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レポート:第30回レインボー・リール東京 クロージング

3日間にわたる表参道・スパイラルホールでの第30回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)の最終日、7月18日(月祝)の様子をレポートします。

レポート:第30回レインボー・リール東京 クロージング

7月18日(月祝)、3日間にわたって表参道・スパイラルホールで開催された第30回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)が最終日を迎えました。クロージングイベントなど、この日のトークイベントの様子をお伝えいたします。

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 14時、待望の東京での初上映となった『ボクらのホームパーティー』には、たくさんのゲイの方たちが来られていました。
 ホームパーティの終盤のドロドロの展開のシーンでは、笑いも起こり、たぶん最後はちょっとホロリときて、上映後には拍手も起こり、実に映画祭らしい、あたたかな雰囲気の上映となりました。
 上映後、アバウトガールズのヴィヴィアン・モンローさん(ゲイの方です)&アリス・ヘップバーンさん(トランスジェンダーの方です)のお二人が登場し、MCとして軽快なトークで会場を盛り上げたあと、川野邉修一監督と、6名の主演俳優の方たちが登壇しました。アバウトガールズのお二人が、このキスシーンはどんなだったか、とか、このシーンは観てほしいっていうところがありますか、とか、いろいろ質問し、監督さんや俳優の方々が答えていました。やはり主演の7名の俳優さんは全員ストレートの方だったそうです(そうよね、ストレートよね、と思ういでたちでした。逆に、いかに映画でゲイに見えるように役づくりをしていたか、ということですよね。すごいです)。そしてレビューでも書きましたが、みなさん「笑いが起こってビックリした」と語っていらっしゃいました。撮影は2020年の7月に行なわれたそうで、2年越しの上映となったということで、感慨深いという声も聞かれました。役づくりに際し、学生で何もかも未経験の智也を演じた橋詰さんは、「どうやったら同性を好きになれるだろうと考え、相手を尊敬できたらいいんじゃないかと思いました。そしたら普通に好きになれました」と語っていて、印象的でした。



 最終上映、クロージング作品となった『ロザリンドとオーランドー』の時は、上映前にクロージングイベントが行なわれました。
 再びアバウトガールズのお二人が(ちゃんと衣装を替えて)登場し、ヴィヴィアンさんが「スタッフの皆さんが本当に親切で…焼肉弁当、美味しかったです」などと言って場をあたためてくれて、代表の宮沢英樹さん、事務局長の石丸径一郎さんが登壇し、ご挨拶しました。
 そして、今回の映画祭のスペシャルゲスト的なお二人、来年公開の映画『エゴイスト』でゲイカップルを演じる鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんからの、映画祭の30回開催を祝うメッセージ動画(各回で上映されたコメントとは異なる、ノーカットバージョン)が上映されました(横でヴィヴィアンさんが「ヒャーッ!」と驚いていたのが面白かったです)。心のこもったメッセージ、本当にうれしかったです。
 近未来の台北・西門を舞台にしたポップでクィアなオ映画『ロザリンドとオーランドー』の上映が終わると、会場からあたたかな拍手が起こりました。席から立ち上がり、ホールを出ると、映画祭のスタッフのみなさんが並んで見送ってくださいました。
 とても充実した、満たされた気持ちで帰路につきました。




 
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 第30回レインボー・リール東京を振り返ってみると、まず、私が観た7作品(すでに観ていた『沖縄カミングアウト物語〜かつきママのハグ×2珍道中!〜』を含めると8作品)は、どれも素晴らしかったということを強調したいです。1本たりともハズレがなく、観てよかったと思えるいい映画ばかりでした。映画祭がこうして毎年、ここでしか観ることができないような海外の良質なクィア映画を上映してくれること、本当にありがたいです。感謝です。
 コロナ禍の影響もあって、ドリンクバーがなかったりという寂しさはあったものの、あのスパイラルにレインボーフラッグが掲げられ、ホワイエに大勢の方たちが集まってワイワイしている雰囲気やイベント感は健在でしたし、鑑賞に際しても、みんな同じところで笑ったり、上映後に拍手が起きたりするアットホーム感は、格別なものがありました。
 あのスパイラルホールで開催される限り、レインボー・リール東京は映画祭というイベントらしい雰囲気で盛り上がるとあらためて感じましたし、シネマート新宿での上映も、三連休は用事が立て込んでいてたくさん映画を観ることが難しいような方にとって、とてもありがたいと思いますし、とてもよかったです。
 宮沢さん、石丸さん、広報の方々、そしてボランティアで働いてくださっているスタッフの方々(みなさんとても感じがよい方ばかりです)、協賛企業や協力してくれたみなさんも、本当にありがとうございます。これからも末永く、レインボー・リール東京が続いていくことをお祈りします。

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