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U-NEXTで名作ゲイ映画を観よう!(2)

LGBTQ作品も意外と充実してるU-NEXT。2年経ってラインナップもだいぶ変わっているので、今観ることができる作品をまとめてご紹介します!

U-NEXTで名作ゲイ映画を観よう!(2)

(『WEEKEND』より)
 

 LGBTQの映画やドラマが充実してるサブスクといえば、何と言ってもネトフリ、次いでアマプラかと思いますが、『AND JUST LIKE THAT... セックス・アンド・ザ・シティ新章』を観るためにU-NEXTを利用しはじめたところ、「セクシャルマイノリティたちの生きざまを見つめる」というLGBTQ作品のカテゴリーがあったりして、結構たくさんの名作がラインナップされていることに気づきました(そういえば2年前にも「U-NEXTで名作ゲイ映画を観よう!」特集をお届けしてましたっけ…でも、そこから作品もだいぶ変わっています)。というわけで(マンボウも延長されてしまったことですし)おうち時間のお供ということで、U-NEXTで名作ゲイ映画を観よう!第2弾をお届けします。
(なお、U-NEXTは「31日間無料トライアル」がウリですが、気をつけないと希望通りの登録ができない場合があるようです…詳しくはこちら
(U-NEXTは月会費が高めなのですが、その代わり1200ポイントをもらえて、有料作品を観るのに使ったり、映画のチケットに交換できたりするというシステムになっています)


WEEKEND

 こんなにも等身大でリアルなゲイの週末の恋を描ききった映画ってほかにある?と思わせるような、ロマンティックで切なくて泣ける、美しい作品です。アンドリュー・ヘイ監督が2011年に自主製作映画として製作した長編デビュー作で、世界的な大ヒットや輝かしい受賞にはつながりませんでしたが、名作との評判が高まり、アンドリュー・ヘイはドラマ『Looking/ルッキング』を手がけることになりました。日本では2012年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映され、静かな感動を呼びましたが、一般公開されることも、DVD化されることもありませんでした(ので、配信で観られるのは本当にありがたいです)。なんとも言えない切なさと幸福を感じられる名作です。(レビューはこちら

<ストーリー>
金曜の夜、友人たちとのパーティのあと、ラッセルは一夜限りのパートナーを求めて立ち寄ったゲイバーでグレンと出会い、ともに朝を迎える。ラッセルは仕事(プールの監視員)に出かけるが、グレンは帰りを待っていて、再び二人は、親密な時間を過ごす。ラッセルは孤児院育ちで、その時の仲間と、今も強い絆で結ばれていて、今の生活に満足している。グレンはゲイを侮蔑したり抑圧したりする世のノンケたちに怒りを抱いていて、アートの力でそんな状況を変えていきたいと思っている。そんなことを語りながら、二人は次第に惹かれ合っていくが、グレンは特定のパートナーは持たない主義だと宣言する。しかも、日曜日にはアメリカに留学するために出発するという。二人がつきあうということはありえないのだろうか……。

WEEKEND ウィークエンド
2011年/イギリス/97分/監督:アンドリュー・ヘイ/出演:トム・カレン、クリス・ニューほか




BPM(Beats Per Minute)

 ミュージカルの『RENT』やドラマ『POSE』『It's A Sin』など、80年代〜90年代半ばのエイズ禍の時代のリアリティ――HIVに感染してしまったら遠からず自分は死ぬことになる(だから今日を精一杯生きる)――ということを切なく、感動的に描いた作品がいくつかありますが、そうした作品の中でも『BPM(Beats Per Minute)』は特別に迫るものがあります。胸が張り裂けそうになります。魂を鷲づかみにされます。人生観すら変わるかもしれません。明日も知れぬ命であるメンバーたちの葛藤、感染者を一人でも減らしたい、命を助けたいという情熱、いずれ死ぬことがわかっていながら愛しあう恋人たち…。生と死、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、仲間と共に強く、前向きに生きる若者たち。その生き様に胸を打たれること必至です。クラブで踊るシーンがこんなにも切なく、泣ける映画ってほかにないと思います。(レビューはこちら

<ストーリー>
1990年代のパリ。フランスでもたくさんの人々がエイズで亡くなっていたが、政府や製薬会社は現状から目を背け、何も対策をしないままだった。そんななかで立ち上げられた「ACT UP Paris」のメンバーは、自身もいつ死ぬかわからないという不安を抱えながら、HIV予防啓発やエイズ患者支援、そして時には政府や製薬会社への抗議を行ない、現状を変えようと奮闘していた。ナタンは陽性者ではないが、HIVについての問題意識から「ACT UP Paris」に参加することにした。ナタンは活動を通じてショーンと恋に落ちる。しかし、ショーンはエイズを発症しており……。

BPM(Beats Per Minute)
2017年/フランス/監督:ロバン・カンピヨ/出演:ナウエル・ペレ・ビスカヤー、アーノード・バロワ、アデル・エネルほか




パレードへようこそ

 舞台は1980年代のイギリス(まだゲイが「ヘンタイ」と罵られるような時代です)。ロンドンの都会っ子ゲイ&レズビアンと、ホモフォビアまるだしな荒くれ炭鉱夫たちとの間にまさかの「友情」が成立!という、奇跡のような、これが実話なの?とビックリするような物語。そして、セクシュアリティのこと、カミングアウトのこと、HIVのことなど、ゲイにとって大切なあらゆることが盛り込まれている、名作中の名作です。(レビューはこちら
 
<ストーリー>
1984年の英国。サッチャー政権によって20ヵ所もの炭坑の閉鎖が決まり、それに抗議する炭鉱夫のストライキは4ヵ月目に入ろうとしていた。ロンドンに暮らすゲイのマークは、そのニュースを見て彼らを支援しようと、ゲイ仲間たちと支援組織を立ち上げ募金活動を行なう。そして、集まった寄付金を送ろうと全国炭坑労働組合に連絡を取るも、ゲイというだけで門前払いをされてしまうのだった…。

パレードへようこそ
2014年/イギリス/監督:マシュー・ウォーカス/出演:ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン、ドミニク・ウェスト、パディ・コンシダイン、ジョージ・マッケイ、ジョセフ・ギルガン、アンドリュー・スコット、ベン・シュネッツァーほか 




キンキーブーツ

 英国の老舗紳士靴メーカーがドラァグクィーン用のブーツを製作して経営を立ち直らせたという実話に基づく映画。三浦春馬さんの舞台をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、もとはこの2005年の映画です。ローラ役を演じたキウェテル・イジョフォーはゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされました。ローラに敵対する首謀格のドンを演じているのが、熊系好きな方の間で人気の高いニック・フロストだったりします。

<ストーリー>
英国の田舎町ノーサンプトンの老舗靴工場「プライス&サン」の4代目として生まれたチャーリー・プライス。父親の意向に反してフィアンセと共にロンドンで生活する道を選んだ矢先、父親が急死し、工場を継ぐことになってしまう。工場を継いだチャーリーは、父の工場が実は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解雇しなければならず、思い悩む…。工場の若手従業員のローレンに「倒産を待つだけでなく、新しくニッチな市場を開発するべきだ」とハッパをかけられたチャーリーは、ロンドンで偶然出会ったドラァグクイーンのローラとの会話にヒントを得て、ドラァグクイーンのための“キンキーブーツ”を作ることにする。チャーリーはローラを説得して靴工場の専属デザイナーに迎え、試作を重ねる。ドンをはじめとする保守的な田舎の靴工場の従業員たちは、なかなかローラを受け入れられず、軋轢が生まれる。チャーリーはファッションの街・ミラノで行われる靴の見本市に“キンキーブーツ”を出展し、工場の命運を賭ける決心をするが…。

キンキーブーツ
2005年/英国/監督:ジュリアン・ジャロルド/出演:ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ、ジェミマ・ルーパー、リンダ・バセット、ニック・フロスト、ロバート・ピューほか




ムーンライト
 
 月明かりの下で青く光る愛のかけらは、本当に儚く、一瞬の夢のような出来事で…美しくも切ない男どうしの純粋な恋の物語であり、同時に、静かな怒りを感じさせる名作『ムーンライト』。あの『ブロークバック・マウンテン』も獲れなかったアカデミー作品賞を、ついに獲得した、記念碑的作品です。(レビューはこちら

<ストーリー>
マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校ではいじめられ、家庭では麻薬常習者の母親からネグレクトされていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の友達であるケヴィンだけだった。高校生になったシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが……

ムーンライト 
2016年/アメリカ/監督:バリー・ジェンキンス/製作総指揮:ブラッド・ピット/出演:トレヴァンテ・ローズ、アシュトン・サンダース、アレックス・R・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ、ジャハール・ジェロームほか




君の名前で僕を呼んで

 『モーリス』のジェームズ・アイボリーが脚本を執筆し、見事にアカデミー賞に輝いた『君の名前で僕を呼んで』。一見、『モーリス』や『アナザー・カントリー』のような美青年たちを主人公とした「お耽美」ゲイ映画の系譜に位置づけられるような作品、若いイケメンたちがバカンスで一夏の恋(アバンチュール)を楽しむセクシーな作品、というふうに見えるのですが(その通りなのですが)、それだけにとどまらない、ものすごく知的で、極めて芸術性の高い、奥の深い作品でした。もしかしたら男どうしの愛というものへの見方(概念)が変わるかもしれません。(レビューはこちら

<ストーリー>
1983年。17歳のエリオは今年も、両親とともに、北イタリアの避暑地にあるヴィラ(別荘)で夏休みを過ごしている。父親は大学教授で、古代ギリシャ・ローマの美術史を教えている。ヴィラには毎年、教授の教え子が1人、研究の手伝いを兼ねてやってくる。今年は容姿端麗なオリヴァーという大学院生だ。背が高く、快活で知的な好青年・オリヴァーに女性たちは夢中になる一方、エリオは「なんとなく横柄そう」とけなす。みんながバレーボールに興じているとき、オリヴァーはさりげなくエリオの体に触れる。ギターでバッハを弾いているエリオにアンコールをお願いし、エリオは同じ曲をピアノで弾いてみせる。二人は一緒に自転車で街に出かけ、買い物をしたり、プールで泳いだり、二人の時間を過ごすようになる。そして…

君の名前で僕を呼んで
2017年/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作/監督:ルカ・グァダニーノ/出演:アーミー・ハマー、ティモシー・シャラメ、マイケル・スタールバーグほか




チョコレートドーナツ

 2013年のGLAADメディア賞で最優秀作品賞に輝き、全米の映画賞で観客賞を総なめにした映画『チョコレートドーナツ』。誰もが天使のようなマルコの幸せを願い、社会の同性愛差別に憤りながら、あのゲイパパたちといっしょに暮らせるようになってほしいと涙ながらに思うことでしょう。本当にたくさんの方たちに愛されてきた作品。心の名作です。(レビューはこちら

<ストーリー>
1970年代、ウェストハリウッドのゲイクラブで毎夜ドラァグクイーンとしてショーを披露しているルディは、身なりのいい素敵な男性・ポールと出会い、夢のような一夜を過ごす。一方、隣室の騒音がひどくて眠れなかったルディは、隣室に独り取り残されたマルコを見て不憫に思い、部屋に連れて帰って寝かせる。マルコの母親は麻薬で逮捕・投獄されたと大家が言い、ほかに家族のいないマルコは役人に連れて行かれることに…ルディは「施設に入れられたらこの子はどうなるの?」と抗議するも、なすすべもなく…。ある夜、ルディはポールとのデートの帰り、マルコがとぼとぼ歩いているのを見つけ、放っておけず、家に連れて帰る。ルディとポールは、獄中の母親から仮の親権を与える書類へのサインをもらうことに成功し、二人でマルコを引き取って育てはじめるが…。

チョコレートドーナツ
2012年/アメリカ/監督:トラビス・ファイン/出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイバほか





フィリップ、きみを愛してる!
 
 ジム・キャリーとユアン・マクレガーがゲイカップルを演じたことで話題となった史上最驚の「純愛」映画です。とても実話だなんて信じられない、ジェットコースターのようなストーリー展開です。ジム・キャリー主演というだけあって、基本的にコメディタッチなのですが、せつなくて泣けるシーンもあります。特筆すべきは、ユアン・マクレガーの演技。これがあの『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービと同じ人物なの?と目を疑うような、見事な「オトメ系」っぷり。オネエではなく、おとなしくて優しい、ちょっとだけなよっとしてる、「こういう人いっぱいいる!」「自分そっくり!」と感嘆するような、自然でリアルなゲイっぽさ。北島マヤもビックリです。なかなか面白い映画なので、観たことがない方はこの機会にぜひ。

<ストーリー>
スティーブンはどこにでもいるマッチョで優秀な警官&父親。しかし、事故で死ぬほどの大ケガをした瞬間、「これからは好きなことをして生きてやる!」と叫び、妻と娘を捨てて、フロリダでゴージャスなゲイとして生きはじめる。「ゲイであることはとてもエクスペンシブ(お金がかかる)」で、貯金も尽きてしまったスティーブンは、天才的な頭脳を使って詐欺に手を染め、それがバレて投獄される。乱暴者ばかりが集まり、ケンカがたえない監獄の中で、HIVに感染した友達がまともな治療を受けられるよう、図書室で調べ物をしていたフィリップに、スティーブンはひとめぼれ。スティーブンは本気の恋に落ち、裏で手を回して彼と同室になることに成功し、ラブラブな時間を過ごす。先に出所したスティーブンは、弁護士のふりをして愛するフィリップを釈放させることに成功し、夢のような暮らしがはじまる。しかし、それも長くは続かなかった…。

フィリップ、きみを愛してる!
2009年/フランス/監督・脚本:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア/製作総指揮:リュック・ベッソン/出演:ジム・キャリー、ユアン・マクレガー、レスリー・マン、ロ ドリゴ・サントロほか




ある少年の告白

 コンバージョン・セラピー(転向療法)と呼ばれる同性愛"矯正"施設での"治療"の実態を暴き、『ニューヨーク・タイムズ』紙でベストセラーに選ばれるなど全米で大きな反響を呼んだ『Boy Erased: A Memoir』を映画化。著者のガラルド・コンリーの実体験に基づいた作品です。主人公を演じるのは『スリー・ビルボード』『レディ・バード』(偶然ですが、どちらもゲイが登場する映画です)などに出演してきた若手実力派俳優ルーカス・ヘッジズ。そしてラッセル・クロウとニコール・キッドマンがその両親を演じ、ほかにもグザヴィエ・ドランやトロイ・シヴァンといったカリスマ的なゲイの俳優も客演しています。(レビューはこちら

<ストーリー>
アメリカの田舎町で暮らす大学生のジャレッドは、牧師の父と母のひとり息子として何不自由なく育ってきた。そんなある日、彼はある出来事をきっかけに、自分がゲイであることに気づく。両親は息子の告白を受け止めきれず、同性愛を「治す」という転向療法への参加を勧めるが、ジャレッドがそこで目にした口外禁止のプログラム内容は驚くべきものだった。自身を偽って生きることを強いる施設に疑問と憤りを感じた彼は、ある行動を起こす……。

ある少年の告白
2018年/アメリカ/監督:ジョエル・エドガートン/ルーカス・ヘッジズ、ラッセル・クロウ、ニコール・キッドマン、ジョエル・エドガートン、ジョー・アルウィン、グザヴィエ・ドランほか




マイ・プライベート・アイダホ

 ゲイの監督ガス・ヴァン・サントが男娼のストリート・ボーイたちの群像を描いた、切なくも美しい、胸を熱く焦がす青春映画。あの『マトリックス』のキアヌ・リーブス、そして、伝説の俳優リヴァー・フェニックス(この映画でヴェネツィア国際映画祭の男優賞に輝きました。しかしその2年後、薬物の過剰摂取で亡くなり…。弟のホアキン・フェニックスが『ジョーカー』でオスカーを獲得した受賞スピーチで、リヴァーへの思いを捧げています)という美しすぎる二人の夢の競演。ゲイだけでなくBLファンからも熱い支持を得ている作品です。

<ストーリー>
緊張すると眠り込むナルコレプシーという病気を抱えながら、ポートランドの街角で体を売るストリートキッズ・マイク。そんな彼の親友スコットは、家を飛び出してきた市長の息子で、同じく男娼として暮らしていた。そんなある日、失踪した母を探すことを決意したマイクは、スコットを誘い、兄の暮らす故郷アイダホに向けてバイクで旅立つのだが…。

マイ・プライベート・アイダホ
1991年/米国/監督:ガス・ヴァン・サント/出演:リヴァー・フェニックス、キアヌ・リーブスほか




天空の結婚式

 イタリアのゲイカップルの結婚をめぐるドタバタを描いたコメディ作品です。あまり深く考えずに、気軽に観て笑って楽しんでください。熊系のアントニオがセクシーです。

<ストーリー>
ベルリンで俳優として活躍しているアントニオは、ある朝、愛するパオロにプロポーズ。結婚を決意した二人が直面する問題は、故郷に住む互いの親に了解を得ること。アントニオは復活祭にパオロや同居人を連れて故郷の村「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」へ帰省し、カミングアウト。母・アンナには受け入れてもらえたものの、村長を務める父・ロベルトは「冗談だろ?」と一笑に付し、猛反対。アンナは「結婚を認めないなら離婚よ」とタンカを切り、息子たちのために最高の結婚式を計画する…。

天空の結婚式
2018年/イタリア/90分/監督:アレッサンドロ・ジェノヴェージ/出演:ディエゴ・アバタントゥオーノ、モニカ・グェリトーレ、サルヴァトーレ・エスポジト、クリスティアーノ・カッカモほか



 
イヴ・サンローラン

 「フランスの国宝」とも言われる天才デザイナー、イヴ・サンローランの生涯を美しく描いた映画というイメージを見事に覆す、ゲイカップルの「ありのまま」を描ききった作品です。どんだけイヴが「ファッションオタク」のゲイで、デザイン以外のすべてをピエールに依存していたかっていう部分がことさらに強調されていて、浮気とか、ハッテンとか、誰が誰と寝たかといったところまで、すべてありのままに描かれているのがスゴいです。(レビューはこちら

<ストーリー>
1953年、パリ。亡きクリスチャン・ディオールの後継者として関心を向けられるファッションデザイナー、イヴ・サンローランは、デビューを兼ねた初コレクションを成功させ、21歳にしてファッション業界の天才としてあがめられる。そんなイヴとディナーで出会ったピエール・ベルジェは、その才能に惹かれると同時に恋をする。ベルジェは仕事でもプライベートでもパートナーとしてイヴを支え、彼の名を冠したブランドを一緒に立ち上げ、ファッションの世界に革命をもたらしていく…。

イヴ・サンローラン
2014年/フランス/監督:ジャリル・レスペール/出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ、シャルロット・ルボン、ローラ・スメット、マリー・ド・ビルパンほか




ダラス・バイヤーズクラブ

 エイズ禍の時代のアメリカでの実話です。根っからの女たらしでゲイ嫌いだった男が、HIV感染をきっかけに変わっていく、その生き様、変わっていく姿が胸を打つ作品でした。『マジック・マイク』では筋肉隆々のクラブオーナーを演じていたマシュー・マコノヒーが、21キロもの減量をして役作りに挑み、アカデミー賞で主演男優賞を受賞。トランス女性を演じたジャレッド・レトも助演男優賞を受賞しています。

<ストーリー>
1985年、テキサス州ダラス。酒と女に明け暮れるロンは体調を崩し、医者からHIV陽性で余命30日と宣告される。やがて生きるためにエイズについて猛勉強したロンは、アメリカでは認可された治療薬が少ないことを知り、有効な未承認薬を求めてメキシコへと向かう。そして、同じエイズ患者レイヨンの協力を得て、未承認薬を国内患者に届ける仕組み作りに乗り出すことに…。

ダラス・バイヤーズクラブ
2013年/アメリカ/監督:ジャン=マルク・バレ/出演:マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナーほか




こんなにも君が好きで -goodbye mother-

 2015年に同性婚の禁止が撤廃されるも、LGBTに対してまだ保守的な考え方も残るベトナムでの現実を、繊細な脚本と、笑いあり涙ありの演出で魅せる、感動の社会派作品。釜山、ハワイ、カンボジアなど複数の国際映画祭にも出品されています。
 
<ストーリー>
ベトナムのある一族の初孫であるヴァンは、父の改葬のために9年ぶりにアメリカから帰国する。空港へ迎えに行った親戚一同は、彼がベトナム系アメリカ人のイアンと一緒にいるのを見て、歓迎しつつも困惑する。イアンがヴァンのボーイフレンドだとは誰も知らず…。未亡人のハインは、息子のヴァンに一族の後継者の義務を果たすため、結婚して子をもうけることを期待していた。一方で、認知症を患っている祖母は、イアンのことを孫と勘違いしてしまう。そんな中、ヴァンは母親が重病を患っていることを知ってしまい…。

こんなにも君が好きで -goodbye mother-
2019年/106分/ベトナム/監督:チン・ディン・レ・ミン/出演:ライン・タイン、ボ・ディエン・ジャオ・フィ、ホン・ダオほか
 


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