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特集:参院選2022

7月10日(日)は参院選の投票日です。今回もいろんな団体・グループが同性婚やLGBT平等法などについての政策アンケートをとってくれていますので、その結果をご紹介します。

特集:参院選2022

 6年の任期が保証されている参議院議員は、より専門的な知見を持って慎重に審議にあたり、決算の審議や行政の監視にも力を入れ、衆議院での行き過ぎをチェックするような役目も果たしていて、参議院は「良識の府」として国会で重要な役割を果たしています(石川大我参議院議員が、海外で日本人と同性婚した外国人パートナーについても在留特別資格を認めるよう前向きに検討するとの答弁を引き出すなど、LGBTQ関連の政策の前進を見ています)。参院選は政権交代には直接関係しないとはいえ、やはり参議院議員を選ぶ選挙も重要ですので、期日前投票なども活用し、ぜひ投票に行きましょう。
(2022.7.2)



参院選の基本

 参院選は、都道府県単位※の選挙区と全国一つの比例区の組み合わせです。(※「鳥取+島根」「徳島+高知」は合区))
 選挙区の改選数は人口に応じて割り振られていて、最大が東京の6議席、全国の合計は75議席です。投票の際は、各選挙区の候補者の中から1名を選び、名前を書きます。
 比例区は計50議席ですが、投票の方法は衆院選の比例区と異なり、「非拘束名簿式比例代表制」です。各党が出す候補者名簿に順位は付いておらず、まず政党名と候補者名の合計で各党の議席数を決め、次に個人名が多い順に当選者が決まります(※比例区には前回から、個人の得票に関係なく優先的に当選できる「特定枠」が設けられました)。比例区の投票は、投票用紙に党名を書いても候補者名を書いてもOKです。(例えばよだかれんさんに国会に行ってほしいと思った方は、投票用紙に「よだかれん」と書きます。「れいわ新選組」と書いても、名簿の順位が決まっていない以上、「よだかれん」さんを押し上げることにはつながらないので、きちんと名前を書くようにしましょう)

◎期日前投票
 投票日に仕事や旅行などの予定のある方も、あらかじめ投票日と同じように投票できます。投票所入場券を持って、お住まいの市区町村の期日前投票所に行きましょう(投票の案内に地図などが載っていると思います)。原則8:30〜20:00に受け付けています。投票日の前日まで投票可能です。

◎不在者投票
 住民票が実家にあったり、引っ越したばかりの方なども、実家のある自治体や引っ越し前の自治体に投票用紙を請求することで、投票日の前に不在者投票をすることができます。詳細はこちらをご覧ください


あなたの一票は絶対に“無駄”ではありません

 「どうせ自分が投票したところで結果は変わらない」「いつも入れてる候補が当選した試しがない」など、無力感を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
 つい先日(6月20日)、東京都杉並区(人口約60万人)で区長選挙が行なわれ、新人で公共政策研究者の岸本聡子氏が7万6743票を、4選を目指した現職の田中良氏が7万6556.724票を獲得し、わずか186票差で岸本氏が初当選しました。
 2019年4月の統一地方選では、1票差以内の僅差で結果が決まった選挙がなんと20もありました
 この参院選、実は1票に611万円の価値があります。これをみすみす捨ててしまうのはもったいないですよね…。
 世の中には投票したくてもできない方もいます。あなたの大切な投票の権利をぜひ、自信と誇りを持って行使しましょう。


投票したい人がいない場合は?

 どの候補もイマイチで投票する気にならない、いっそ白票を入れようか、と思う方もいらっしゃるかと思います。でも、白票には何の意味もありません。白票は無効票でしかなく、白票単体での数も不明で、「白票が集まれば意味や効果が出る」ことには全くなりません(今の政治にNO!を示す効果もありません)。むしろ新しい風を吹かせることを妨害する働きをします(詳細はこちら
 投票したい候補者がいないなら、「こいつにだけは勝たせたくない」という戦略的投票をしたほうがよいです。例えば東京選挙区で言うと、ほとんどが無回答なのにしっかり同性婚には反対している生稲晃子候補には勝ってほしくないと思うなら、対抗馬となるような同性婚賛成候補に入れればよいのです。同性婚や別姓婚に反対している落選対象候補を視覚化した「ヤシノミ作戦」というサイトもたいへん参考になると思います。

 
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 以降は、いろんな団体・グループが実施している政党や候補者への政策アンケートをご紹介します。このサイトが始まった2010年には、東京メトロポリタンゲイフォーラムとフォーラムアクエリアスという当事者団体が頑張ってアンケートをとってくれていましたが、今や、大手メディアや、たくさんの団体・グループが当たり前のようにLGBTQ関連の設問を設けています(選択的夫婦別姓と並び、争点の一つになった感があります)。その結果をご紹介します。


みんなの未来を選ぶためのチェックリスト -参議院選挙2022-

 2019年の衆院選の際に、様々な分野で活動する市民団体などの有志が主要政党に公開質問状を送り、その回答を公開する「みんなの未来を選ぶためのチェックリスト」というサイトが立ち上げられました。その設問の中に「LGBT平等法」「同性婚の法制化」「性同一性障害特例法を改正、要件を緩和」というLGBTQ関連の3つの設問が含まれていましたので(なんと的確な…)、各党の回答結果をご紹介します。(「政党や候補者たちにはこの国で暮らす多様な人々の生活を包摂した政治を行なってほしい」という思いから、このような設問を選んだそうです)





朝日・東大谷口研究室共同調査

 約20年前から実施されている「選挙と言えば」の朝日・東大谷口研究室共同調査。2016年の参院選からは「同性婚」についての設問も入れてくれています。そして今回は同性婚だけでなく、昨年成立を見なかった理解増進法案(LGBTへの差別は許されないと明記した与野党合意版のことだと思われます)の制定についても聞いています。(候補者545人中、公示の6月22日までに回答した512人を分析、回答率94%)
 
・「LGBTなどの性的少数者をめぐる理解増進法案を早期に成立させるべきだ」について「賛成」「どちらかと言えば賛成」と回答した割合は、立憲民主党96%、公明党79%、日本維新の会93%、共産党100%、国民民主党82%、れいわ新選組100%、社民党91%、NHK党52%で、自民のみ40%でした。(各選挙区の候補者の賛成/反対も見ることができます)

・「同性婚を法律で認めるべきか」については、各政党の%数が明確でないのですが、こちらの記事と、こちらで示される各党平均値とを照らし合わせると、「賛成」は自民が14%、公明が75%、維新も70%台、立憲と社民が90%台、共産とれいわが100%、国民が80%くらいです。(各選挙区の候補者の賛成/反対も見ることができます)
 


マリフォー国会メーター

 昨年の衆院選に向けて公益社団法人「Marriage For All Japan -結婚の自由をすべての人に(以下MFAJ)」が立ち上げたマリフォー国会メーター。「東京大学谷口研究室・朝日新聞社共同調査」の回答を元に、どの政治家が同性婚に賛成/反対しているかを可視化したアプリです。さらに、マリフォー国会(院内集会)への出席状況やMFAJへの賛同メッセージなど、同性婚についての「議員の意向」がわかります。それぞれの議員のSNSアカウントや事務所の連絡先や議員に送るメッセージの見本文章なども記載し、政治家に直接、市民としての意見が届けられるようにするためのサポートの情報も載っています。
 今回の参院選に向けて、参院選候補者特別サイトのバージョンになっていますので、ぜひ政党別、候補者別に見てみてください(選挙区だけでなく、比例区の候補者の回答も載っています)


 なお、やる気あり美のみなさんが、#マリフォー国会メーターべんりという踊るキャンペーン動画をプロデュースしていて、たくさんの方たちが踊ってみた動画を次々にアップしていて、素敵です。取り急ぎ伊賀市の「僕らの移住生活」のお二人と、ダムタイプ『S/N』のレジェンドであるBUBUさんのバージョンをご紹介してみます(ぜひハッシュタグで検索してみてくださいね)




LGBT法連合会による各党の政策アンケート

 LGBT法連合会も各党の政策と考え方に関する調査を行ない、回答を公式サイトに掲載しています。
 今回の参院選に向けた調査では、性的指向・性自認に関する個別具体的な政策課題に対する各政党の姿勢が明らかになっています。
・マニュフェストや公約への性的指向・性自認に関する人権を保障する施策の記載(問1)については、ほとんどの政党が記載しています。
・性的指向・性自認に関する困難を解消するための施策として、優先度の高いもの(問2)(複数回答)については、性的指向・性自認に関する差別を禁止することが重要、同性カップルの権利保障が重要、と回答した政党が最も多くなりました。
・性的指向及び性自認に関する法整備の時期について問う設問(問4)でも、早期の成立で多くの政党が一致しました。
・性同一性障害特例法の各要件の見直しに対する姿勢を問う設問(問6)では見解が分かれました。
 そのほか、教育分野、就労分野、福祉・医療分野などでも様々な設問がありました。回答の全容はこちらからご覧ください。
 なお、同様の趣旨で、選挙区別および全国比例の各立候補者にも調査をしていて、回答を順次公開していくそうです。
【追記】2022.7.3
 候補者へのアンケートの回答も掲載されました→こちら

 




アムネスティ・インターナショナル日本「#選挙は人権で考える」

 アムネスティ・インターナショナル日本による政策アンケートでも、「性的指向・性自認に基づく差別禁止を法制化すべきだ」「日本でも同性婚を認めるべきだ」との設問が設けられています。選挙区だけでなく、比例区の候補者の回答も載っていますので、LGBTQ差別禁止法についての比例区の候補者の考えを知りたい時は、こちらをご覧いただくとよいと思います。
 なお、アムネスティ・インターナショナル日本は18〜25歳の若者にアンケート調査を実施し、回答者の約8割が、LGBTQへのいじめや差別を禁止する法律制定に賛成したとの結果を発表しています。調査に携わった大学生は6月29日の記者会見で「LGBTQに関する法整備に関心を持ち、参院選の投票に行ってほしい」と訴えていました。(東京新聞「「LGBT理解増進法案」どうなった? 当事者ら「差別解消、後退した」」より)




投票日(7/10)はSNS発信に注意

 投票に行ってきたよ! みんなも行こう! ○○さんに投票しよう!とSNSにアップしたくなる方もいらっしゃるかと思いますが、公職選挙法で投票日当日は選挙運動が禁止されています。違反にならないよう、気をつけましょう。
・「投票に行こう」「投票に行った」などの投稿をするのはOKです
・「〇〇さんに投票してください」など、特定の候補者や政党への投票を呼びかける行為はNGです
・選挙運動期間内に投稿されたツイートや動画などは削除する必要はなく、投票日にもそのまま掲載しておくことができますが、投票を呼びかける趣旨での更新はNGです(リツイートも危ないそうです)
・投票用紙の写真を撮ってアップするのもNGだそうです
(詳細はこちら

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