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レポート:さっぽろレインボープライド2020
全国のパレードが中止になったりオンライン開催になったりしているなか、「パレードの灯を絶やさない」「孤立しがちな当事者に独りじゃないと伝えたい」との思いで、徹底した感染症対策の下で開催された「さっぽろレインボープライド2020」。VENさんがレポートしてくれました。
2020年、新型コロナウイルスの影響で、様々なイベントが延期や中止になっています。レインボーイベントも例外ではありません。4月以降、オンライン開催に切り替えての実施、延期、中止を余儀なくされています。そんななか、実行委員会の方々が「パレードの灯を絶やさない」「孤立しがちな当事者に独りじゃないと伝えたい」との思いで、何とかリアルな開催ができないかと何度も話し合いを重ね、ギリギリまで試行錯誤し、今できる最善のことを考えて、さっぽろレインボープライドが9月12日(土)に開催されました。
名称や組織は変わりながらも、1996年に始まった札幌でのパレードは、今年で通算20回目を迎えました。
そんなさっぽろレインボープライド2020を、第10回レインボーマーチ札幌の時に皆勤賞で表彰され、全20回のうち18回も参加している(2017年・2018年は地元東海地方の「みえレインボーパレードin津まつり」と同日だったため、そちらに参加した)VENさんが、レポートしてくれました(ちなみにVENさんがこれまでに参加した全国のパレードの数は、今年のオンライン版も含め、105回に上るそう。おそらく日本一のパレードファンと言ってよいのではないでしょうか)
さっぽろレインボープライド2020 レポート
前日の夜は雨がパラパラしていましたが、パレード当日は、曇り空ながらも、雨は上がりました。レインボーパレードでは雨の降る確率が低いというジンクス通りになりました。さすがです。
会場では、地面にソーシャルディスタンスを保つための表示がされていたり、ステージ前にも間隔をあける目印がありました。
ブースも間隔をあけて設置されていました。公式グッズのブースでは、様々なグッズが販売されていました。今年は、オンライン配信もあって、配信ブースもありました。20回のパレードの歴史を見ることができるパネル展のブースもありました。
11時30分、ステージイベントが始まりました。MCは、ケンタさんと中村笑野さん(STVラジオ「Knock on the Rainbow」のパーソナリティのお二人)。息の合った掛け合いでした。
休憩のあと、ドラァグクイーンのダミアンさんがMCとして登場。中村さんと一緒にステージを進行しました。
そして、様々な政党から、道外からも駆けつけていただいた議員の方々がスピーチ。参加できなかった議員の方々からはメッセージも届いていました。北海道知事、札幌市長からもメッセージが届いていました。今年はガイドブックに北海道内の全ての市の市長さんや道知事からのメッセージが掲載されました。素晴らしいですね。
みなさんお待ちかねの、ドラァグクイーンのショータイム。パルプさん、プラレー・ル・富華さん、こじまよくとさんがドリカムや倖田來未などの曲で盛り上げてくれました。豪華なステージでした。
その後、MCのケンタさんも加わり、4名でミニトーク。みなさん素敵なトークで楽しませてくれました。
パレード出発時間も近づき、ステージでは各フロートの紹介が始まり、参加者が整列を始めました。今年は事前登録制で、各フロートの定員が100名に制限されています。整列もソーシャルディスタンスを考慮して、1フロートずつ、2列で前後左右の間隔を開けての整列でした。原則この形を保ちながらパレードを歩くようにアナウンスされました。
14:45、いよいよパレードが出発!
4つのフロートが、それぞれの思いを込めて札幌の街を歩きました。
1つ目は「ひぐま」フロート。先導車からは様々なメッセージが読み上げられ、その後には政治家のみなさんや、一般参加のみなさんが歩いていました。1996年の第1回のパレードの実行委員だった鈴木ケンさん、「許される差別はない」というプラカードを持った畑野とまとさんも歩いていました。
2つ目は「エゾシカフロート」。豪華なドラァグクイーンやパフォーマーの方々がフロートの上からマイクパフォーマンス、ノリノリの音楽。その後ろを、実行委員長、副委員長の3人が横断幕を持って歩きます。このフロートには、通算20回のうち19回参加のリキヤさん(from東京)や「BLACK TRANS LIVES MATTER」のプラカードを持った参加者も見られました。
3つ目は「たんちょう」フロート。こちらも先頭ではドラァグクイーンの方々や、パフォーマーの方々が盛り上げています。その後ろを、様々な団体や企業の方々が続きます。弁護士のみなさんや、ドンキホーテのみなさんも歩いていました。
4つ目は「エゾリスフロート」。こちらは撮影禁止フロート。それぞれの事情で、顔は出せないけど、みなさん力強く手をふりながら歩いていました。
パレード終了後は、テレビ塔前でプライド集会が行われました。
トークショーでは、道議会議員の渕上綾子さんの「パートナーシップ制度を全道に拡げたい」「GIDの治療の拡充」など心強いメッセージが響きました。
「NPO法人L-Port」「虹の集い(北海道大学公認サークル)」「にじいろほっかいどう」「MARRIAGE FOR ALL JAPAN」など、地元で活動する団体やグループの紹介が続きました。「MARRIAGE FOR ALL JAPAN(結婚の自由をすべての人に)」の札幌地裁の判決は来年2月か3月に出るそうです。元札幌市長の上田文雄さんも原告団のお一人です。感動的なスピーチも聞くことができました。
プライド集会もクライマックス。実行委員長、副委員長の挨拶、実行委員の紹介があり、参加者の発表。339名の参加者でした。規模は小さくなりましたが、コロナ禍の下での最善の努力が、この結果につながったと思います。
フィナーレはバルーンリリース。それぞれの思いをのせてレインボーカラーの風船が空へと上がっていきました。
さっぽろレインボープライド2020を振り返って
正直、今年はコロナ禍なので、延期や中止も仕方ないと思っていましたが、「パレードの灯を絶やさない」と言う実行委員会の強い思いから、開催に至り、本当に良かったと思いました。
パレードがスタートし、歩き出した時、何とも言えない気持ちになり、こみあげるものがありました。
札幌のパレードにとって、今年は通算20回目という記念すべき回にあたります。おめでとうございます。
1996年の第1回のときから札幌のパレードに参加してきましたが、最初の頃は、活動家の人やドラァグクイーンの方々が参加者の中心というイメージでしたが、年々いろんな層の参加者が増えていき、『バディ』や地元のゲイバーがフロートを出してくれたりして、年々大きくなっていった印象です。だんだん、若い層の参加も増えてきましたね。
地方都市で初めてパレードを開催したのも札幌ですし、市長さんが初めて挨拶に来てくれたのも札幌、コロナ禍のなかでも開催の道を切り開いてくれたのも札幌です。札幌のコミュニティのパワー、そして札幌という街の社会運動の根強さを感じています。
今回の開催は、各地のレインボー団体にも勇気を与えたと思います。名古屋でNLGR+を開催している方も、視察に来ていましたよ。
開催にあたり、実行委員会の方々、本当に大変だったと思います。
素敵なパレードをありがとうございました!
(写真提供: VEN、OUT JAPAN(※印))
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