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今年の7月は傑作揃い! 過去最高級のLGBTQ映画豊作月間です

この7月、たくさんの良質なLGBTQ映画が公開されます。過去最高クラスの濃密さ。しかも映画祭も開催されるので、大忙しな1ヵ月になりそうです。

今年の7月は傑作揃い! 過去最高級のLGBTQ映画豊作月間です
(『スーパーノヴァ』より)

今年7月に公開されるLGBTQ映画がスゴいです。1ヵ月の間にこんなにたくさん一気に上映されるなんて…しかも、傑作の予感しかない、絶対に観なくちゃと思うような作品ばかり。過去最高クラスの濃密さと言っても過言ではありません。しかも映画祭も開催されるので、本当に大忙しな1ヵ月になりそう。6月はプライド月間でしたが、今年の7月はLGBTQ映画豊作月間と言えるでしょう。とはいえ(LGBTQ映画の常として)DVD化やサブスク配信はそんなに期待できないかもしれません…ので、ぜひ劇場へ!

 

7月1日公開
スーパーノヴァ

 コリン・ファースとスタンリー・トゥッチがゲイカップル役を演じ、20年の歳月をともにしてきた二人が思いがけず早く訪れた最後の時間に向き合う姿を、イギリスの湖水地方の美しい風景とともに描いたヒューマンドラマです。無口で不器用ながらも熱い情熱を胸に秘めたピアニストのサムを、『アナザー・カントリー』で鮮烈なデビューを飾り(舞台版『アナザー・カントリー』では主人公のゲイの青年を演じていました)、『シングルマン』や『マンマ・ミーア!』でゲイ役を演じてきたコリン・ファースが、人をひきつける才能を持ち周囲に笑顔をもたらす作家のタスカーを演じるのは、『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープの右腕のゲイを、『バーレスク』でショーの舞台監督を務めていたゲイの役を演じていたスタンリー・トゥッチです。タイトルの「スーパーノヴァ」のように、二人の愛のエンディングのきらめきが、観るもの全てに降り注ぎ、生きて、笑い、愛し合うことの素晴らしさを祝福する新たなる傑作、と称されています。 
 
<あらすじ>
ピアニストのサムと作家のタスカーは互いを思い合う20年来のパートナーで、ともにユーモアや文化を愛し、家族や友人にも恵まれ、幸せな人生を歩んできた。ところが、タスカーが不治の病に侵されていることがわかり、2人で歩む人生は思いがけず早い終幕を迎えることとなる。最後の最後までともに生きることを願うサムと、愛しているからこそ終わりを望むタスカー。それぞれが相手を思う2人は、ある決断をするが……。

スーパーノヴァ
原題:Supernova
2020年/英国/95分/監督:ハリー・マックイーン/出演:コリン・ファース、スタンリー・トゥッチほか




7月2日公開
デュー あの時の君とボク

 イ・ビョンホン主演の韓国映画『バンジージャンプする』をリメイクしたタイのBL映画です。オリジナルの韓国映画に切なくも温かいタイ風エッセンスを盛り込み、純度の高い青春BL作品へと昇華させました。チェンマイをはじめとするタイのノスタルジックな風景のなか、過去と現在が交錯する濃密なストーリーが展開します。前半は、同性の転校生に惹かれながらも周囲の目を気にして素直になれない男子高校生の切ない恋心をリアルに描写、後半では舞台を現代に移し、結婚して教師として母校に戻ってきたポップが、教え子の女子高生リューになぜか強く惹かれ、禁断の関係から衝撃のラストへと向かっていく…とのことです。

<あらすじ>
ある田舎町の高校生ポップは、転校生のデューと道端で出会う。友情を育みながらお互いに惹かれ合っていくが、保守的な彼らの町や学校ではLGBTに対する理解は少なく、素直に愛情を表現することができずにいた。「一緒にバンジージャンプしよう!」という目標に向かって過ごしていたある日、二人の関係を変えてしまう出来事が起こる。やがて22年の時が経ち、結婚し教師として母校に戻ってきたポップは、何故か彼の教え子である女子高生リューと無性に惹かれ合い…。

デュー あの時の君とボク
原題:Dew
2019年/123分/タイ/監督:チューキアット・サックビーラクル/出演:パワット・チットサワンディ、スコラワット・カナロス 
7月2日よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開





7月9日公開
シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち

 昨年、フランスに実在するゲイの水球チームを描き、大ヒットを記録した映画『シャイニー・シュリンプス!』が公開されるというニュースを「セーラームーン」コスプレの場面写真とともにお伝えしましたが、緊急事態宣言で映画館がクローズしていた関係で公開が見送られてしまっていました…が、ようやくこの7月から公開されることになりました。この作品は実際に「シャイニー・シュリンプス」のメンバーでもあるセドリック・ル・ギャロ監督の体験に着想を得て製作されたものです。「昔はゲイの友人が一人もいなかった」と話すギャロ監督は、それぞれが悩みを抱えながらも、お互いをありのままに受け入れるチームとの出会いが「人生が変わるほどの経験」だったと語っています(詳しくはこちら)。ゲイゲームズの雰囲気なども伝わる、笑えて泣けるゲイ映画、待望の公開です!
 
<あらすじ>
同性愛者への心ない発言の罰として、元水泳選手でオリンピック銀メダリストのマチアスが、ゲイのアマチュア水球チーム「シャイニー・シュリンプス」のコーチに就任する。マチアスに課されたミッションは、この弱小チームを3ヵ月後にクロアチアで開催されるゲイゲームズに出場させること。しかし、「シャイニー・シュリンプス」はパーティが大好きで、試合の勝ち負けにはこだわらないお調子者の集団。練習する気もなく、はしゃいで⽔着を脱ぎ捨てて投げつけたりする始末…。いつもポジティブでハッピーオーラ全開の彼らとは反対に、終始しかめっ⾯のマチアス。まともに練習しないメンバーにイライラし、適当にコーチをやり過ごそうとしていたものの、⾃⾝をチームに招き⼊れたリーダーのジャンが病気を隠し、余命わずかな時間を仲間と⼀緒に楽しみたいと望んでいることを知ってしまい……。

シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち
原題:Les crevettes pailletees
2019年/フランス/103分/監督:セドリック・ル・ギャロ マキシム・ゴバール/出演:ニコラ・ゴブ、アルバン・ルノワール、ミカエル・アビブル、デビット・バイオットほか
7月9日から東京のヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開





7月10日公開
片袖の魚

 自分を不完全な存在だと思い込み、自信を持てないまま社会生活を送るひとりのトランス女性が、新たな一歩を踏み出そうとする――そんなささやかな瞬間の物語を、文月悠光さんの詩を原案として、国内外の映画祭で高い評価を得ている東海林毅監督が映像化しました。主演は「パンテーン PRO-V ミセラーシリーズ」のCMやオンワードの「IIQUAL」メインビジュアルを務めるなど、多方面で活躍を見せているイシヅカユウさんです。監督の東海林毅さんは、「トランスジェンダー役はトランスジェンダー当事者の俳優に」との思いで、トランス女性俳優を公募し、イシヅカユウさんのキャスティングを決めました。主演も監督もクィア(性的マイノリティ)であるという意義もさることながら、イシヅカユウさんの魅力が光る、カッコよくもあり、等身大でもある、とても素敵な映画になっています。
 
<あらすじ>
トランスジェンダー女性の新谷ひかりは、ときに周囲の人々との間に言いようのない壁を感じながらも、友人で同じくトランス女性の千秋をはじめ、上司である中山や同僚の辻などの理解者に恵まれ、会社員として働きながら東京で一人暮らしをしている。ある日、出張で故郷の街へ出向くことが決まる。ふとよぎる過去の記憶。ひかりは、高校時代に同級生だった久田敬に、いまの自分の姿を見てほしいと考え、勇気をふりしぼって連絡をするのだが――

片袖の魚
2021年/日本/34分/監督:東海林毅/出演:イシヅカユウ、広畑りか、猪狩ともか、黒住尚生、原日出子ほか
新宿K's cinemaにて7月10日から公開。以降、順次全国公開予定




7月16日~7月29日 東京・大阪
第29回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)

 昨年はコロナ禍で中止を余儀なくされたレインボー・リール東京が、今年は帰ってきます! しかも東京・大阪で開催されます。
 詳細はもう少ししたら発表されると思いますので、また別にご紹介します。
 
第29回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)
会期・会場:
2021年7月16日(金)~7月22日(木・祝)@シネマート新宿
2021年7月23日(金・祝)~7月29日(木)@シネマート心斎橋
(各会場:計7日間 合計:14日間)
主催:NPO法人レインボー・リール東京
会場協力:株式会社エスピーオー
 




7月23日公開
親愛なる君へ

 第57回台湾アカデミー賞(金馬奨)で最優秀主演男優賞、最優秀助演女優賞を含む3部門を受賞した作品。世界的評価を受けた「一年之初(一年の初め)」「ヤンヤン」など、人と人のつながりや人生模様、アイデンティティを描くことに長けたチェン・ヨウチェが5年ぶりに監督を務めた作品。監督が緻密で繊細なストーリーラインで描いたのは「極限の愛」です。ミステリアスで重厚なサスペンス調の展開を匂わせつつ、徐々に真実が解き明かされていくと、温かな情感あふれる結末まで一気に導かれます。

<あらすじ>
老婦・シウユーの介護と、その孫のヨウユーの面倒を見る青年・ジエンイー。血のつながりもなく、ただの間借り人のはずのジエンイーがそこまで尽くすのは、2人が今は亡き同性パートナーの家族だからだ。彼が暮らした家で生活し、彼が愛した家族を愛することが、ジエンイーにとっては自分の人生のなかでパートナーが生き続ける唯一の方法。何よりの弔いになると感じていたから。しかしある日、シウユーが急死してしまう。病気の療養中だったとはいえ、その死因をめぐり、ジエンイーは周囲から不審の目で見られるように…。警察の捜査によって不利な証拠が次々に見つかり、終いには裁判にかけられてしまう。しかし弁解を一切せずに、なすがままに罪を受け入れようとするジエンイー。それは、愛する家族を守りたい一心で選択したことだった…。

親愛なる君へ
原題:親愛的房客 Dear Tenant
2020年/台湾/106分/監督:チェン・ヨウチェ/出演:モー・ズーイー、ヤオ・チュエンヤオ、チェン・シューファン、バイ・ルンインほか
7月23日から東京・シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開




7月30日
日常対話

 台湾の女性監督ホアン・フイチェンが自身に娘が誕生したことをきっかけに、ひとつ屋根の下で暮らしながら親子らしい会話のなかった母親と向き合う様を、自らカメラを回して記録した家族ドキュメンタリー。母の作る料理を食べること以外に何の接点もない、赤の他人のように暮らす母アヌと娘チェン。チェンは勇気を出して母との対話を決意する…。母本人のほか、親族、母のかつての恋人など、身近な人へのインタビューや対話を通じて、元夫から受けたDV、同性愛者であることの思い、社会からの抑圧など、母アヌの苦悩が浮き彫りとなっていきます。そして、チェン自身も過去と向き合い、心に秘めた思いを母に伝えます。第67回ベルリン国際映画祭でテディ賞(最優秀LGBTQ作品賞)に輝き、2017年アカデミー外国語映画賞の台湾代表作品にも選出された作品です。名匠侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督が製作総指揮を務めました。

日常対話
原題:日常対話 Small Talk
2016年/台湾/88分/監督:ホアン・フイチェン/出演:ホアン・フイチェンほか
7月31日から東京・ポレポレ東中野で公開

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