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レポート:ONAN’s DREAM -オナンを愛するすべての人へ-

9月22日(金)、二丁目のAiSOTOPE LOUNGEでオナン・スペルマーメイドさんをみんなで偲ぶためのイベント「ONAN’s DREAM -オナンを愛するすべての人へ-」が開催されました。レポートをお届けします。

レポート:ONAN’s DREAM -オナンを愛するすべての人へ-

こちらのニュースでお伝えしていたオナン・スペルマーメイドさんを偲ぶ追悼イベント「ONAN’s DREAM -オナンを愛するすべての人へ-」が9月22日(金)、二丁目のAiSOTOPE LOUNGEで開催されました。大雨にもかかわらずフロアが超満員になるくらい大勢の方が駆けつけ、不世出の天才クイーンであり、本当に素敵な、夢のようなショーの数々を届けてくれたオナンさんのことをいっしょに偲びました。






 22日はあいにくの雨模様でした。22時頃には土砂降りで、外を歩くのも躊躇しちゃうくらいでした。そんな悪天候だったにもかかわらず、AiSOTOPE LOUNGEにはオナンさんを偲ぶ方たちが大勢詰めかけ、メインフロアはほとんど満員電車のような(「女装紅白」のときのような)大混雑となりました。
 
 サブフロアには、等身大よりももっと大きなオナンさんのアー写が鎮座する祭壇?がしつらえられ、お線香をあげるのではなく、用意された花びらを祭壇の前にふわっとかけていくというかたちでご冥福をお祈りできる、とてもドラァグクイーンらしい、素敵な仕様になっていました。そして、下村しのぶさんが撮った写真をはじめ、たくさんのオナンさんの写真が展示されていて、とても華やかでした。
 
 ステージ上の大きなスクリーンとバーカウンターの上のモニターにはずっとオナンさんのショーの映像や、出演した映像作品が流れていて、ドリンクを飲みながら映像を観たり、友達どうし思い出を語り合ったりしていました。

 20時半、司会のブルボンヌさんが登場し、いつもとは違う神妙な面持ちで「本日はお足元の悪いなか、ありがとうございます」とあいさつし、トークショーに出演するオナンさんとゆかりの深かったクイーンさんをステージに招きました。ブイアベースさん、バビ江ノビッチさん、ディタ・スターマインさん、それぞれが、とっておきのオナンさんの映像を持ち寄り、思い出を語りました。ブイアベースさんは、オナンさん、熊田プウ助さんを交えて3人で温泉芸者的なストリップショーを(たぶん地方で)やったときの映像を見せてくれて、場の雰囲気も和やかになりました。バビ江さんは、まだオナンさんがクイーンになる前の(1991年だそう)男の子として写っている映像を見せてくれました。ディタさんは、(AiSOTOPE LOUNGE11周年でも歌っていた)「レインボーコネクション」という歌をオナンさんが歌っていた映像を見せてくれました(オナンさんが和訳した歌詞も朗読してくれました)。そして、ブルボンヌさんは、大昔にオナンさんと二人で呼ばれて出演したイベントで、お客さんのお悩みに答える時間があって、オナンさんが「開くの。みんなこじ開けるの。そうすれば幸せになれるわ」と語ったのにガツンとやられた、それまでドラァグクイーンってルポール的な美やファッションが命だと思ってたけど、メッセージを伝える存在、魂の表現者なんだと悟った、というお話をしてくれました(ジョソラジでも詳しく語られています)
 それから、フロアのお客さんもみんな一緒に「愛してるわっ!」と言ってオナンさんに献杯しました。
 トークタイムは、(たぶんPINKHOUSE X(オンライン)だと思うのですが)オナンさんとブイアベースさんが「また逢う日まで」を歌う映像が流れ、みんなで歌ったり、手を振ったりしてお別れとなりました。
 
 バビ江さんが「オナンさんは愛の人だった」と語っていましたが、本当にそうだなぁと。ディタさんともコラボすればブイアベースさんともコラボするような「振り幅」がすごい、いくつもの顔を持つ、多面的な表現をしてきた方で、ポエティックだったり、演劇的だったり、芸術的だったり、かと思うとお笑いだったり、裸になったり、とてもじゃないけどその世界観をひと言で言い表すことは不可能なのですが(でもオナンちゃんがやるとすべて高尚に見える、とブルボンヌさんもおっしゃってましたね)、その根底に、いつも「愛」があったんだなぁと思います。素敵な歌や女優たちへの「愛」、男の子たちへの「愛」、ゲイコミュニティへの「愛」、お客さんへの「愛」。ゲイであることを、クイーンであることを、人生を愛し、オナン・スペルマーメイドというマジック・ランタンを通して、夢のようなひとときをプレゼントしてくれた人。振り返ってみれば、その表現のすべてが、この世界へのラブレターだったような気がします。
 
 オナンさんに会うことはもうできないけれど、オナンさんが残してくれた大切な宝物のようなショーの数々に込められた思いやメッセージをしっかり受け止め、語り継いでいきながら、この世界が少しでも素敵に輝くよう、何か自分にできることをやっていこう、それがオナンさんへの恩返しにもなるんじゃないかと思えました。
 
 お通夜やお葬式などは親族の方たちで執り行われ、私たちが集まってオナンさんを偲んだりお別れをしたりする機会はなかったので、このようなイベントが開催されたことは本当にありがたかったです。
 AiSOTOPE LOUNGEでは本当は「Kylie Minogue Night」が開催されるはずだったのですが(アルバム出ましたものね。きっとそのうちやるはず。絶対行きます)、オナンさんを一緒に偲びたいみなさんのために、この日を空けてくれたんだそうです(しかも無料開催で)。AiSOTOPE LOUNGEのみなさん、この素敵なイベントの企画や運営に携わってくれたクイーン(やDJなど)のみなさんに感謝です。
 
 ジャンジさんやメロウディアスさんや下村さんなどスタッフとして動いていた方もたくさんいらしたのですが、そのなかに、伝説のドラァグクイーン、クリスティーヌ・ダイコ☆さんやルチアーノさんの姿もあり、驚くやら、感激するやら、でした。この日は星屑スキャット&八方不美人のみなさんのライブがあって、遅れて来られた方も多かったのですが、相当たくさんのクイーンさんや、お店関係の方たちや、昔から二丁目でクラブ遊びをしてきたみなさんが大集結する夜になりました。
 
 まさに「Onan's Dream」。まだどこかその辺にいるような気がするオナンさんが、いたずらっぽく笑いながら、キラキラした魔法の杖を一振りしたんじゃないかと思うような、夢の一夜でした。
 
(文:Junchan)


<塔の上の王女さま<特別版> / オナン・スペルマーメイドのご案内>
 オナンさん追悼記事で私がいちばん好きだったとお伝えした「塔の上の王女さま(通称マン毛姫)」が、絵本のような冊子として発売されます。オナンさんは闘病中も、友人たちと話し、このオトナの童話をミニブックとして世に送り出すべく、7枚の絵を描いていたのです。
 また、病との闘いをファンや友人たちに伝えるため、自らに起こった出来事を物語に昇華させ、絵本として発表することになっていましたが、その草稿の最初の部分を書いたところで、このプロジェクトは未完となってしまいました…。
 この、オナンさんからの、私たちへの最後のメッセージが、ポスターやポストカード、ブロマイドなどといっしょに、「ZINE」として製作されることになったのです。完全予約販売です。
 詳しくはこちらをご覧ください。


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