかゲイって言葉については考えない。あなただって誰とでも恋に落ちることができる」
 最近は、ウェディング・ソングを同性婚向けに歌い直すコンピレーションに参加しています。
 そして今、NYプライドの直前のこの時期に、(かつての)NYアンダーグラウンドのゲイクラブをイメージした「Fast Slow Disco」のMVを発表し、「セイント・ヴィンセントがプライド月間に合わせて、素敵なことをやってくれた」と歓迎されています(日本では、セイント・ヴィンセントの新作MVが出たよ、とだけ紹介され、内容に関しては完全スルーです…ダメダメですね)
 
 「Fast Slow Disco」は最新アルバム『マスセダクション』の収録曲「Slow Disco」をリワークした音源で、冒頭はマドンナの「Vogue」で、Aメロ以降はカイリーの「All The Lovers」を彷彿させるような、80年代ハウス的なアプローチの、これからゲイナイトでもかかりそうな楽曲になっています。
 
 そんな「Fast Slow Disco」のMVですが、ちょっとビックリするくらい、ゲイナイト(しかもベアー系)です。マッチョ、がちむち、ぽっちゃりで、ヒゲだったり胸毛が生えてたりする男たちが(本物のゲイの方たちだと思います)、ハーネスなど、正統派のゲイ・レザー・シーンのスタイルで、要は裸で、汗だくになりながらフロアで踊っている、その「肉の海」の中で、セイント・ヴィンセントも汗だくで歌ったり踊ったりするという映像になっています。そこにセイント・ヴィンセントがいなければ完全にゲイナイトなのです。ここまでの濃度でゲイクラブをフィーチャーしたMVは初めてではないでしょうか。
 これまでこうしたPV(MV)に登場するゲイといえば、ダンサーの方だったり、若くて美しい男の子だったり、ということがほとんどでした。リアルなベアー系&レザー系のゲイが大挙してメジャーなアーティストのMVに登場するということも、おそらく初めてで、そういう意味でも画期的だと言えます。


 

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