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大阪・天満橋に常設のLGBTQセンター「プライドセンター大阪」がオープン!

4月1日、西日本初(日本で2番目)の常設のLGBTQセンター「プライドセンター大阪」がプレオープンしました。LGBTQが安心して過ごせる、困り事を相談したり、何でも話せるような空間です。天満橋の絶好のロケーションで、外に向けてレインボーフラッグを照射したりもしています。レポートをお届けします。

大阪・天満橋に常設のLGBTQセンター「プライドセンター大阪」がオープン!

 2022年4月1日、大阪の天満橋に「プライドセンター大阪」がプレオープンしました。西日本初(プライドハウス東京レガシーに次いで日本で2番目)の常設のLGBTQセンターで、認定NPO法人虹色ダイバーシティが企業からの協賛を得て運営しています。本格的なオープンは6月だそうです。
 公式サイトに書かれているように、プライドセンター大阪は、「"Remedy for all" みんなが自分でいられる場所、必要な時に助けを求められる場所をつくり、それをまち全体に広げます」ということをミッション(パーパス)として掲げており、どんな性自認、性表現、性的指向の人でも咎められたりせずに安心して過ごすことができますし、LGBTQやその家族・友人などが困った時に相談したり助けを求めることができるようなセンターです。
 「めざす未来・ビジョン」のところにも書かれているように、特に今は、「パンデミックで傷ついたLGBTQの心身の健康、社会的な健康の回復の支援」ということに重点が置かれています。コロナ禍で、仲間と集まることができず孤立したり、理解のない親との同居でしんどい思いをしたりしている方もいらっしゃいますが、トランスジェンダーの方などは、ただでさえ(虹色ダイバーシティがずっと職場環境改善アンケート調査を実施して明らかにしてきたように)就職に困難がつきまとうのに、コロナ禍でいっそう難しくなり、貧困状態に陥っている方も少なくないようです。メンタルヘルスの悪化も心配です。そうした当事者の方たちが、苦しい胸の内を吐露したり、悩みを相談したりできる場所、誰にも咎められずに自分らしい格好で過ごせたり、LGBTQについての知識を深めることができたりもする場所です。お子さんが当事者であるという親御さんなども同様に、相談したり、学んだりできる場所です。プラス、広く世間に向けても、「LGBTQがまちの中で共に生きていることを可視化」したり、アライの方たちを支援する場でもあります。
 虹色ダイバーシティの村木真紀さんは2020年に発表した著書『虹色チェンジメーカー』の中でも、大阪にLGBTQセンターを作りたいと語っていました。その夢がついに実現したのです。虹色ダイバーシティは、こちらのインタビューでもお伝えしていますが、大阪市淀川区が日本初のLGBT支援宣言を発した翌年、区のLGBT支援事業の一環として、電話相談やコミュニティスペースの開設を行なった際も運営に携わっていました(QWRCとの協働で)。そういう実績も、この「プライドセンター大阪」につながっています(このセンターでもQWRCのみなさんが実際の運営や相談事業に携わっています)

 そんな、村木さんをはじめ大阪のLGBTQコミュニティの方たちの思いが詰まったセンター大阪が、とうとうオープンしたということで、京都のパレードの開催に合わせて表敬訪問&お祝い&取材をしてきました。以下、レポートをお届けします。(文・後藤純一)







 実は関西に5年間住んでいたことがあり、大阪も数えきれないくらい行っているにもかかわらず、天満橋という場所は初めてで、土地勘がなかったので、JRの大阪天満宮駅から行ったのですが、かなり歩きました…みなさんは京阪・メトロの天満橋駅から行ったほうがいいと思います。
 
 事前に「とても景色がいいですよ」と聞いていたのですが、クルーズ船が行き交う大川に沿った、桜がきれいな南天満公園を眼下に望む、絶好のロケーションでした(ちなみに対岸は船着場として知られる八軒家。大阪城も近いです)。大阪にこんな素敵な場所があったなんて…と感動しました。市外や海外から来られた方などは、センターを訪れたついでに観光もできそうです。村木さんのお話によると、ここは大川が市役所のある中之島公園に通じているし、府庁や大阪地裁、労働局なども近い官庁街でもあるそうです。
 
 ビルのエレベーターで7階に上がります。7階のワンフロアがすべてセンターになっていて、隣の部屋の人に気を遣うということもなく、のびのびと過ごせます。広めのオールジェンダートイレには着替え用の台も置いてあって、自分が着たい服に着替えることもできます。レインボーカラーのマットがあしらわれた入口から、みんなが思い思いに過ごしているお部屋へと進んで行くと、スタッフの方が声をかけてくれます。
 左手が本棚になっていて、『職場のLGBT読本』や『虹色チェンジメーカー』などのLGBTQ関連書籍はもちろん、絵本などもたくさんあって、自由に閲覧できます。お子さんが当事者だという方が来られて、ものすごく熱心に本を読んで勉強したり、ということもあったそうです。
 大川や、遠くに中之島公園を望む右手の大きな窓の下にはソファがしつらえられ、動物柄のクッションや、マペットなど子どもが遊べるようなグッズも置かれています。子育て中の同性カップルが来て、安心して子どもを遊ばせるということも可能なのです。
 中央にいくつかテーブルや椅子があり、座ってお話をしたり、本を読んだり、持ち込んだノートPCやタブレットでお仕事をしたりもできます(無料Wi-Fiも利用できます)
 絵やメッセージを描けるボードになっている壁もあります。
 いたるところにレインボーカラーのグッズや動物の小物が置かれていて、癒しの空間になっています。

 日が暮れる頃、「点灯式」ではないですが、ちょうどプロジェクターで外に向かってレインボーフラッグやプライドセンター大阪の文言を映し出すスイッチを入れる作業に立ち会いました。夜、外から見ると、くっきりと美しくレインボーフラッグが浮かび上がって見えるので、素敵です。「ここにLGBTQのための場所があるよ」というアピールになっています。文字は結構大きくしないと見えないそうですが、自由に絵柄や文字をデザインできるため、その時々で違った文言を表示できます。例えば大阪地裁で6月に「結婚の自由をすべての人に」関西訴訟の判決が出ますが、そのときはぜひ「勝訴」の文字を出したいです、とのことでした。
  
 村木さんのお話によると、物件の下見の一軒目でここを見て、一目惚れしたそう。最初はだだっ広いガランとした空間でしたが、仕切りを設けて事務所と相談スペースを作ることにして、積水ハウスさんのご協力で、素敵な設計をしていただき、実際の施工も予定より早めに進んだそうです。仕切られた相談スペースを使っての本格的な個別相談は、6月からスタートする予定だそうです。
 また、トランス女性やドラァグクイーンの方が利用できそうな、大きいサイズのハイヒールを製作している会社のチラシが置いてあったのですが、外では人目が気になって難しいようなヒール用の足の計測などもここでできるといいな、とのことでした。
 いろんな使い方ができる、夢がふくらむスペースでした。

 大阪のゲイ・バイセクシュアル男性のみなさんにとっては、コミュニティセンターといえば20年以上前から堂山にある「dista」のほうがなじみがあると思いますが、例えば職場でアウティングにあった、差別的な言動がつらい、ゲイだと周囲に伝わって会社にいづらくなっている、などの悩みや困りごと、職場でLGBTQについて話すことになった、ネットワークを作ることになった、といった場合も、プライドセンター大阪のほうが相談に適していると思います(虹色ダイバーシティは職場環境の改善に取り組み、企業に研修を実施したり、LGBTQに関する社内施策を提言してきた団体ですので)。同性パートナーシップ証明制度やそれに伴う行政の施策(公営住宅への入居や、病院での家族としての扱いなど)、同性婚のこと、子育てのことなども話しやすいと思います。堂山にはちょっと行きづらいという方や、ゲイ以外のセクシュアリティやアライのお友達を作りたい方などにもぴったりだと思います。
 
 興味がある方はぜひ、足を運んでみてください。





プライドセンター大阪 
開館時間:月木金土(祝日・臨時休館日を除く)15:00-20:00
※6月のグランドオープンまでは不定期の開館となりますので、こちらでスケジュールをご確認ください
住所:大阪府大阪市北区天満2-1-6 天満橋MSビル7F(Osaka Metro谷町線、京阪本線「天満橋駅」から徒歩5分)

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