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特集:2022年8月の映画・ドラマ

2022年8月に上映、放送、配信される映画やドラマの情報をまとめてお届けします。今月は、年老いたゲイの人生のフィナーレにおける「ゲイ魂」の素晴らしさを描いた名作『スワンソング』が公開。そしてトランスジェンダー映画祭(オンライン)もあります。

特集:2022年8月の映画・ドラマ
(『スワンソング』より)

 せっかくの夏なのに、第7波が到来…。大型イベントが延期や中止になっていますし、あまり大勢で出かけて飲み食いしたりワイワイ楽しんだりというのもしづらい感じですね…。せめて映画館や劇場アート展にお出かけするなどして週末を楽しみたいところです。というわけで、この8月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をまとめてお伝えいたします。
 今月最も注目していただきたいのは、年老いたゲイの人生のフィナーレ、その「ゲイ魂」の素晴らしさを描いた名作『スワンソング』です。
 また、先月は第30回を記念するレインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)がありましたが、今月は「トランスジェンダー映画祭2022夏」がオンライン開催されます。これを機にトランスジェンダーのリアリティにふれてみてはいかがでしょうか。
(コロナ禍の影響で、地域によっては今後、映画館の状況も変わってくるかもしれません。また、どの映画館も感染防止策はとっているとは思うのですが、十分お気をつけください)
(最終更新日:2022年8月18日)

 
放送中
『POSE』シーズン3

 「ハウス・オブ・エバンジェリスタ」を立ち上げ、行き場を失ったゲイやトランスの子どもたちの面倒を見るマザー・ブランカを中心に、ボールルームの華々しさの陰で、黒人やクィアへの差別、HIV(当時、まだエイズは死に至る病でした)など様々な困難に直面する、しかしハウスの仲間(家族)と励ましあいながら、絶望することなく、前を向いて生きる若い世代の姿を感動的に描いたドラマシリーズ『POSE』。涙、涙のシーズン2から2年。いよいよファイナルシーズンの放送が始まりました。毎回が感動の嵐。1秒たりとも目が離せません。エミー賞、ゴールデングローブ賞などにノミネート/受賞の名作をぜひご覧ください。(レビューはこちら

<あらすじ>
時は1994年。ニューヨーク市長に就任したジュリアーニは、エイズ対策として街の風俗店を取り締まりはじめ、エレクトラが働いていた「ヘルファイア・クラブ」も閉店の憂き目に…。ブランカは看護助手として働きながら、同じ病院に勤める医師のクリストファーと交際を続けている。エンジェルが所属しているパピのタレント事務所は繁盛していたが、エンジェルは仕事が目減りしてイライラしてばかり。ある夜、ひょんなことからハウス・オブ・エヴァンジェリスタのファミリーが再びハウスに集まり、ブランカはファミリーのみんなに、再びボールに出ることを提案する。

『POSE』シーズン3
FOXチャンネル(視聴方法はこちら
7/28(木)23:00-    第1話「On the Run」
8/4(木)23:00-    第2話「Intervention」
8/11(木)23:00-    第3話「The Trunk」

 

上映中
バズ・ライトイヤー

 みなさんご存じ『トイ・ストーリー』の人気キャラクター、バズ・ライトイヤーの誕生秘話を描いたスピンオフ的な作品です。『バズ・ライトイヤー』で同性カップルのキスシーン、ディズニー/ピクサー長編アニメとして初というニュースでお伝えしたように、「ゲイと言ってはいけない」法案をめぐるディズニーのチャペックCEOの対応への一連の批判のなかで、ピクサーの従業員がディズニーによる同性愛要素の検閲を告発したことから、制作の過程でカットされていた同性キャラクターどうしのキスシーンが本編に収められる(復活する)ことになったものです。1995年以来、ずっと『トイ・ストーリー』シリーズに慣れ親しんできた(『トイ・ストーリー4』で泣いたりした)方も少なくないと思いますが、そんな愛着のあるシリーズに、ついに同性愛シーンが登場するのか…との感慨を抱く方もきっといらっしゃることと思います。

<あらすじ>
パイロットのバズは、惑星でテスト飛行を行うための準備に1年間を費やしていた。そして仲間たちとのテスト飛行を終えた彼は、故郷へ帰ろうとするも、思わぬ事態が起きる。やがてバズは、友達のソックスと共に壮大な冒険を繰り広げていく…。

バズ・ライトイヤー
原題:LIGHTYEAR
2022年/米国/105分/G/監督:アンガス・マクレーン/声の出演:クリス・エヴァンス、キキ・パーマー、ピーター・ソーン、タイカ・ワイティティほか

 


上映中
C.R.A.Z.Y.

 『ダラス・バイヤーズクラブ』などで知られるジャン=マルク・バレ監督の2005年の長編デビュー作で、1960~70年代のカナダ・ケベックを舞台に、保守的な家庭で育った青年の葛藤と成長を、シャルル・アズナブール、デビッド・ボウイ、ローリング・ストーンズなど時代を彩った名曲の数々に乗せて描き出した青春ドラマ作品。あの「ロッテントマト」で100%を叩き出し、本国カナダでは大ヒットを記録しました。ジャン=マルク・ヴァレ自身が「一生に一本でいい、こんな映画を作りたい、作らなければと思う映画に出会うことがある。『C.R.A.Z.Y.』も、そんな映画の一本であると思いたい」という言葉を寄せていた作品で、トロント国際映画祭最優秀カナダ映画賞、イリス賞13部門受賞ほか、多くの映画祭で高評価を獲得し、「カナダが生んだ映画史に残る名作」とも評されています。ジャン=マルク・バレ監督が昨年亡くなったことを受けて、この名作『C.R.A.Z.Y.』の念願の日本での劇場公開が決定しました。宣伝では触れられていませんが(日本の映画業界にありがちな同性愛要素の不可視化ではないでしょうか…)、海外では『C.R.A.Z.Y.』と言えば、ゲイの男の子の成長を描いた映画としてコミュニティに熱く支持されてきた作品です(「最高のゲイ映画」30位にランクインしたりもしています)。貴重な上映の機会です。お見逃しなく!
 
<あらすじ>
5人兄弟の4男として育ったザックは、キリストと同じ12月25日に生まれ、「特別な子」と呼ばれながらクリスマスのミサへの参加を義務付けられてきた。軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、それぞれ文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に足を踏み入れる1970年代。ザックは父親と同じく音楽を愛し、父のことも愛していたが、やがて自身のセクシュアリティに目覚め、絶対にゲイは認めないという父親との関係に苦悩するようになる…。

C.R.A.Z.Y.
2005年/カナダ、モロッコ/129分/PG12/監督:ジャン=マルク・ヴァレ/出演:ミシェル・コテ、マルク=アンドレ・グロンダン、ダニエル・プルールほか




8月5日〜31日配信
『ステージ・マザー』

 田舎町のお母さんが、家族と疎遠になっているドラァグクイーンたちの「ママ」になっていく――ゲイコミュニティと偉大な「ママ」がともに悲劇を乗り越え、成長していく姿、愛と自由の大切さを見事に描いた、笑いあり涙ありの名作『ステージ・マザー』がGYAO!で無料配信中。ボニー・タイラーの「Total Eclipse Of The Heart」とか、CeCe Penistonの「Finally」とか、なじみのある楽曲がたくさん使われてたのもよかったです。ジャッキー・ビートというドラァグ界のレジェンドが、ドラァグ・ママの役で出演していたことも、感慨深いです。ルーシー・リューもいい味出してます。ドラァグクイーン映画といえば『プリシラ』と『ステージ・マザー』ってなるくらい、みんなに観てほしいと思う作品です。まだご覧になってない方は、この機会にぜひ!

<あらすじ>
テキサスの田舎町の主婦で、保守的な教会の合唱団を手伝ってりもしているメイベリンは、オーバードーズで亡くなった息子リッキーの葬儀に参列するためにサンフランシスコに向かいますが、その葬儀があまりにもゲイゲイしく、そして息子のパートナーだという男性ネイサンから、リッキーがドラァグクイーンで、「パンドラの箱」というゲイクラブを経営していたことを知らされ、ショックを受けます。さらにリッキーは遺言を遺さずに他界したため、破綻寸前となっているバーの経営権が母親のメイベリンにあることも発覚し、メイベリンは困惑。しかし、生前には愛する息子のことを理解してあげられなかったという後悔をバネに、ゲイバーの建て直しを決意。彼が自分らしく生きた街で、メイベリンもまた自分らしさとは何か、生きるとは何かを見つめ直す…。

ステージマザー
原題:Stage Mother
2020年製作/93分/カナダ/監督:トム・フィッツジェラルド/出演:ジャッキー・ウィーバー、ルーシー・リュー、エイドリアン・グレニアー、マイア・テイラー、オスカー・モレノ、ジャッキー・ビートほか
GYAO!で8月31日(水)23:59まで無料配信中




8月6日、8日、11日、14日、17日、19日、21日〜23日に上映
華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版

 フランスの金融界を揺るがせた実在の女性銀行家マルト・アノーの生涯をモデルに描いたドラマ映画です。貧しい帽子売りだったエンマ・エケールは富豪のカミーユと親しくなり、彼女の資金援助でエンマ・エケール銀行を設立し、フランス初の女性銀行家となります。抑圧的な男社会のなかで、何度も憂き目に遭いながらもその都度立ち上がる強い女性を、戦後のヨーロッパ映画を代表する女優、ロミー・シュナイダーが圧倒的な存在感で演じます。エンマはもともとレズビアンで、カミーユという女性の富豪との関係から金融界への進出に成功するのですが、後半は若手政治家のルクードレとの恋が描かれます(バイセクシュアルと言えそうです)。ちなみに弁護士役を演じている俳優のジャン゠クロード・ブリアリは死後にバイセクシュアルだったことが明らかになっています(ジャン゠クロード・ブリアリは『ランボー 地獄の季節』でヴェルレーヌ役を演じています)。音楽がエンニオ・モリコーネというのも素敵です。

<あらすじ>
第一次世界大戦後、貧しい帽子売りから金融界に進出し、フランス初の女性銀行家となったエンマ・エケール。持ち前の才覚で成功を収め莫大な財産と大衆の支持を得た彼女は、やがて若手政治家のルクードレと恋に落ちるが……。

華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版
原題:La Banquière 英題:The Lady Banker
1980年/フランス/130分/監督:フランシス・ジロー/出演:ロミー・シュナイダー、ジャン゠ルイ・トランティニャン、マリー゠フランス・ピジェ、ジャック・ファブリ、ジャン゠クロード・ブリアリほか
Bunkamuraル・シネマで開催中の「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」/にて上映。上映日時の詳細はこちらをご覧ください





8月6日公開
裸足で鳴らしてみせろ

 卒業制作として撮った『オーファンズ・ブルース』が「PFFアワード2018」グランプリほか数々の賞に輝いた工藤梨穂監督。「PFFスカラシップ」によってプロデュースされた商業映画デビュー作がこの『裸足で鳴らしてみせろ』です。地方の町に暮らす寡黙な二人の青年が、目の見えないお母さんのために始めたプロジェクトを通じて次第に惹かれ合い…しかし、それはお互いに触れたいという欲望を抱きながらも「手をつないで、キスをして、セックスをして…」という成り行きには従わない、格闘というかたちをとります。監督は「とまどいながらも2人にしかわからない愛をそこに見出していくんです。それが2人の絆を揺るぎないものにすると同時に、彼らを苦しめるものにもなってしまう。そのような愛のままならなさを描こうとしました」と語っています(ニッポンドットコムより)。お母さん役を風吹ジュンさんが演じているのも素敵です。

<あらすじ>
父の不用品回収会社で働く直己(なおみ)と、市民プールでアルバイトしながら目の不自由な養母の美鳥(みどり)と暮らす槙(ま気)。二人は美鳥の願いをかなえるため、直己が回収して手に入れたレコーダーで“世界の音”を記録することに。サハラ砂漠、イグアスの滝、カナダの草原など各地の名所の音を記録していくなかで、互いにひかれながらも、触れ合うことができず、言葉にできない彼らの思いは、じゃれあいから暴力的な格闘へとエスカレートしていく…。

裸足で鳴らしてみせろ
2021年/日本/128分/脚本・監督:工藤梨穂/出演:佐々木詩音、諏訪珠理、伊藤歌歩、甲本雅裕、風吹ジュン、高林 由紀子、木村知貴、淡梨、円井わん、細川佳央ほか
ユーロスペースほか全国順次公開中





8月11日配信
幸運の犬

 ちくわフィルムの新作映画『幸運の犬』。ヒゲポン&TENさんが主演。メインのロケ地は浅草のゲイバー「おれん家」。どんなストーリーが展開するのかお楽しみに。新橋タウンハウスでの上映会イベントはチケットが完売、オンライン上映会のチケットがこちらで販売中です。

幸運の犬
2022年/日本/監督:まちょ/出演:TEN、HIGEPON、雄太、千葉優人、masa、しゅん、大吉






8月19日公開
セイント・フランシス

 中絶を経験した女性が傷ついた体を引きずりながら、6歳の少女や、少女の両親であるレズビアンカップルとの交流を通してささやかな光を見つける物語。同性婚のことや、レズビアンカップルが直面する同性愛嫌悪のことなども描かれているようです。 

<あらすじ>
レストランの給仕係として働く34歳独身のブリジットは、満たされない気持ちを抱えている。ある日、パーティで知り合った男性との間に妊娠が発覚。中絶手術後も体調がすぐれない日々を過ごす一方、ナニー(子守)の仕事で6歳のフランシスと出会う。フランシスの両親はレズビアンで、その一方は産後うつに苦しんでいて……。

セイント・フランシス
原題:SAINT FRANCES
2019年/アメリカ/監督:アレックス・トンプソン/出演:ケリー・オサリヴァン、ラモナ・エディス=ウィリアムズほか
8月19日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネクイントほか全国でロードショー





8月19日〜 東京
ブエノスアイレス(WKW4K ウォン・カーウァイ4K)

 1997年当時、絶大な人気を誇っていたウォン・カーウァイ監督が、これまた絶大な人気を誇っていたレスリー・チャンとトニー・レオンという大スターにゲイカップルを演じさせてセンセーションを巻き起こした作品です。アジアのゲイ映画としては未だにこれを超える話題作は出てきていないのではないでしょうか。カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を獲っています。今回、「WKW4K ウォン・カーウァイ4K」と題し、『恋する惑星』『天使の涙』などとともに4Kレストア版で上映、全国で順次公開されます。

<あらすじ> 
ブエノスアイレスにたどり着いたウィンとファイ。激しく愛し合いながらも別れを繰り返してきた二人は、関係を修復するためイグアスの滝へと向かう。が、途中で道に迷って言い争い、そのままケンカ別れしてしまう…。その後、ブエノスアイレスのタンゴバーでドアマンとして働いていたファイのアパートに、傷ついたウィンが転がり込んでくる。仕方なくウィンを居候させるファイだったが、ケガから回復したウィンは、ファイの留守中に出歩くようになる。そんななか、転職して中華料理店で働きはじめたファイは、同僚の青年チャンと親しくなり……。

ブエノスアイレス
原題:春光乍洩 Happy Together
1997年/96分/G/香港/監督:ウォン・カーウァイ/出演:レスリー・チャン、トニー・レオン
8月19日~シネマート新宿、グランドシネマサンシャイン、立川シネマシティほかで上映



 
<トランスジェンダー映画祭2022夏>
8月19日〜22日 配信
ゲームフェイス

 UFC(総合格闘技チャンピオンシップ)の女子王座を狙う総合格闘家のファロン・フォックスは、トランスであることを理由に「女子リーグで闘うのはフェアじゃない」とバッシングを受けてしまう。高校バスケ選手のテレンスは、セクシュアリティを理由に、長年所属したチームのレギュラーから外された経験を持つ。東京五輪でも話題となった、スポーツ界におけるLGBTの「闘い」を追うドキュメンタリー作品。

ゲームフェイス
2015年/ベルギー・米国/95分/監督:マイケル・トーマス
トランスジェンダー映画祭2022夏にて配信





<トランスジェンダー映画祭2022夏>
8月19日〜22日 配信
アロハの心をうたい継ぐ者

 太古ハワイ王国では、男性と女性、そして男性と女性の両方を持ち合わせるマフが、自然と調和し暮らしていましたが、植民地支配によってハワイ文化は抑圧され、マフも抑圧や差別の対象となってしまいます。現代のハワイでクムヒナ(ヒナ先生)は、マフとして、植民地支配で奪われたハワイ文化の心を若い世代に受け継いでいます。尊敬される先生、誇り高いハワイ人マフ、現代西洋社会を生きるトランス女性。そんなクムヒナの生きるハワイを描いたドキュメンタリー作品です。
※太古ハワイ王国の言い伝えを描いた短編アニメ『カパエマフの魔法石』も同時配信

アロハの心をうたい継ぐ者
2014年/米国(ハワイ)/77分/監督 :ディーン・ハマー、ジョー・ウィルソン
トランスジェンダー映画祭2022夏にて配信




<トランスジェンダー映画祭2022夏>
8月19日〜22日 配信
Major(メジャーさん)!

 1969年6月、LGBTQ解放運動のブレイクスルーとなる「ストーンウォール」暴動のまっただなかにいたトランスジェンダーのメジャーさん。78歳になった今でも投獄されたトランスジェンダーたちに手紙を書き続けます。家族から見放された人たちを娘たちと呼び、数えきれない人たちからママと慕われる彼女のたどった人生とは? トランスコミュニティの愛と闘いを描く至極のドキュメンタリー作品です。

Major(メジャーさん)!
2015年/米国/91分/監督:Annalise Ophelian 
トランスジェンダー映画祭2022夏にて配信




<トランスジェンダー映画祭2022夏>
8月19日〜22日 配信
最も危険な年

 トランスジェンダーの人口は1%未満にすぎません。マジョリティの無知は、しばしば少数派への偏見や不安に結びついてきました。2016年米国ワシントン州では、トランスジェンダーのトイレ利用を制限する法案が持ち上がり、「出生時の性別のトイレを使うべきだ」とする主張に対し、トランスジェンダーの子を持つ親たちが立ち上がります。差別と戦う武器は、自分たちのありのままの物語を語ること。日本でも広まりつつあるトランスヘイトの問題を考えるうえで必見のドキュメンタリー作品です。

最も危険な年
2018年/米国/90分/監督:Vlada Knowlton
トランスジェンダー映画祭2022夏にて配信



 
8月19日上映 広島
ひろしまアニメーションシーズン2022
上映&トーク「ジェンダー・アイデンティティとセクシュアリティ」

 近年、質的にも量的にもダイナミックな動きのあるクィア・アニメーション。それに併せて、ますます多様化する〈女性たち〉の豊かなアニメーションプログラムを上映します。LGBTQIA+や女性にまつわる作品を通して、そのインディペンデントで多様な意識や世界をご覧ください。本プログラムでは、上記キュレーションプログラムのうち、<LGBTQIA+やジェンダー>をテーマにした作品の上映を行ないます。上映作品は『クローゼットへ』『ティーガン&サラ』『フォー・ザー・ベスト』『唇のひび割れ』『はなそっか?』『自分のストーリー』『アドラブル』『アイ・ライク・ガールズ』『パープルボーイ』『まだみてる?』『ときには無人島で』『悲しき恋人たち』『ふたりの間に』です。3作品ほどがゲイを描いた作品と思われます。アジア系監督の作品も多いです。上映後には、クィア/フェミニズムの研究者としてご活躍されている東京大学大学院教授の清水晶子さんをお招きし、トークセッションが行なわれます。(「ジェンダー・アイデンティティとセクシュアリティ」と続けて上映&トーク「女性たちのアニマ」もご覧いただけます。そちらのトークゲストは児玉美月さんです。詳細はこちら

ひろしまアニメーションシーズン2022
上映&トーク「ジェンダー・アイデンティティとセクシュアリティ」
8月19日(金)12:10- @JMSアステールプラザ中ホール





8月24日上映 松山
虹色の朝が来るまで

 愛媛大学の学生の方たちが企画した上映会+トークショーで、ろう者の同性間の恋愛を描いた全編手話の映画『虹色の朝が来るまで』が上映されます。トークイベントはトランスジェンダーの渡辺啓之市議のほか、松山大の石川良子教授(社会学)と愛媛大の鈴木静教授(社会保障)も登壇します。映画についての感想や、地方都市に必要な制度などについて話し合われます。企画した愛媛大法文学部3年の渡辺元貴さんは、「社会問題に関心のある人だけでなく、純粋に恋愛映画を見たいという人まで幅広い方に参加してもらえれば」と語っています(毎日新聞より)。愛媛県などにお住まいでご都合がつく方はぜひ。

ろう者×LGBTQ×地方都市 映画「虹色の朝が来るまで」上映会+公開トーク
日時:2022年8月24日(水)14:00-17:00
会場:愛媛大学城北キャンパス 南加記念ホール(伊予鉄道市内電車環状線「赤十字病院前」)
無料
定員:先着100人(予約優先)
どなたでもご参加いただけます(手話通訳・文字通訳あり)




8月26日公開
スワンソング

 老人ホームでナプキンをキレイに畳むことしかやることがない生活を送っていた元ヘアドレッサー兼ショーパフォーマーのパットが、街いちばんの金持ちで親友だったリタが遺言で「パットに死化粧を」と遺していたことから、老人ホームを脱走し、リタのもとに歩いて向かう…という、ロードムービー、というか冒険譚です。その道中、エイズで早世した最愛のパートナー、デヴィッドのことや、これまでの人生のことが次々に思い出され、パットは、これまで抑圧されていたいろんなことを取り戻すかのように、ゲイクラブや、いろんな思い出の地へと向かうのです。地方の田舎町のゲイシーンのリアリティも描かれるとともに、パットという人物の生き様、美しい「スワンソング」に胸が熱くなること必至の、魂の名作です。
 監督のトッド・スティーブンスは、17歳の時にオハイオ州のゲイクラブで“ミスター・パットが踊っているのを見て衝撃を受けたそう。その後、映画の道に進んでからも、いつか同郷であるこの人気ヘアメイクドレッサーを題材にした作品を撮りたいと思い続け、今回、この『スワンソング』で念願をついに叶えました。
 ゲイコミュニティでも今後、60代、70代を迎える方も増えていくだろうと思うのですが、「ゲイとしてどう生きるか」だけでなく「どう死ぬか(最期に何をするか)」ということも考えさせられる作品で、とても他人事とは思えないものがあります。
 主演はウド・キアー。そして、『アグリー・ベティ』で鬼編集長ウィルミナの部下・マークを演じていたマイケル・ユーリーが、非常に重要な役柄で出演します(この映画の感動の肝です)ので、ぜひご注目ください。
 
<あらすじ>
ヘアメイクドレッサーとして活躍していた現役生活をとうの昔に退き、老人ホームでひっそりと暮らすパトリック・ピッツェンバーガー、通称“ミスター・パット”。ある日彼は、思わぬ依頼を受ける。かつての顧客で、街いちばんの金持ちだったリタが、遺言で「パットに死化粧を」とお願いしていたのだ。ゲイとして生き、最愛のパートナーであるデヴィッドを早くにエイズで失っていたパット。その胸中に、リタの遺言によってさまざまな思い出が去来する。すっかり忘れていた仕事への情熱や、友人でもあったリタへの複雑な思い、そして自身の過去と現在…。

スワンソング
原題:Swan Song
2021年/アメリカ/105分/G/監督:トッド・スティーブンス/出演:ウド・キアー、マイケル・ユーリーほか

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