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特集:2021年初夏のアート展

天気もよく、新緑が美しい季節、どこかにお出かけしたい…でも、カラオケや会食は控えたい…そんなとき、密を避けて静かに楽しめるアート展は、ちょっとしたお出かけに最適かもしれません。4月〜6月に開催されるゲイテイストなアート展をまとめてご紹介いたします。

特集:2021年初夏のアート展

(トップ画像はmoriuo「インマイライフ」より)

今年は注目すべきアート展が多数、開催されています。4月以降も引き続き、ゲイテイストなアート展がいろいろ開催されそうです。マスク着用で、距離をとって、静かに鑑賞するぶんにはきっと安心して楽しめるはず。こんな息苦しい時こそ、心に栄養を!ということで、休日の昼間にでも、ちょっとお出かけしてみてはいかがでしょうか。いまわかっている個展の情報をまとめてお伝えいたします。(新たな情報が入り次第、順次追加していきます)
(最終更新日 2021.6.15)


 
4/1〜4/18 東京
Taka Nomura 個展

 東京在住のゲイ・アーティスト、Taka Nomuraさん。フランシス・ベーコンを思わせる作風は、「社会に虐待され、平等を求めて闘う人々を描いている」のだそう。aktaで開催される今回の個展「Shocking Pink Discrimination」では、かつて罪人を捉えるためであった「拘束」をレザーや縄などのプレイとして使用されるアイテムとして表し、苦しみながらも強く生きるマイノリティアの姿をモチーフとしています。マイノリティを認めない社会をアイロニックに、またそれをものともせず強く生きるクィアたちの姿をユーモラスに描きます。

Taka Nomura 個展
会期:2021年4月1日(木)〜4月18日(日)
会場:コミュニティセンターakta
開館時間:木金土18:00-22:00、日祝15:00-20:00
休館日:月・火・水曜
※現在、開館時間等が流動的になっているため、事前にご確認ください
※館内の新型コロナ感染予防対策にご協力お願いします





4/10〜5/9 東京
YAGUY SHINGO EXHIBITION

 ゲイテイストでセクシーな作品を描き続けているアーティストのYAGUY SHINGOさん。インスタグラムでも日々、素敵な作品をアップして目を楽しませてくれています。これまでもカフェなどで個展を開いてこられましたが、このたび、蔵前のギャラリーで本格的にゲイテイストな作品の個展が開催されることになりました。ぜひご覧ください。
 
YAGUY SHINGO EXHIBITION
会期:2021年4月10日(土)〜5月9日(日)12:00-18:00
※土日祝のみ営業
会場:ギャラリーYOYO(台東区蔵前4-14-11ウグイスビル307)





4/20〜6/13 東京 →緊急事態宣言に伴う臨時休館により、閉幕
フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによるる


 20世紀で最も重要な画家の一人であり、ゲイのアーティストとしても知られるフランシス・ベーコン。その貴重な展覧会が、神奈川県立近代美術館に続き、渋谷の松濤美術館でも開催されることになりました。この展覧会は、生前のベーコンと深い交流のあったバリー・ジュールのコレクションで構成されるもので、日本初公開となる作品や資料を含め、シュールレアリスムの油彩画から「教皇」シリーズ、ドローイング、晩年の自画像なども展示されます。写真や書籍に色をつけたり線を描いたりした作品や、これまであまり観たことのないモチーフの作品もあり、ベーコンの新たな一面を垣間見ることができそうです。
 
フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる
―リース・ミューズ7番地、アトリエからのドローイング、ドキュメント―
会期:2021年4月20日(火)~6月13日(日)
会場:渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は17:30まで
休館日:月(ただし、5月3日は開館)、5月6日(木)
料金:一般1000(800)円、大学生800(640)円、高校生・60歳以上500(400)円、小中学生100(80)円 ※( )内は渋谷区民の入館料 ※毎週金曜日は渋谷区民無料 ※障がい者及び付添の方1名は無料






5/1〜5/3 東京
moriuo インマイライフ展

 『バディ』誌などで活躍してきたゲイのイラストレーター、moriuoさんの個展です。moriuoさんはゲイカップルの日常を優しいタッチで描く作風で、本当に素敵です。今回新宿ダイアログ3Fで開催される個展は、少しストーリー仕立てになったイラストの連作や、アパレルブランドとのコラボ作品、プライドハウス東京の冊子に提供した挿し絵など、バラエティ豊かに楽しい展示会になる模様です。
「これまで過ごした思い出やこれからの未来。幸せな時間や孤独に苛まれた時間。人生は楽しいことばかりじゃないけど、どんな時も心に小さい希望が灯るように…。そんな思いで描いたイラストたちの展示です」

moriuo インマイライフ展
会期:2021年5月1日(土)〜3日(祝)11:00-18:00(※時短となりました)
会場:新宿ダイアログ3F
(新宿ダイアログは2Fがカフェ&バー、3Fが展示やイベントのスペースになっています。階段で3Fに直接上がれますが、よろしければ2Fで何かご注文ください。17時までカフェタイム、17時以降バータイムで、フードもあります。売上の5%がSDGs関連の寄付になります)




5月22日〜7月10日
松山智一「Boom Bye Bye Pain」

 伝統的な大和絵の構図や花鳥風月を引用しつつもポップアート的な色面構成のパターンを組み合わせる作風で注目を集め、NYの有名な(キース・ヘリングやバンクシーも描いた)バワリー・ミューラルの壁画を手がけたり、JR新宿駅東口駅前に大型パブリック・アートを製作するなど国内外で活躍している松山智一さんの個展が開催されています。
 この展覧会のタイトル「Boom Bye Bye Pain」は、1992年にリリースされヒットしたBuju Bantanのポップレゲエソング「Boom ByeBye」と「Pain」という2曲のタイトルを松山さんが融合したもの。銃撃音を表す「Boom」と、そこから連想される「Bye Bye」を掛け合わせたブラックミュージック特有のスラングは、アフリカ系アメリカ人たちがゲイに発した差別的なメッセージという意味も孕んでおり、発表当時は物議を醸しました。巨大都市に生きるマイノリティが自己肯定のために別のマイノリティを否定するという構造は、松山さん自身が人種差別を受けながらアメリカ社会でアーティストとして活動する中でも逃れることのできないものでした。
 本展を代表する作品『Spiracles No Surprises』は、カラフルな色彩や装飾とともに馬に乗る2人の人物を描いていて、1人が旗を持ち、もう1人が行く先を示すというもので、ゲイの男の子たちの未来や希望を描いた作品として観ることができます(『River To The Bank』という作品も、2人の男の子が描かれています。こちらからご覧いただけます)
 松山さん自身はゲイではありませんが、間違いなくゲイに対するエールが込められていますし、きっとその作風に魅了されることと思います。

松山智一「Boom Bye Bye Pain」
会期:5月22日-7月10日
会場:KOTARO NUKAGA(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F)
アクセス:東京メトロ日比谷線、都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3番出口より徒歩約3分
開廊時間:11:00−18:00 (火-土)
定休:日月祝
※国や自治体の要請等により、日程や内容が変更になる可能性があります
※感染症拡大防止のため、会場の混雑状況により入場を制限させていただく場合がございます。ご理解・ご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします





6月1日〜6月20日
居場所はどこにある?

 東京藝術大学大学美術館陳列館で、コロナ禍によって浮き彫りになった、誰もが切望する安全な居場所の存在に改めて注目し、その問題と可能性について探る展覧会「居場所はどこにある?」が開催されます。1Fでは様々なアイデンティティの人々の映像作品が展示されますが、そのなかに磯村暖さんの『How to Dance Forever (Dance Lesson #1 VOGUEING)  』があります(上の画像がその1シーンです)。アメリカにもともと住んでいたネイティヴ・アメリカンのコミュニティには男性/女性に当てはまらない(のちに学者が「Two-Spirit」と英語でラベリングした)人たちが当たり前に存在していて、語部として歴史を繋げていったり、シャーマン的な役割を担っていましたが、植民地支配が始まってからソドム的な存在として弾圧され、集中的に殺されていきました。本来はリスペクトされる存在だったのに、その人たちがいると迫害対象になるというので追いやったり、支配者側に告げ口するということが起こり、コミュニティ内でも弾圧され…その影響が現在のネイティヴ・アメリカンの末裔たちのコミュニティにも残ってしまっていて…ということを、当事者(ネイティヴ・アメリカンのノンバイナリー)であり、ドラァグクイーンとしても活動している方が語る映像作品です(詳細はNEOLの記事「街とアート特集:磯村 暖「自分を含めて周りの人が、安心して居られて、安心して発言でき、安心して拒否できるコミュニティや環境を作っていく」/Interview with Dan Isomura」をご覧ください)。この作品を観るだけでも価値があると思います。もちろん、コロナ禍によって浮き彫りになった「誰もが切望する安全な居場所」というこの展覧会の趣旨は、コロナ禍でのLGBTQコミュニティにも共通する切実なテーマでもありますので、展覧会自体が、きっと様々なインスピレーションを与えてくれる、有意義なものだと思います。
 
Where is a place for us? 居場所はどこにある?
会期:2021年6月1日(火)ー6月20日(日) ※月曜休館
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館(東京都台東区 上野公園12-8 東京藝術大学)
開館時間:10:00-17:00
アーティスト:磯村暖、UGO、岡田裕子、小林勇輝、竹村京&鬼頭健吾、中谷優希、松田修、MOM+I、室井悠輔、リー・ムユン
キュレーター:荒木夏実(東京藝術大学美術学部准教授)
主催:「居場所はどこにある?」実行委員会
助成:東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト2021





6月14日〜21日 オンライン展覧会
増塩太朗[ Rumor Has It ]
 
 歴史や記憶や保存について考える作品や活動を見つめるノーマルスクリーンが、ニューヨークで活躍するアーティストの増塩太朗さんの香港での展覧会「Rumor Has It」を再構成してWeb上で公開します。増塩さんは、日本で出会った写真のアーカイヴを発端にした作品を精力的に制作し、真っ黒の壁/ギャラリーのなかで浮かび上がるように展示されました。今回、その中からノーマルスクリーンのために再構成してくれた作品をWeb上でで展示。さらに、Peatixで登録した方に、映像作品2点とトークイベントも配信します。この映像作品2点は、日本で得たヴィンテージのホモエロチカのフィルムを自身のスタジオで投影し、それを撮影した作品と、日本でホモエロティックな写真を撮影した初期の写真家の一人「大阪のおっちゃん」こと円谷順一さんの生きた街を増塩さんが訪れ撮影した作品です(増塩さんは円谷さんのアーカイヴ写真を再撮影した写真を一枚ごとに詳細に黒鉛でなぞり、ドローイング化するというシリーズ作品を制作しています)

増塩太朗[ Rumor Has It ]
会期:6月14日〜21日
主催:ノーマルスクリーン
協力:Empty Gallery
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
写真:増塩太朗|Empty Gallery






7月16日~21日
MALE ART 2021 男のフェチズム展⁠

 男性をモチーフに絵を描くメンバー4名のグループ展です。日本画、油彩、水彩、アーティストそれぞれがそれぞれの方法で表現する男のフェチズム。ぜひ個性的な絵から、フェチズムを感じ取ってください。ホットなガイがあなたの心を温めます。

MALE ART 2021 男のフェチズム展⁠
会期:2021年7月16日(金)~21日(水)
会場:新宿眼科画廊スペースM
開廊時間:12:00-20:00(水曜日は17:00まで)
※木曜日休廊
出展作家:成瀬ノンノウ、Shinji Horimura、FUM、TORAJIRO

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