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レポート:神戸レインボーフェスタ2025(1)

5月31日(土)と6月1日(日)、「TOTTEI PARK」で開催された神戸レインボーフェスタのレポートをお届けします。1日目は関西アライモのファッションショーなど多彩なステージイベントが行なわれました

レポート:神戸レインボーフェスタ2025(1)

 5月31日(土)と6月1日(日)、新港第2突堤にできたばかりの関西最大級の多目的アリーナ「GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)」の敷地内の広場「TOTTEI PARK」で神戸レインボーフェスタが開催されました。2023年から始まった神戸レインボーフェスタは今年初めて屋外で2日間にわたって開催され、初めてプライドパレードも行なわれました。

 神戸レインボーフェスタは2023年5月3日、「ここ数年、日本各地でLGBTQ+に関するイベントが行われています。時代は“性”の多様性を認めつつある一方で、国際都市神戸ではパートナーシップ制度すら導入されておらず、時代の流れに取り残されています。私たちはそんな神戸を本当の国際都市神戸にするべく、立ち上がります。2023年は初開催ですが、ここから神戸市とともに歩んでいきたいと思います。皆さんも私たちと一緒に神戸を盛り上げていきましょう」という趣旨で初開催されました(こちらのインタビュー記事によると、2023年2月の荒井元総理秘書官の差別発言のこともあり、憲法記念日にやろうという思いを固めたそうです)
 第1回神戸レインボーフェスタはGWにデザインクリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催され、ステージでは神戸市に縁のある性的マイノリティによる活動紹介やトークセッション、歌、ダンス、映像等のパフォーマンス、性的マイノリティへの支援を目指す企業の活動紹介や個人のパフォーマンスが行なわれ、神戸市に縁のある性的マイノリティ当事者団体による活動報告、アートやLGBTQ関連のグッズ出展、性的マイノリティへの支援を目指す企業や個人のブース出展のほか、飲食ブースなども出展されました。
 第2回ではウエディングファッションショーも開催し、「こんなに幸せそうなカップルが何で日本では結婚できへんの?」と涙した方が大勢いらしたそうです。
 3回目を数える2025年は、今年4月にオープンしたばかりの話題の施設「ジーライオンアリーナ神戸」の先、270度が海に面した「TOTTEI PARK」という素敵ロケーションで開催され、初の2日間開催、そして初のプライドパレードも開催されました。※

※神戸では「神戸まつり」という市をあげての大イベントのパレードに一つのフロートとして参加するかたちの神戸LGBTIQプライドマーチが2006年5月から開催され、2009年にKOBEふれんどりーマーチとして受け継がれ、2011年まで開催されました(2010年のレポートはこちら)。2006年5月当時はまだ東京と札幌でしかプライドパレードが開催されておらず、一からパレードを立ち上げること(や継続的に開催すること)が本当に大変だった時期ですが、地元のお祭りに一フロートとして参加するかたちでパレードを行なうという「発明」は地方のコミュニティを勇気づけ、その後も博多などいくつもの街で採用されるようになりました。そういう意味で神戸は敬意や賞賛とともに記憶されている街であり、今回のプライドパレードも、神戸初ではないのですが、会場を借りてイチから作り上げる単独のプライドパレードが初めて神戸で開催されることにお祝いや慶びの気持ちを感じた方もいらしたはずです(というか、私やVENさんがそうでした)

 
 というわけで、神戸レインボーフェスタ2025の1日目、5月31日(土)のレポートをお届けします。

 前日までの天気予報では、この日は曇り時々雨で、いちおう傘を持って出かけたのですが、全く使うことはなく、逆に日焼けしてしまったくらいでした。

 三宮からジーライオンアリーナ神戸行きの直通バスに乗り、10分くらいでジーライオンアリーナ前に到着しました(便利)。右手には、2005年に「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)」の会場にもなったメリケンパークのモニュメントが見えて、あそこで素敵なクラブパーティが行なわれたのよね…と懐かしく思い出されたり。
 目の前にそびえたつジーライオンアリーナは、さすができたてという感じで、とても大きな、立派な施設でした。カフェや飲食店も並んでいます。この日は「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブラブライブ!」のイベントが開催されていて、ファンの方が大勢いらしてました(早い時間からグッズを買うために並んでる方もたくさんいました)。その横をてくてく歩いて南側に向かうと、芝生が広がる「TOTTEI PARK」や、神戸レインボーフェスタのブースやステージが見えてきました。



 「TOTTEI PARK」ってスチールの段々で作られた「丘」があるのですが、そこを登って上から見る景色がとても綺麗でした。大きな船がたまに通ったりとかもして。このような素敵ロケーションでプライドイベントってなかなかないと思うので、それはとてもよかったです。



 まずは出展ブースをご紹介します。













 11:00過ぎにステージイベントが始まりました。
 MCはU☆Kユーケースターねこちゃん女装男子田村ゆきとさん。底抜けに明るいお二人による息の合ったトークが広場に響き渡りました。

 ダイバーシティ講演家の愛美さんが登場。ジェンダーレスで子育てしてるシングルマザーの方で、11月開催の奈良レインボーフェスタの共同代表も務めているそうです。ずっと誰にも言えなかったけど、自分を偽ったままでは壊れてしまうと思い、離婚を決断、恋愛は対象は女性で、自分自身は男でも女でもないけどあなたのお母さんだよ、とお子さんに伝えたいと思ったそうです。そんな愛美さんが心をこめて歌った小田和正さんの「たしかなこと」、とても沁みました。

 ブース紹介の時間になりました。ここでは上記でフォローしきれていない方たちをご紹介します。


 (お昼で中座したため、YOPPY'S BRASS BANDの演奏を聴けなかったのですが、会場に戻って来ると)トランス男性の藤原直さんがファシリテーターを務め、レインボーアカデミーの方がお話していました。レインボーアカデミーは性自認女性の方が参加できる女子校フリースクールで、年に3回ほど開催、制服や教科書もオリジナルで作り、調理実習もあったりするそうです。

 それから、ねこちゃんがサプライズでパートナーの方に感謝の手紙を読みました。ねこちゃんは3年前の神戸新聞にも載っていますが、フェイスペインティングやイラストを描く「ゲイjuthu化」で、2016年にエイズを発症し、重症化するというシビアな体験をしています。退院しても実家では罵声を浴びせられ、“ごみ”のような扱いをされ、地獄だったそうです。7ヵ月前に今のパートナーの方と出会い、猫耳とかも含めてまるごとねこちゃんを愛し、支えてくれて、一緒に住もうと言ってくれて、心から感謝しているという、その手紙の朗読を聞きながら、パートナーの方がボロボロ泣いていて、こちらももらい泣きでした。会場のストレートの方などもきっと、愛することに異性も同性も関係ないと思えたはず。朗読のあと、親友だという女性の方と、その小さなお子さんが登場し、花束を渡してくれました。会場からはあたたかな拍手が贈られました。


「関西からALLY(アライ)をもっと!」との趣旨で活動する「関西アライモ」のファッションショーが行なわれました。関西アライモ公式モデルでレインボーフェスタ!の実行委員でもあるゆいにゃん・サルヴァトーレ・忍者さんや、MixRainbow理事長のみのりさん、Tsunagary CafeのSumitoさん&Genkiさんらの当事者やアライのモデルさん総勢39名が素敵な衣装を身に纏い、海風が心地よい「TOTTEI PARK」のランウェイを颯爽と歩きました。





 Tinkle Dance Studioのみなさんが、ディ⚪︎ニーのあの人気映画をモチーフにしたショーを披露しました。これまでの各地のプライドイベントでも、こうした小さなお子さんが登場するダンスやよさこいなどのパフォーマンスが行なわれてきて、正直、心から「見れてよかった」と思えるようなものではなかったのですが、今回のこのショーは別で、驚くほど楽しくて面白かったです(特にジーニーの動きが素晴らしかったです)。次は違う演目を見てみたいです。



 ブース出展者の紹介その2。こういうときってだいたいの方たちは「うちのブースではこんなことやってます」とアナウンスするのがふつうだと思いますが、日本イーライリリーのみなさんが、マイクでしゃべる方の最後の「〜です」に合わせて後ろに並んだ方たちが一斉にキメ顔で振り返るというパフォーマンスをしてて、ウケました(さすがは関西ですね)


 この日のトリを務めたのは、全盲のピアニスト・永野友樹さん。早い時間から会場に来られて、付き添いの方といっしょに杖を持ちながら広場を歩いていらっしゃいましたが、ステージでしゃべりはじめたら、「このピアノは誰が弾くんですか?」とボケをかましたり(笑)とても剽軽で面白い方でした。歌も割と飄々とナチュラルな感じだったんですけども、それが逆によかったです。“障がい者”のイメージを思いっきり覆すような、素敵な方でした。


 海から吹く風がとても心地よく感じられる一方、時折強い風が吹いていろんなものが飛んでしまったりというハプニングもあった1日目でした(幸いケガをした方はいなかったようです)
 何より、天気がもって(というか日焼けしちゃうくらい晴れて)本当によかったです。みなさんの日頃の行ないのおかげですね。
 
(取材・文:後藤純一)
 

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